成長し続ける会社作り
大野 正博氏 (有)中部製作所
理念型の採用を
西尾張支部例会は中部製作所代表取締役の大野正博氏を報告者に、「人間尊重の経営で共に成長」をテーマに開催しました。
大野氏は義父の会社へ入社し、2006年に社長に就任した後に5カ年計画を作成し、高卒採用に臨みました。しかし、社員の入退社が毎年繰り返される状況が続きます。そうしたなかリーマンショックが起こり、周りが採用を控える状況となったことから、中小企業でも大学生を採用できるかもしれないと、大卒採用に踏み切ります。
翌年から採用はできましたが、なかなか人が来ないため採用の問題点はどこにあるのかと、他社の条件と見比べました。そして休日を増やし、賃金体系の見直しを行ったほか、理念型の採用を始めます。経営者自身が成長し、経営理念を伝え、入社を決めてもらうようにしたといいます。
中部製作所には経営理念の他に、キャッチフレーズと行動指針があり、「一流の“社会人”を目指す中部製作所」を基に、社員と接するように心がけているといいます。
会社は社会に認められなければ存在できず、社員の成長のためにあると話す大野氏。こうした理念型採用を続けてきたことで、新卒採用の定着率が向上するとともに、様々な経歴を持つ中途採用にも成功し、社員は39名を数えるまでになりました。
人間尊重の経営を追求
最後に、「組織の成功循環モデル」が紹介されました。成功のP(思考の質)D(行動の質)C(結果の質)A(関係の質)は、「関係の質」から始まることで上手くいくと言われています。
関係の質は、まさしく同友会の目指す人間尊重の経営のことで、社員との信頼関係を指します。経営理念を基に思考し、行動指針を基に日々の仕事を検証する、そうすることで結果の質が向上していくというモデルです。
行動指針に基づき、社内で話し合える関係づくりをしてきたことで、取引先から社員の行動を名指しで褒めてもらえる結果も出てきたと、大野氏は語ります。「一流の“社会人”を1人でも多く育て、引き続き社員とどう向き合っていくのか考え続けたい」と、報告を締めくくりました。