同友会運動と活動のつながり
鳥越 豊氏 (株)鳥越樹脂工業
第22期同友会役員研修大学・第10講座で行われた鳥越豊氏の報告の概要を紹介します。
良い会社、良い経営者
より良い社会をめざす
私たちは「同友会活動」と「同友会運動」という2つの言葉を使います。「活動」は「当面する具体的課題に取り組むこと」で、同友会では、日常の学び合いを通じて良い会社や良い経営者をめざす部分です。「運動」は「対外的、社会的にはたらきかけること」で、同友会理念を広めることや中小企業憲章の制定など、より良い社会づくりをめざす取り組みが相当します。
私は1984年に自動車樹脂部品の試作品を製造する会社を個人で創業しました。同友会に入会してまもない頃、売り上げのほとんどを依存していた企業の方針転換で、売り上げが90%ダウンしました。それで同友会を退会しようと思いましたが、当時の地区会長が悩みを真剣に聞いて励ましてくれたおかげで、今も同友会を続けています。その時に経営理念を作成し、創業当時から掲げていた「挑む」から「意努夢(いどむ)」としました。
同友会理念の実現へ
しかし、それだけでは何も変わりませんでした。取引先は分散しましたが自動車産業だけに依存していたため、経営環境の変化で売り上げが50%ダウンしました。そこで社員を巻き込んで経営指針書を再構築し、健康・美容機器分野に参入しました。
再構築した経営指針書を確立させるため、「労使見解」を軸に新卒採用と共育にも取り組みました。信頼できる仲間を増やして共に成長しようと、事業の目的を「すべての社員の豊かさと可能性と人間性を引き出すこと」と明確にしました。
経営指針では2030年ビジョンとして、SDGsやカーボンニュートラルにも取り組むとし、多様性ある社会に必要とされるモノづくり企業をめざしています。
同友会は、同友会理念の実現を通じて地域を元気にし、より良い社会を創る運動です。人を生かす経営の学びと実践が同友会運動のつながりとなり、地域や社会にあてにされる企業になっていくと思います。