活動報告

愛知同友会景況調査(2022年5月末)

足もと回復も、足取り鈍い
~コスト増、物不足、急進する円安が経営を圧迫~

業況判断DI

仕入価格が高騰

「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた「業況判断DI」の「今月の状況」は、前回の9から15へ6ポイント改善しました。ただし内訳を見ると、「悪い」と回答した企業が5ポイント低下したことが今回の改善の主要因であり、「良い」と回答した企業の割合はわずか1ポイントの上昇に留まっています。景気は回復しつつも、その足取りは鈍いといわざるをえません。

「仕入価格変動DI」(「今月の状況」)は、前回調査よりもさらに「上昇」超過幅が拡大し、62から70へ8ポイントの上昇となりました。「販売価格変動DI」(同)が前回の29から39へ10ポイント「上昇」超過幅を拡大させたことから、急激に進んだ原材料価格の上昇分の価格転嫁は一定程度行われているといえます。しかし、なおも2つのDI値の差は大きく、企業経営の改善にはほど遠い状況です。

価格転嫁が課題

文章回答からは、「ウクライナ侵攻、円安がじわじわと影響してきている」(建設業)、「円安による仕入価格高騰、エネルギーの高騰など、先が見通せない」(製造業)、「燃料価格が高止まりしているが、価格転嫁できない」(流通業)、「円安、原油高、部材費の高騰がかなりキツい」(サービス業)など、仕入価格の上昇や原材料不足に加え、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の一層の上昇、日米金利差の拡大によって急激に進む円安が、中小企業経営に追い打ちをかけている様子が見て取れます。

なお、今回調査では「短期借入金利DI」(3→5)、「長期借入金利DI」(5→6)とも「上昇」超過幅が拡大しました。急進する円安と消費者物価上昇率の高まりが日銀の政策変更を要請する状況が続いています。今後の金融状況には細心の注意が必要です。

[調査要項]

調査期間2022年5月23日~31日
回答企業1213社(建設業214社、製造業245社、流通業310社、サービス業444社)
平均従業員25.3名(中央値8名)