活動報告

【連載 第2季】通算第16回/我が社と労使関係

「人間らしく生きる」が労使関係の原点

小出 晶子氏  TIY(株)

小出 晶子氏
小出 晶子氏

父が脱サラして起業した会社に正式に入社したのは1991年のことでした。それまでも家業の手伝い感覚で、子育ての合間に顔を出していたので、経営に携わるという考えも無いままでした。

父と母以外は女性パート社員が主流で、経営理念らしいものは無く「清 明 美」をモットーとするという会社でした。公私混同の典型のような家族経営だったので、どうせ働くなら組織として経営の勉強もしたい、経営者の話も聞きたい、と同友会に入りました。入会して理念経営を知り、経営指針の必要性を感じて指針づくりもしました。人間尊重経営を掲げる根底には人を生かす経営が基本となり、そこに労使関係の見解が示されています。

我が社は労使関係の危機が過去に二度ありました。一度目は、会社を法人化してまだ日が浅い頃、住み込みの若い男性たちに父が「会社の株を持って一緒に経営をしないか」と持ちかけた時に猛反発を受けて、全員辞めてしまったことがありました。説明不足もあったのでしょうが、若い人には持ち株制で経営参加するのはピンとこなかったのかもしれません。

二度目は、技術部長に「社長のパワハラでうつを発症した」と訴えられた時です。労基署からは事実無根と判断されましたが、不服だと訴えられました。社長の私が技術には知識が無いため、技術部長には自分が会社の後継者だという気持ちがあったのでしょう。こうした出来事から、労使関係について考えざるを得ない状況になりました。

私にとっての労使関係は、会社とそこで働く人が互いの立場や考えを理解し、協力していくための大切な関係だと考えています。我が社には、障害のある人、高齢者など多様な従業員がいます。「働きたい人と一緒に仕事をする」「働かせてやっている、働いてやっている」という関係ではなく「働くことで社会とつながる」関係でありたい、といつも朝礼で言っています。

経営者として安全で働きやすい環境をつくる、従業員も自分の仕事に責任を持ち、会社のルールを守りながら、協力する――これが私の考える労使関係です。

労使関係は「人間らしく生きる」その原点であると常に思っています。