活動報告

金融アセスだより(第113回)

日銀マイナス金利が与える影響

先頃、日本銀行が、一般の銀行が日本銀行に預けている当座預金の手数料を取る、いわゆる「マイナス金利」の導入を発表しました。このマイナス金利は、私たち中小企業にどのような影響を与えるのでしょうか。

おそらく、私たちに欠かせない経営のパートナーでもある地方銀行や信用金庫を、薄利どころか赤字に追い込む状況になりかねません。愛知県、特に名古屋市では他府県と比較してもすでにかなりの低金利であり、特に優良な企業の金利環境は、金融機関にとっては非常に苦しい程の低金利です。日銀のマイナス金利導入により、企業への貸付金利がますます下がることが予想されます。つまり、銀行にとっての本業である貸金業が、まったく儲からない状態に追い込まれるのです。

事業性の説明能力を高めよう

そうなると、ただでさえ資本が脆弱で不安定な中小企業は、銀行にとってますますリスクの高い存在となります。銀行がリスクを負えない状況に追い込まれれば、「貸し渋り」「貸しはがし」が発生する可能性が高まるのです。(なお、マイナス金利の発表前から、この傾向は出ていました。)

これを打開するには、金融庁も基本方針として掲げる「担保・保証に必要以上に依存しない事業性評価に基づく融資」のできる体制を、行政をも巻き込んで構築すること。同時に、私たち中小企業も「事業性」の説明能力を上げることが重要で、それには経営指針書の作成が欠かせず、特に数字に落とし込んだ計画作りが有用といえます。

高い事業性評価が受けられる企業、説明能力に優れた経営者をめざし、2016年度も共に学びましょう。

徳島興業(株) 徳島 孝志