活動報告

設備投資調査(2017年9月)

人手不足が阻害要因
~設備投資の陳腐化も懸念

〔グラフ4〕設備の過不足〔グラフ5〕AI投資のスタンス〔グラフ6〕設備が不足(気味)の要因

日本政策金融公庫の小企業実績調査によると、2017年上半期の設備投資実施割合は前期から横ばい傾向にあります。一方、大企業の設備投資は6年連続で増加しており、大手企業と中小企業との間で経済格差が拡大しているといえます。設備投資は経済の生産力を高め、その投資額は消費につながり、景気に大きな影響を与えるため、戦略決定には重要な要素といえます。

今回の調査は、東海地方の中小企業の現状を把握するため、財務省東海財務局より提案を受けて行ったものです。設備投資の状況を、賃金・原資・行政施策などの側面から分析し、263件の有効回答を得ました。

現在の設備投資過不足は、「不足(気味)」が25%で、その要因は「事業規模の拡大」「設備の稼働に見合った人手が足りない」、弊害は「受注・事業機会の逸失」「人手不足への対応ができない」傾向を示しています。深刻な人手不足が設備投資を阻害し、その結果、さらに人手が足りなくなる実態が明らかになりました(グラフ4、6参照)。また、今後(3年以内)の設備投資予定は、67%が「ある」とし、その中の55%が投資額を「増やす見通し」と回答しています。

文章回答からは、設備投資が進まない要因として、国内経済の先行き不安や、自動車のEV化の潮流など設備投資の陳腐化を懸念する声が出されました。

一方で、政府統計やマスコミ報道の数値は、大企業の様子が反映されたもので、中小企業の実態とはかけ離れたものであるとの指摘もありました。

賃上げや設備投資を促進する各種税制(所得拡大促進税制、中小企業経営強化税制、生産性向上設備投資促進税制)の見直しも行われており、あらゆる施策の活用も求められます。

  • 調査期間 9月19日~9月27日
  • 回答企業 263社