活動報告

AICL(仕事づくり研究会)(11月5日)

鉄工所が挑む木造建築

瀧本 実氏  (有)ライン工業

「囲柱ラーメン木構造体」の模型

木と鉄の良さを生かし合う

AICL例会では、岐阜同友会会員のライン工業を訪問し、社長の瀧本実氏より同社が挑戦している木造の新建築物「囲柱ラーメン木構造体」について聞きました。

同社はもともと、プラント製作や製缶を事業としています。2代目社長の瀧本氏はゼネコン勤務の経験を生かして、入社後に建築士の資格を取ります。その過程で学んだ「木造」の特徴に惹かれ、木造建築を研究してきた結果、この構造体の発想が生まれたといいます。

囲柱ラーメン木構造とは、汎用の柱材を専用金物で締結して強靭化した「囲」の字の組柱と剛梁で、耐力壁に頼らず大開口の空間をつくり出すものです。木造と鉄骨造双方の長所が生かされているこの構造体は、耐震性が強く、鉄材よりはるかに軽く、またシステム化された工程により製作・組み立てが速く、従来工法よりも安いという特長を持っているといいます。

英知と技術を結集

瀧本氏がこの「囲柱プロジェクト」を始めて10年。行政や大学、他企業との多岐にわたる連携・協力により研究開発・実験が進められ、実際のモデル棟(現・ライン工業事務所)が2019年、完成しました。

木材は同社の地元、岐阜県のヒノキが使用され、また部屋を貸し出した収入を植樹に充てるなど、地域内循環やSDGsも意識して取り組んでいるとのことです。

この構造体の特許を持つ同社は、多くの主体が関わり、また注目されることを通じて、将来的にこの工法が広く普及し、自社としては本業である金属部品の製造に特化して関わることを展望しているとの報告でした。