活動報告

【人を生かす経営推進部門】第1回「労使見解」を深める学習会(5月12日)

経営者の責任
~「労使見解」の実践による人間尊重経営とは

馬場 愼一郎氏  データライン(株)

自身の実践から「労使見解」を語る馬場氏

実践から「労使見解」に立ち戻る

2021年度、愛知同友会・人を生かす経営推進部門では、「労使見解」を深める学習会を6回講座で企画しています。第1回は、「経営者の責任~『労使見解』の実践による人間尊重経営とは」をテーマに、データラインの馬場愼一郎氏に報告いただきました。

約70年前に集まった数名の同友会の先輩経営者たち。そこには、まだ「労使見解」も「自主・民主・連帯」もなく、現実的な問題を目の前に「どうしたらよいか。俺はこう思う。お前はどう思う」と互いの経験から学び合い、活路を切り拓いてきました。

同友会では「学んで実践」とよく言いますが、馬場氏はむしろ、経営上の局面で自分が取った判断や行動を同友会の考え方に立ち戻り検証しています。その中で自ら気づくことに大きな意味があり、将来に向けての力になるといいます。

難局を社員と切り抜け

馬場氏がデータラインに入社し、まだ社員だった頃、最初の試練にぶつかります。幹部社員がトップクラスの営業社員5人を引き抜き退社。その後、「労働組合が必要だ」と社員から声が上がります。

しかし、外部の人間に頼ろうとする動きに馬場氏は、「組合設立は全面的に応援する。その代わり、自分たちが責任を持ち社員の意見をまとめること。決して逃げるな」と社員に伝えます。結果、組合設立は雲散霧消しましたが、その後同友会に入会した馬場氏は、労使見解に立ち戻り、少なくとも誠実に対応したことは良かったと思ったそうです。

また、社員の最大の関心事である「自分がこの会社にいてもよいのか」に数字も含めちゃんと応えているか、「人間尊重」とは経営者自身が納得できる指針で未来を描くことと語り、新規事業の立ち上げで社員と困難を乗り越えた過程こそが「共に育つ」実践だったと振り返りました。

参加者からは、同友会用語を一切使わずに労使見解を語りつくした報告に、「経営に対する意識が正された」との感想が多く寄せられました。