活動報告

名古屋第3支部合同例会「コロナ危機に対応した企業体質強化」(1月26日)

幾度の危機を乗り越えた同友会らしい経営と考え方を年の初めに見つめ直す

加藤 明彦氏  エイベックス(株)
武田 充弘氏  タケダ歯車工業(株)

オンラインで開催

名古屋第3支部では毎年1月に支部合同例会を開催してきましたが、本年はコロナ禍かつ緊急事態宣言下のため、初めて全面オンラインによる開催となりました。そんな中でも例年と変わらず80名超の参加があり、皆さんの関心の高さがうかがえます。

報告者には、愛知同友会会長の加藤明彦氏と、支部長の武田充弘氏を迎え、コロナ禍での現況や同友会理念と結び付けた経営の成果・課題をお話しいただきました。その後グループ討論を通じ、学びの共有と地区間交流を行いました。

失敗からの学び

まず武田氏から、例会テーマの「コロナ危機に対応した企業体質強化」のもと、自社のコロナ禍での状況と取り組みを報告。その取り組みが同友会理念、中でも「自主・民主・連帯の精神」や運動(人を生かす経営、経営指針)といかに交わり、経営をどう強化したのかを中心にお話しいただきました。

武田氏の会社は、リーマンショックでは仕事が激減し、売上げが前年度比で大幅に減少するという危機的状態が半年以上も続いたそうです。同友会での学びや高齢の熟練工からの技能伝承を見据え、誰1人として解雇しなかったものの、社員との信頼関係など充分に築けていなかったと、率直に話します。

しかし、そうした失敗を生かし、指針を基に1業種・1社依存から3業種・直接取引へと経営を安定させることで、このコロナ禍では売上げの減少をおよそ30%に抑えられているといいます。

現在、ベテラン社員からの技能伝承に努めるとともに、社員が安心して生活できる企業になるよう、これを機に経営理念を見直し、方針の理解と共有を目指して指針発表会を行うと宣言しました。危機下だからこそできることを見定め、それに向けて真摯に取り組むことの重要性が、熱意をもって伝わってきました。

同友会での学び方

加藤氏からは、例会サブテーマの「幾度の危機を乗り越えた同友会らしい経営と考え方を年の初めに見つめ直す」のもと、同友会会長として、また幾多の危機を同友会と共に乗り越えた経営者としての立場から、同友会で何を学び、会社がどう変わってきたかをお話しいただきました。このコロナ禍だからこそ、未来を見据え、今何をすべきかを問いかけ、同友会での「学び方」や「学びの心構え」が紹介されました。

加藤氏はまず、勉強して満足して終わるのではなく、主体的に素直に学び、その学びを実践し、成果を「語り部」として発信することが成長へのサイクルであると話します。また、経営指針がなく真の経営課題に気づいていない経営者が多いことを指摘し、指針に「働きやすい企業風土づくり」「未来が見えるビジョンづくり」を入れて取り組むことが、これからの企業経営に求められるといいます。

同友会運動に誇りを持ち、謙虚にかつ貪欲に情報を取り入れ、経営に落とし込む。いわば、「やって、やって、やり続ける」こと、「自分の言葉で語れるまで学び、実践する」ことこそ、同友会の学び方であり企業成長につながると、まとめました。入会して実際に会社を大きく飛躍させたその言葉には、重みと説得力が強く感じられました。

指針の重要性を再確認

グループ討論は、「コロナ禍で、経営計画など指針の一部を見直しましたか」をテーマに行いました。地区や業種がさまざまな中で、何かを変えざるをえないこの状況下で経営指針を活用し、その有用性や重要性を見つめ直す内容となりました。

多くのグループから率先して発表が寄せられました。それに対し、加藤氏からは、「緊急時には経営計画を適宜変更・実行し、計画から方針を構築し、その整合性を理念の視点から後追いしていってはどうか」とアドバイス。ただ、その原動力となる危機感が薄いのではと警鐘を鳴らし、「今こそ地区内で計画を互いに指摘し合い、地区外へ飛び出して学び、仲間を増やそう」と、活動方法についても具体的に言及されました。

互いに励まし合って

最後に、杉山元一支部幹事長から、「つらい時こそ同友会へ参加して、経営者同士元気を与え合う『あてにしあてにされる関係』を築き、会社の柱である経営者の元気を失わず、厳しい経営環境下でも励まし合い乗り越えていこう」と、まとめられました。

ゲストからは入会宣言が出るなど、会員増強にもつなげることができました。

たとえコロナ禍が落ち着いても、働き方改革の推進や金融機関の貸出姿勢の慎重化など、難しい経営の舵取りが予想されます。来年の支部合同例会の頃には、それぞれが今回見つめ直したことを実践し、コロナ危機を乗り越え、同友会らしく発展していること、また対面形式でその経験を語り合える状態になっていることを願ってやみません。

南星キャリックス(株) 市川 重人