危機をチャンスに、経営者として何をすべきか
~経営環境が激変する中での情勢認識、事業展開
丸山 博氏
(有)第一コンサルティング・オブ・ビジネス(東京同友会)
複合危機の時代に
5月10日に117名が参加する中、第1回オープン委員会をオンラインにて開催しました。報告者には第一コンサルティング・オブ・ビジネスの丸山博氏(東京同友会)を迎え、情勢をどのように捉えた上で経営指針に取り組むべきかを報告していただきました。
はじめに、今年は戦後77年目の節目の年であり、複合危機の時代になるのではないかと指摘されました。第1にグローバル資本主義が進行する中で、格差と貧困が拡大し続けたことによる経済の構造的問題。第2にコロナ禍でヒトとモノの移動が止められ経済活動そのものが停止し、供給不足による「悪い物価高」と輸入価格の高騰による「悪い円安」が発生していること。第3にロシアのウクライナ侵攻によって各国が経済制裁を行ったことで、ロシアだけでなく制裁側にも大きな影響が出ていること(戦争の危機)。第4に今年は各国で選挙が行われる「選挙の年」にあたり、選挙に勝つことが優先される中で対外的には強行姿勢、国内でポピュリズムが進行するのではないかと述べました。
不安と不信が広まっている中では、他責の考えになりがちです。そのような時にこそ「自主・民主・連帯の精神」を経営に活かすべきだと丸山氏は指摘します。
コロナ後を見据えて
次に、時代が変化する中で情勢を捉えるためのキーワードとして生活様式・仕事のやり方・お金の流れなどが変化する「ニューノーマル(新常態)」が紹介されました。行動が変化することで価値観が変化するため、自社の「お役立ち」をどのように伝えるかが重要となります。
また、転換と危機の時代に立ち向かうために「アップデート型企業」を目指そうと提起されました。経済が悪化する時には小さな差が選ばれる理由となるため、自社の真の「お役立ち」は何かを見つめ直し、顧客の困りごとの裏側に存在する「野望」を見抜くことが大切です。
さらに、ポスト・コロナでは人材力が競争力となり、モノよりコト(付加価値サービス)提供の時代となることが指摘されました。経営者がいくらアイデアを考えたとしても、実現する社員がいなければ結果につなげることはできません。
社員に自社の役割を伝え、安心して働ける環境をつくるためには経営指針の策定と見直しが大切だと丸山氏は語ります。自社を再定義することで、危機に負けない経営指針のリニューアルをしようと呼び掛け、報告を締めくくりました。