活動報告

広報部会(7月4日)

2023年度障害者問題全国交流会 in愛知に向け学びを発信

浅井 順一氏 (株)浅井製作所

障害者雇用を通じ、「人間らしく生きる」ことを学んだ浅井氏

人間らしく生きる

7月度広報部会は「企業づくり2~障害者自立応援委員会 2023年度障害者問題全国交流会(障全交)in愛知に向け学びを発信する」と題してオンラインで行われ、中小企業における障害者雇用について学びました。

同委員会の委員長を務める浅井順一氏を報告者に迎え、自身の障害者雇用体験をお話しいただきました。

浅井氏の初めての障害者雇用はボランティア感覚だったそうです。同情心で雇用し、「工場内は危ないから、怪我のないように見ているだけで良い」と配慮したところかえって失敗し、退職してしまいました。そこには社員としての存在意義もなく、人間尊重の意識が全く足りていなかったと浅井氏は振り返ります。

やがて社員からの希望もあり2度目の雇用の機会が訪れました。前回の失敗を反省し、空箱の整理を担当してもらったところ、とても活躍しているそうです。新型コロナ感染により休職すると、他の社員からは復帰を望む声が多数上がったといいます。浅井氏は「誰であれ人間らしく生きるとは、自分の生きた証を持てる人生のことだと実感した」と振り返りました。

「1社1人関わる」意義

一方、同委員会について、委員長に就任する前はボランティアや福祉のための委員会だと思っていたそうです。

ある時、浅井氏が委員会の見学で訪れた1社は「障害者の法定雇用率をクリアしたい大企業のための事業所」が実態でした。障害者を「営利目的の商品」として利用しているだけだと感じた他の委員からは、「顔の見えない雇用はおかしい」と憤りの意見が噴出しました。このことを機に浅井氏は、同委員会の目的を理解しました。

浅井氏は「障害者自立応援委員会では、中小企業家としてどうすれば障害者の生きる権利を実現できるかを模索している。良い会社にするため努力し、良い会社が増えることで良い社会が実現できることを推進している。それこそが、障害者と『1社1人関わる・愛知モデル』であるといえる」と、まとめました。

誰もが生きやすい社会の実現を

参加各社の障害者との関わりについて話し合ったグループ討論では、「自社には関係ないと思っていたが、間違いだった」「過去に失敗したが、もう1度考えてみたい」「社員の協力のもと雇用に取り組みたい」など前向きな声のほか、「慈善ではなく利益を伴った雇用を求めたい」「現状では雇用は無理」などの率直な意見も聞かれました。

例会担当者として、今回の報告や討論から気付きや挑戦の意識が芽生えた会員も見受けられ、各社での実践と、来年度の障全交への参加が増えることを期待します。

多様な人々が互いに認め合い、働きやすい会社や生きやすい社会を実現することが、私たち中小企業家に課せられていると実感しました。

(株)国分農園  橋本 昌博