活動報告

金融委員会(7月11日)

自社を正しく伝えたい
~ローカルベンチマーク学習会

久保 正美氏  (株)クエストアンドトライ

「自社のことを正しく伝えられる」と久保氏

金融情勢の変化

金融庁の監督方針が大転換されました。担保や過去の数字で融資を行うのではなく、企業の将来性を含めた「事業性評価」により企業の成長と地域全体の活性化を支援し得る「金融仲介機能の強化」を推し進めていこうというものです。今秋頃にはディスクロージャー誌などで各金融機関の数値が出揃うだろうとの話もあります。

金融アセスメント法の実現に近いものと考えられる今回の情勢変化のもとで、金融委員会では6月に続き、金融機関との対話ツールとなる「ローカルベンチマーク(通称・ロカベン)」(経済産業省)の学習会を開催。クエストアンドトライの久保正美氏に報告していただきました。

事業への理解を求めて

同社はエア着ぐるみやエアドーム、イルミネーションバルーン等の屋外広告、販促キャラクターなど1点物のオリジナル品を手がけるユニークな会社です。しかし、そのニッチ市場のニッチ技術であるが故に、金融機関や業界以外からは企業の事業がなかなか理解されないという側面もありました。

リレーションシップバンキングが話題の時も、金融機関からは債務償還年数と対策を記した計画を求められるだけでした。また売上向上へのマッチング支援ではビジネス商談会に出展するなどしましたが、「もっと自社のことを詳しく知ってほしい」との思いが強く残ったといいます。

今回の「事業性評価」の動きやロカベンの指標は、まさに久保氏の求めていたものでした。「勝手に評価される前に自社のことを正しく伝えたい」と、久保氏はマニュアルに基づき自社分析や業務フロー、差別化要因などを行って定性指標を書き上げました。

ツールの有用性を実感

経営者としての思い、海外の低価格品等とは異なり大切にしている安全性や品質への工夫と技術、代替品との違い、それらの顧客訴求力の要因といえる業務フロー工程ごとの差別化ポイントや商流の全体像。また、需要変動への対策として新事業・新市場にも着手していること、などが報告されました。

また、新任の渉外担当金融マンはロカベンの提示を受け、「事業性評価」第1号としてやっと本部に持ち帰られると喜んだそうです。

非常に特殊な業界であるにもかかわらず、「見える化」により背景なども含めてよくわかり、金融渉外担当者から本部への伝達でも毀損が生じないツールとしての有用性を学び合う学習会となりました。