活動報告

愛知同友会景況調査(2022年2月末)

価格転嫁進まず『業況判断』大幅下落
~深刻さ増す原材料不足・価格高騰

愛知同友会では、1994年より中小企業の独自調査として、四半期ごとの景況調査を実施し、研究者を招請して分析会議を行っています。その分析結果は、各社の経営判断に活用されるほか、行政やマスコミに発表して中小企業の実態を伝えています。

【グラフ①】業況判断DI
【グラフ①】業況判断DI

「業況判断」全業種で大幅ダウン

「業況判断DI」の「今月の状況」は、前回の31から9へ22ポイントの大幅下落となりました。悪化は4期(1年)ぶりです。業種別で見ても全業種で2桁の大幅な下落となりました。特に製造業と流通業では「悪い」と回答した企業が「良い」とした企業を上回り、DIがマイナス値となりました。

「前年同月比」も前回の21から0、「次期見通し」は26から20へ、それぞれ「良い」超過幅が縮小しました。「前年同月比」は21ポイントの大幅な下落となり、全ての業種で2桁の大幅な「好転」超過幅の縮小となりました。「次期見通し」は、サービス業を除く全業種で「良い」超過幅が縮小しました。(グラフ①参照)

「仕入価格」深刻な『上昇』水準

こうした業況変化を引き起こしている大きな要因は、仕入価格の上昇です。前回調査時点で57と既に深刻な水準にあった「仕入価格変動DI」(「今月の状況」)は、今回は62となって5ポイント「上昇」超過幅がさらに拡大しました。なかでも建設業と製造業は調査開始以来最大の「上昇」超過状態です。(グラフ②参照)

【グラフ②】仕入れ価格変動DI
【グラフ②】仕入れ価格変動DI

他方、「販売価格変動DI」(同)は前回の25から29へ4ポイント「上昇」超過幅を拡大させるにとどまり、仕入価格DIとの差が広がる結果となっています。「経常利益DI」(同)の「黒字」超過幅が2桁縮小しており、コスト高の販売価格への転嫁が進まないことが中小企業の利益状況を悪化させていることが見て取れます。(グラフ③参照)

【グラフ③】経常利益DI
【グラフ③】経常利益DI

また「資金繰りDI」(同)の「窮屈」超過幅が拡大していること、短期借入金利DIが1から3、長期借入金利DIも3から5へとそれぞれ「上昇」超過幅が拡大しているなど、金融環境の変化にも注意が必要です。

ウクライナ侵攻影響さらに加わる

文章回答からも、「仕入先からの値上げ要請が続いており、販売価格に反映できず利益を確保することが難しい」(建設業)、「原材料の値上がりが著しいが、客先は値上げを認めてくれない」(製造業)、「ガソリン価格の上昇を運賃に転嫁できない」(流通業)、「仕入価格や人件費などが上がり、価格転嫁しないと採算が合わなくなる」(サービス業)など、原材料高・燃料高による利益圧迫を嘆く声が多く見られました。

今後はロシアのウクライナ侵攻の影響がさらに加わってきます。経営者には今まで以上に状況変化を素早く感知し、経営上の対応を的確に実践する姿勢が求められます。

[調査要項]

調査期間 2022年2月21日~2月28日
回答企業 1138社(建設業187社、製造業235社、流通業290社、サービス業426社)
平均従業員 22.5名(中央値8名)