活動報告

西尾張支部経営環境改善&広報部門合同委員会(11月9日)

コロナ禍でも挑戦し続ける企業

濱垣 一郎氏  師勝化成(株)

気軽に野菜栽培が始められる「つくらぼっくす」

別業界で新たな事業を

西尾張支部の経営環境改善部門と広報部門の合同委員会をオンラインで開催し、「コロナ禍でも挑戦し続ける企業」と題し西春日井地区の師勝化成・濱垣一郎氏より実践報告をしていただきました。

同社は自動車メーカーを主力顧客としたスポンジやゴムを加工する製造業です。濱垣氏はリーマンショックの経験から、「社会情勢や経済環境が同等に変化した時」や「業界そのものが低迷、消失してしまった時」への危機感を強くし、将来訪れるかもしれないリスクに対応するため新たな業界での事業確立の必要性を感じるようになりました。

その中で、食や医療など人の生活に欠かせない分野に関心を持ち、農業や介護の勉強会等に参加する中で、自社の屋内倉庫を活用できる水耕栽培に着目します。アルミ角材の棚に樹脂パイプを設置し、培養液と水を循環させ、LED灯の日照と室内温度を管理してハーブやレタスなどの葉野菜を飲食店へ直売する(株)つくらぼを2018年に設立。品質改良をしながら、20店舗以上の飲食店へ定期出荷できるまでに成長しました。

予期せぬ事態に備える

濱垣氏は当初より「農産物販売」のみでなく、水耕栽培のシステムそのものを販売する計画を決めていました。事業が永遠に続くものではないと想定し、「社会や情勢に対応し、『コト』を提案できる事業づくり」を目的とし、(株)グローイングも同年に設立。水耕栽培のプラント販売や販路獲得などのコンサル業務を開始しました。

そして、想像もしなかったコロナ禍で環境が変化し業界は低迷。飲食店が主力だった野菜販売は減少しましたが、この機に他業種へ新規参入を考える様々な業種の企業からプラントの問合せが増加し、売上げを伸ばしています。

「ダメになった時を想定して事前に手だてを打っておくことが大切」との濱垣氏の言葉は、本業の製造業も自社負担や設備投資を極力なくし、外注量を増やして減収減益を最小限に抑えることで裏付けられています。今後は設立した2社の事業をメディア等に紹介してもらうなど、さらなる販路拡大を計画中。大型プラントの納入も決まりつつあります。

愛用のバイクや模型が並ぶガレージ内が映るZoom画面越しの濱垣氏の笑顔と、事態を想定し逞しくこの状況に対応して事業を伸ばしている姿が印象的でした。

(株)カトウ  加藤 健太郎