活動報告

【連載】学ぼう、なくそう、ハラスメント(第5回)

職場でのマタハラ・パタハラを防ぐために

マタハラには「制度利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」がある

ハラスメントの防止措置2017年から義務付け

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて、女性に対するそれは「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」の呼称で知られていますが、男性に対するそれは「パタニティ・ハラスメント(パタハラ)」と呼びます。男性の育児休業取得が徐々に普及するにつれ、職場でのマタハラだけでなくパタハラも問題が顕在化してきました。

男女雇用機会均等法および育児・介護休業法によって従前より、妊娠・出産・育児休業、介護休業等を理由とする、解雇や降格などをはじめとする不利益取扱いは禁止されていましたが、両法の改正により2017年1月からは加えて、右記に関するハラスメントの防止措置を講じることが事業主に義務付けられています。

「性別役割分業」の価値観に原因が

職場でのマタハラやパタハラの例として、解雇や降格を示唆するなどして制度の利用を阻害したり、制度利用による時短勤務に対して嫌がらせをしたりすることが該当します。「休み終わったら君の席ないからね」「この忙しいのに早く帰れていいね」「男のくせに育休かよ」などの発言は、ハラスメントの典型例といえます。

また休業等に伴う業務調整など業務上で必要なことはハラスメントに当たりませんが、労働者の意をくまない一方的な通告はハラスメントとなる可能性があります。

その他、マタハラ・パタハラの定義や類型、その実態の具体例、また講じるべき対策の内容については、厚生労働省のパンフレットや学習サイトで詳しく解説されていますのでご覧ください。

職場でマタハラ・パタハラが発生する原因としては、根強く残る「長時間労働が当たり前」の風土や、「男性は仕事、女性は家庭」という固定観念に代表される、多様性を受容できない価値観の問題が大きいと言われます。社風の変革に取り組み、マタハラ・パタハラの防止や克服を進めていく必要があります。