活動報告

なんとしても生き残る(7)

課題に気づき、コツコツと

川口 洋平  名古屋第五支部長
川口化成品(株)代表取締役

川口 洋平氏

入会直後の金融危機

なんとしても生き残る、というより、当時はこのまま死んでしまうのではないかと思いました。死ぬのは会社なのか、自分なのかもわからず、たびたび起こる動悸がこのまま止まらないのでは、と思っていました。当時とは、2008年9月に端を発したリーマンショックのことです。

私が同友会に入会したのは同年の8月です。父親から社長職を譲り受けたのが前年の07年12月でした。一通りの挨拶を終え、さて社長とは何ぞやと思っていた頃です。そんな自分に、この未曾有の事態に冷静に対処できる準備も知識や経験もありません。雇用調整助成金は15カ月にわたって受け取りましたが、今回よりもかなり少額でした。その後2年間、大赤字の決算で終え、3年目にかろうじて黒字転換しました。

ですから、同友会入会はいい機会でした。藁にもすがる思いで、その秋からの「経営指針講座」を受けて、できたての経営理念だけはその冬に発表しました。辞めていった社員がいたのも事実です。社員の不安もさることながら、自身の不安が動悸となって毎日私を苛んでいました。

どん底からのスタート

そのような中でも指針講座は楽しかった記憶があります。やっていると、暗いトンネルの先が見えるように感じたからです。同友会で学んだことは数知れずありますが、このタイミングで経営指針書を作り始めたことは良かったです。どん底からスタートを切ることができました。

会活動を重ねていくと、経営課題が次から次と出てくる、いや、その存在に気づかされます。それを毎年コツコツ改善していくこの環境に身を置いていたことが、今回のコロナに役立っていることは言うまでもありません。

当社は来年、創業120周年を迎えます。会社の歴史を振り返ると、同友会理念の普遍性に通じます。それは人です。故人となった社員が何名かいますが、父親や古参社員から伝え聞く話が会社の歴史そのものでした。この価値観を指針書のど真ん中に置いて、これからも前進していきたいと思います。

経営指針の重要性を実感

高橋 一仁  東三河支部長
(有)府中屋代表取締役

高橋 一仁氏

入会13年目を迎えて

先代である父の体調不良により急遽、釣り具問屋の社長に就任して16年、同友会に入会して13年目を迎えています。また一昨年、法人化50周年を迎えることができました。

今でこそ東三河支部長の役を拝命していますが、事業承継した時の幾多の問題や2度の身内の不幸などを乗り越えることができたのも、同友会でいろいろな役を受け、学びを前向きに経営に活かしてきたことが大きいと感じています。

それまで経営に携わっていなかった私は社長に就任した後、中学の先輩でコンサルタントをしている方の助言で、見よう見まねではありますが経営理念・方針・計画を作成し、社員大会という名の経営指針発表会を行いました。当時は資金繰りに追われる日々で、経営指針は「作れ」と言われて作っただけのもの。それがどのように経営に活かされているのかなど考えもしませんでした。

指針に基づく経営実践

同友会に入会し、ほとんど忘れかけていた経営指針を見直し、同世代の経営者と同じ悩みを共有したり、引き受けた役ごとに学びを得て達成感を味わったりしてきました。その中でも、本当の意味での経営指針を作成することの素晴らしさと、それを経営に活用することを学んだことが一番だと感じています。

振り返れば、社長就任時に作成した経営指針の通りに動いてきた結果が現在出ているように思います。このコロナ禍においても、経営指針があることによって経営の舵取りがスムーズにできています。