変化の時代に自社と向き合う
~同友会で得る「気づき」と「行動」のヒント
高橋 一仁氏 (有)府中屋

取引継続か信用維持か
府中屋の高橋一仁氏(豊橋南地区)を報告者に迎えて、東三河支部増強例会が開催されました。
同社は1945年創業の釣具卸売業です。これまで地域の専門店から全国チェーンまで幅広く取引を続けてきました。高橋氏は2005年に社長に就任しましたが、数年後に売り上げが半減し、資金繰りの悪化に直面しました。帳簿上の在庫が実際には存在せず、経営実態を見誤っていたことを高橋氏は深く反省したとのことです。取引先から支払サイト延長を求められた際、取引継続か信用維持かの選択を迫られ、後者を選びました。初めは売り上げが減少しましたが、徐々に利益率が改善し、小規模店との関係を再構築できたことが再建の第一歩となりました。
次に、営業部を再編し、経営理念・方針・計画を社員と共有する体制を整備しました。また、決算時期を変更して秋商戦に合わせることで、在庫と資金繰りを改善しました。経営には常に選択が伴います。高橋氏は苦しい局面の中でも、若手社員の前向きな姿に支えられ、人の力の大きさを実感したといいます。
未来の社員に誇れる会社を残したい
高橋氏が同友会で学んだのは、経営理念の大切さです。それがあるからこそ、危機に直面しても経営判断の軸を失いません。あいち経営フォーラムで環境・エネルギー分野を学んだことを機に、太陽光発電と蓄電を備えた新社屋を建設し、電力コストを83%削減しました。これはBCPとSDGsの観点から「未来の社員に誇れる会社を残す」ことも考え、安全で快適な職場を整備するためです。
同友会では、多くの経営者が同じ悩みを抱えていることを知り、心が軽くなったといいます。例会で得た気づきを実践することで、会社の土台が築かれました。変化の時代、現状維持は衰退の第一歩です。売り上げより信用を、短期より長期を、孤立より仲間とのつながりを、高橋氏は大切にしてきました。
逃げずに選択を続ければ、会社は成長できます。同友会は、その選択を正しいものに導く学びと仲間を与えてくれる場です。今例会を通じて得た気づきと学びを、各会員が自社で実践し、次の成長へつなげていくことの大切さを改めて実感できた非常に有意義な例会となりました。
(株)原田木型工業 原田 直樹









