同友会が目指す企業像
~21世紀型企業づくり、地域未来創造企業
野田 眞太郎氏 (有)野田工業製作所
愛知同友会には経営指針について学ぶさまざまな場があります。今回は、指針を実際に運用し指針経営実践上の諸課題を深める「実践編(県本部)」の一部を紹介します。
7月8日に開催された実践編の第1回では「同友会が目指す企業像~21世紀型企業づくり、地域未来創造企業」をテーマに、野田工業製作所の野田眞太郎氏に報告していただきました。
『労使見解』との出合いと指針経営への挑戦
『労使見解』には、「経営者は企業の全機能をフルに発揮させて」という一文があり、経営者のやるべきことが示されています。
野田氏が『労使見解』の内容を自社で実践しようと考えたきっかけは、リーマンショックです。その時から「社員の生活を守りたい」との想いで、『労使見解』に基づく経営指針を実践しようと考えたのですが、当初は思うようにいきませんでした。同友会の仲間からは「野田工業製作所の指針発表会は、野田さんがやりたいことを一方的に社員に言っているだけ」と厳しく指摘され、それからは会員企業の指針発表会へ熱心に参加するようになりました。
経営指針の共有
経営理念の前提として大切なのは「経営姿勢の確立」で、これが同友会の経営指針の特徴です。さらに、社員が経営指針について「理解と納得」するだけでは駄目で、全社で「共有」する段階まで取り組まねばなりません。
「経営指針に取り組み始めた当初、リーマン後ということもあり、経営に自信が持てませんでした。指針作成を進めるうちに社員が共有してくれるようになり、初めて経営指針は社員の幸せと社会貢献を追求するものであると言えるようになりました」と野田氏は語ります。また、指針を共有するために、外国人社員も含めて全社でのSWOT分析にも取り組んでいます。方針作成の過程がわかり、全社員が経営課題を共有することで経営指針を身近に感じられるようになったそうです。
社員を守っていきたい
同友会が生まれた1960年代と比べ、現在では経営指針を保有し実践すること、人を大切にすることが当たり前になってきました。
時代の変化が加速する中で大切なのは外部環境分析です。それは、社会情勢をきちんと見ていないと時代から取り残され、仕事がなくなってしまうからです。会社の方向転換には時間がかかるので、10年ビジョンで将来を示し、優位性を保つために行動しなければなりません。
ただし、経営をする中で予想外のことは起こります。その時に「経営指針で大きな流れを共有していれば、社員はそれぞれの立場で考えて行動してくれる」と野田氏は話しました。
経営理念に「役立つ喜び」を掲げる野田工業製作所。野田氏は、やりがいや働きがいを持てる会社にし、社員に「自社で自信とプライドを持ち、人生の主役になってほしい」と語ります。
最後に、「急激な変化の中でも進化する会社が『21世紀型企業』であり、自立した社員が育つ風土をつくるために、経営指針の実践に取り組んでほしい」と参加者へ呼びかけました。