活動報告

第22期役員研修大学 第3講座(7月25日)

『労使見解』の精神と実践
~人を生かす経営を目指して

浅井 順一氏  (株)浅井製作所

人間尊重経営の実践を語る浅井氏

『労使見解』との出合いと実践

当社は自動車用プレス部品の製造を行っています。敷かれたレールを歩くより自分で人生を切り拓きたいと商売を志し、事業継承しました。

労働組合委員長を務めた父は、労使間の溝は埋められず対立するものという考えでした。仕事を残して定時で帰る社員。仕事をしてほしかったらお願いしろという社員。自分は負け組と思う社員。この会社では幸せになれないと転職する社員。様々な社員との関係に悩んでいました。

そうした時、エステムの鋤柄修氏の報告を聞き、いかに環境が厳しくとも経営を維持し発展させる経営者の責任、高い志気のもと労働者の自発性が発揮される労使関係の実践に感銘を受け、経営指針に取り組みます。先輩会員から命令書になっていると指摘を受け、社員とのコミュニケーション不足に気付きました。経営理念、ビジョンを描き、やりがい、誇りの持てる会社にしたいと奮闘中です。

人を人として尊重する精神

障害者自立応援委員会で障害者の法定雇用率を達成するための事業所の実態に触れ、改めて働く意味を考えました。人間尊重の経営を実践してきたつもりでしたが、課題山積でした。新工場を建設し社員が喜ぶと思っていましたが、生産性を高めようと不出来なところを指摘し、社員を非難する社風になっていました。障害者雇用はボランティアでは社員は納得しません。なぜ雇用するのかを社員に語れる自分がいるか。経営理念の薄っぺらさに悩みました。

全社一丸とはお互いに尊重、信頼、協力しあう労使関係を樹立することです。安心して働ける「目に見えない生産性」が、社員の力を存分に発揮できる社風を創ります。人間らしく生きるとは、生きた証を持てるということ。社員の笑顔を見ていると、経営者の責任の重さに震えます。

人間を人間として尊重する精神を企業経営で実践する。その原点が『労使見解』です。これからも人間尊重の経営を社員と共に目指していきます。