活動報告

労務労働委員会(11月9日)

求められる職場の環境

浅生 卯一氏  愛知東邦大学

法律制定の背景から若年雇用について考える

法律制定の背景から若年雇用について考える

早期離職を防ぐために

愛知東邦大学経営学部・非常勤講師の浅生卯一氏から、「若者雇用促進法」の概要と企業経営の対応について報告いただきました。

まず若者雇用促進法が制定された背景として、ここ20年間で若年(15~34歳)労働力人口が急減していること、若者の非正規雇用比率が高いこと、新規学卒者の3年以内の離職率が高止まりしていること、そして若者の「使い捨て」が疑われる企業等の存在が指摘されました。

また、この法律は若者の適職選択と職業能力の開発・向上を目的としています。主な内容は、(1)新卒段階でのミスマッチによる早期離職を解消するため、労働条件を積極的に提供すること、(2)ハローワークにおいて、労働関係法を一定以上違反した事業所の新卒求人を、一定期間受け付けないこと、(3)若者の採用育成に積極的な中小企業に対して「ユースエール認定」を創設していることです。

これらのことを積極的に受け止めて活用していくことが重要であり、早期離職の防止は労働条件の提供だけでは限界があることを理解した上で、各企業で工夫していく必要があると述べられました。

より良い人生を求めて

参加者からは、働きがいと働きやすさ(労働条件)のバランスは難しいとの意見や、まず現状の不十分さを認め、社員との関わりの中で問題点の解決に向けて計画を立て、共に良くしていこうという想いが重要との声が聞かれました。

人口減少が叫ばれる中、さまざまな条件に対応して雇用を続けられる会社でなければ生き残ることはできません。労務労働委員長の吉田幸隆氏は「目に見えるキャリアプランだけではなく、仕事を通してより良い人生に変えていくライフプランについても社員に考えてもらえる機会を作る必要がある」と総括しました。

社員が結婚し家族を持つなど人生の転機に差し掛かった時に、給料や労働条件を理由に辞めるという悲しい選択をしないで済むよう、いつでも改善提案が出せる対等な関係を築くこと、また前向きに対応できる職場環境づくりが求められています。