よい経営者への道のり
~本気で向き合っていますか
市田 旭宏氏 (株)デイリーファーム
一杯の卵かけご飯で自社を守る決意
南尾張支部増強例会「経営者の集い」がゲスト14人を含む110人の参加で開かれました。デイリーファーム・専務取締役で名古屋第7青同所属の市田旭宏氏を報告者に迎え、「よい経営者への道のり」をテーマに開催しました。
獣医師としてキャリアを積んでいた市田氏は、父が育てた鶏の卵を使った卵かけご飯を食べて自社の卵のすばらしさを実感し、「デイリーファームを守りたい」と感じたといいます。そして、卵とその加工品の直売所「ココテラス」をオープンするにあたり父から責任者に任命されたことをきっかけに、市田氏は動物病院を退職して同社に入社しました。
熱意に相反する社員
しかし、卵に対する熱い想いや、後継者としてがむしゃらに突き進む姿勢に社員との衝突や軋轢が生まれ、社員の離職が相次ぎます。そのさなかに誘われて参加した同友会の例会で、市田氏は先輩経営者から経営者としての姿勢や考え方について厳しい指摘を受けました。「憤りや悔しさを覚えながらも、自らの振る舞いを振り返れば、その指摘は的を射たものだった」と市田氏は述懐しました。
「よい経営者」とはどんな経営者か
市田氏は経営者としての自分自身を鍛え、家業が培ってきた卵の味を守り続けられる企業を目指して同友会に入会。経営理念「たまごで人を幸せに」を掲げ、養鶏業だけでなく、自社のおいしい卵を直接消費者に届けるために、パンの製造販売やカフェなどへも事業を拡大し、持ち前の行動力で突き進んでいます。
「よい経営者」について、かつては「誰よりも仕事ができるトッププレーヤー」と考えていたという市田氏。今は「より良い未来を描くことができる人こそが、よい経営者である」と力強く語ります。「そのために経営者自身が経営理念に徹底して向き合おう」と市田氏は呼びかけ、報告を締めくくりました。
グループ討論では「社員に未来を見せられる経営者がよい経営者」、「入社した後継者との向き合う姿勢を考え直したい」、「社員を認め、尊敬し合える関係づくりに取り組みたい」などの意見や感想が出され、市田氏の、社員との関係に悩んでいた自分を乗り越え、なりたい企業像を明確化し、その姿に向けて社員と共に企業発展に奮闘する経営体験への共感が広がりました。
経営理念に向き合う中で自己変革し続けること、経営者同士の切磋琢磨の大切さを確認し合い、ゲスト2名から入会宣言が出るなど、明日への活力を得ることができた「集い」となりました。