活動報告

協働共生委員会(7月14日)

どうなっていく?「年収の壁」
~女性の働き方との関わりを考える

佐藤 文子氏

扶養の枠内で働いている短時間労働の女性のいわゆる「年収の壁」問題に対し、協働共生委員会では「年収の壁」の先行きについて、女性の働き方との関わりと絡めて佐藤文子委員長が概要説明を行いました。

社会保険は全員加入へ移行する方向に

厚生労働省によると、有配偶女性パートタイム労働者の約22%が、年収が一定額を超えると税金や社会保険料などがかかり手取り額に影響があるため、年収をその一定額以下に抑えるために就業調整を行っています。これがいわゆる「年収の壁」と呼ばれているものです。

このうち税金については税制を正しく理解することが肝要で、収入が増えて課税が発生しても、基礎控除・給与所得控除分が非課税のため、手取りが減るという逆転現象はそもそもありません。

社会保険料については今年成立した年金制度改正法により、今後は年収額・企業規模に関わらず、段階的に週20時間以上働く労働者全員が社会保険加入となっていきます。社会保険加入のメリット(傷病・出産手当金や厚生年金など)の理解も併せて広げていく必要があります。

また、配偶者手当についても廃止する企業が増加しており、「年収の壁」は消滅していく流れにあります。

「年収の壁」はこう変わる?

「壁」撤廃に必要な女性の労働環境整備

「年収の壁」撤廃に向けては、ほかにも女性が働きやすい環境整備を進める必要があります。

例えば育児中の母親が復帰できるよう、多様な働き方と子育ての両立を支援する制度の整備や、「ガラスの天井」と呼ばれる社会的風潮を克服していくことが挙げられます。

また各個人に求められることとして、年金や税金などの制度を正しく理解すること、「わからない」と放置せず将来を見通す力を養うこと、「自分のキャリアは自分で育てる」という主体的意識を持つことなどがあるといえます。