外国人雇用について考える
菅原 直樹氏 (株)菅原設備

協働共生委員会と労務労働委員会で合同員会を開催し、経営理念に「未来共創」を掲げ、愛知県津島市で給排水衛生設備工事を営む菅原設備の菅原直樹氏が、外国人雇用をめぐって経験した課題と成果を報告しました。
直面した壁と転機とは
同社が人材不足を打開するため導入したのが、中国からの外国人技能実習生の受け入れです。その後、トルコやベトナムなど多国籍の人材が加わり、会社の成長を支える一方で、数々の困難にも直面しました。
特に大きな課題となったのは「言語の壁」です。実習生同士が母国語で会話するため日本語習得が進まず、現場で混乱が多発。また労務管理上のトラブルも後を絶たず、待遇への不満から逃亡するケースもありました。また制度上、外国人技能実習生は3年で帰国せざるを得ず、主力人材が一斉に抜けて現場は大混乱。菅原氏自身が倒れるまで現場を回したこともあり、外国人雇用の難しさを痛感したといいます。
転機は海外視察で「技能実習制度の本来の目的は、日本の技術を学び母国で生かすこと」と知り、衝撃を受けたことでした。以降、外国人を単なる労働力ではなく「夢や目標を持つ仲間」と捉え、制度や教育の整備に本格的に取り組み始めました。
共に働く未来へ
まずは技能に応じて昇給できる人事評価制度を整備。日本人と同じ雇用契約を結び、相談窓口や定期面談で安心して働ける環境を提供しました。また、日本語教育ではオンライン授業や定期テストを導入し、語学力の向上を支援。さらに技術研修を体系化し、基礎から実践、安全教育まで段階的に習得できるよう整備してきました。
その成果は確実に現れました。外国人社員が技能検定1級に合格、日本語スピーチコンテストで入賞するなどの実績を残します。建設業の専門資格を取得し、日本人と同様に現場を任される人材も育ちました。また、外国人社員の提案で海外現地法人を設立し、その社員自身が社長を務めるまでに成長。単なる作業者から経営を担うまでに至った姿は、外国人雇用の新たな可能性を示しました。
制度や文化の壁に苦慮しながら仕組みを磨き、人材を育てた同社の歩みは、中小企業が人手不足の時代を生き抜く大きなヒントを示しました。









