ローカルベンチマークの活用
張 おさむ氏 (株)まるみや
蟹江 晃男氏 カニエ電機(株)

経営状態を把握する
8月度金融委員会がオンラインにて開催され、「ローカルベンチマークの活用」をテーマに、まるみやの張おさむ氏が報告しました。
張氏は建設業と旅館業の2つの業態を展開し、自社の経営状態を把握するためにローカルベンチマークを活用しています。ローカルベンチマークは経済産業省が提供するフォーマットであり、金融機関や支援機関とのコミュニケーションにおいて共通言語として使用でき、信用の向上に寄与します。
張氏は2014年からこの取り組みを続け、このツールの重要性を認識しています。「グラフで見える化をしていないと、危機に気づかなかったかもしれない」と述べ、データの可視化が経営において極めて重要であることを強調しました。
コロナ禍においても張氏はローカルベンチマークを活用し、経営方針の見直しや具体的なアクションプランの策定に役立てています。「自社の事業内容や経営状況を明確に伝えること、現状認識と将来目標のギャップを把握することを通じて、金融機関や支援機関から有益なアドバイスや支援を受けることができた」と述べました。
経営デザインシートを金融機関との対話にも
また、カニエ電機の蟹江晃男氏が経営デザインシートについて報告しました。経営デザインシートは、内閣府が作成した、価値創造のメカニズムを可視化して的確に評価するツールです。
蟹江氏は社員アンケートを基にシートを作成し、対話に活用するなどして金融機関との関係を深めています。金融機関からは自社を分析した資料の提供を受け、それも参考に経営にあたっています。
現在、コロナ融資や既往の融資の返済に苦しむ企業が増えており、金融機関に定性情報を効果的に伝える必要性が高まっています。ローカルベンチマークや経営デザインシートは自社を見つめ直すツールとしても役立つため、これらを実践することは極めて重要であると感じました。
一方で、金融機関側は融資件数が減ってきている中で、どのような伴走支援をしたらいいかを考え、積極的に提案しようとしています。自社の課題を理解してもらうためにもローカルベンチマークを活用し、金融機関との対話に役立てることが求められます。
安藤不動産 安藤 寿