活動報告

私たちが目指す「働き方」とは? ~イキイキと働ける企業づくり(12)

労使見解と働き方改革

内輪 博之  愛知同友会専務理事

連載で各社の取り組みを紹介

一昨年6月29日に成立した、いわゆる「働き方改革関連法」は、それまでの労働法制を大きく転換させました。要点は長時間労働の是正と差別的労働の規制であり、特に前者は中小企業経営にも大きな影響を与えるものです。

これまでの連載で各社各様の取り組みは紹介されましたが、共通しているのは魅力ある企業づくりで、働きやすい環境づくりへの取り組みであり、進行形で行われているものです。

自主的・自立的な「働き方改革」

私たち同友会では、「労使見解」を企業づくりの指針としています。この労使見解の見地から今回の「働き方改革」をどうとらえれば良いのでしょうか。

労使見解では、経営者と労働者が立場は異なりながらも対等なパートナーとして、労使が力を合わせて魅力的な企業づくりに取り組んできた経験から、中小企業経営の普遍的教訓が述べられています。それを一言で表せば、自主的・自立的な働き方改革です。

一方、今回の「働き方改革」は人口減少社会の到来に対し、老若男女を問わず労働市場への参入を促す「外圧」であり、同友会が追求する「人を生かす経営」とは本質が異なるように思われます。

社会的・経済的環境を変革する視点も

これらの認識を踏まえれば、働き方改革を進める上で重要な課題には、労働力不足だけでなく、働きづらい社会や企業の存在こそが挙げられます。労働力不足を克服し、かつそこで働く人が豊かな人生を送れるよう、人間を中心とした「魅力ある企業づくり」を自助努力のもとで進めることが、中小企業における働き方改革の欠かせない視点です。

とはいえ、中小企業は様々な困難に直面しています。自助努力のみではいかんともしがたい現実もあります。中小企業にとっての働き方改革は、企業づくりと同時に社会的・経済的環境を変革する視点をも提示するものといえます。その意味で、労使見解の総合的な実践こそが、厳しい現実を「目指す姿」に近づけていく原動力となります。

最後に、私ども事務局も局員20数名の中小企業で、会員の皆さんの実践から学び、「人を生かす経営」に取り組んでいきたいと思います。