活動報告

企業変革支援プログラム Ver.2学習会・第2弾(10月1日)

人を生かす経営推進部門主催

なぜ今「変革」なのか、そして「変革」とは何か

青木 義彦氏  (株)サンテック

青木 義彦氏

普及・登録に向けて学習会を開催

人を生かす経営推進部門の設営で「企業変革支援プログラムVer.2」学習会が開催され、20名が参加しました。昨年から始まった本学習会は、第1回では変革の必要性と7つの外部環境(市場、技術、競争、顧客、法規制、人材、持続性)の変化について、第2回では自社の実践事例を中心に経営指針書との結びつき、現状認識について、第3回では経営者の姿勢と社員参画についての報告がありました。

通算4回目となる今回は、企業変革の実践と定着についての報告です。

「企業変革がなぜ必要か」議論を行う

経営指針書とセットで本プログラムを活用

まず、この企業変革支援プログラムVer.2は経営指針書とセットで活用してこそ、効果を発揮します。「人を生かす経営」に基づいた各社の経営指針を実践するためのツールとして捉えています。

ローカルベンチマーク(通称ロカベン)は、金融機関が企業の経営状態を把握し、どう評価しているのかを可視化するものですが、この企業変革支援プログラムVer.2は同友会が目指す企業像を数値化して、その到達度合いを測るものとして使用することができます。

『企業変革支援プログラムVer.2』よりP.6右下図

採用できない、育たない、続かない現実

青木氏は過去3回の学習会で、共通して「企業変革がなぜ必要なのか」を伝えてきました。どんな業界でも、市場変化に適応できなければそこに居続けることは難しく、何も手を打たなければ蚊帳の外に追いやられてしまうという危機感からです。

最近、理事会でも「景気が悪くなっている」という報告がありました。世の中の流れとしても顕著であり、後継者不足は深刻で、M&Aや廃業の話も聞きます。また、会員企業の退会理由などを聞いていても、厳しさが数字に表れているように感じます。

特に、人手不足は高齢化や少子化など社会構造の変化により労働力の供給が減少しているという深刻な問題です。それに加え、雇用の流動化も人手不足を促進する流れとなり、企業としては採用難はもちろんのこと、社員が育たない、続かないという状況が早期離職につながっているのではないかと推測します。

社員の定着と教育に苦労している企業は、人が辞めない企業づくりを目指しますが、それは決して給料や休日数、福利厚生などの働く上での条件面だけでは解決せず、変革が必要だと考えます。

今後も中小企業にとって逆風の状況は続くと思われますが、国の制度や支援の整備を待っていては遅いので、気付いた人から変革していく必要があると話されました。

変革とは「問い直すこと」

「変革」とは何か? 青木氏は、「このままでよいのか」と問い直すことだと定義しています。「変革=すべてを変えることではない」と考えているからです。サンテックでも、社内で社員に問いかけながら、変えてはいけないもの、守りたいものを明確にしています。「共感、共有、未来」の3つのステップで、語りたくなる場や雰囲気づくりを意識しているそうです。

社員としては、「何か話してみて」と急に問われても困ってしまうので、身近な業務の反復の中で、モヤモヤすることや、整理されていない部分を出し合うこと。そして話し合う時間をつくり、自分の業務と向き合うことで、「もっとこうしてみては」と問い掛ける癖をつけていくことが必要だと青木氏は語ります。

会話ではなく対話を

その対話の内容は、成功談だけでなく途中や迷いの話でよいこと、うまく話せなくても沈黙も尊重すること、話されたことについて否定や評価をしないこと。さらに、聞き手の姿勢も含めて、誰かの語りに自分の経験を重ねて聞いていくことで、お互いを尊重し合う風土づくりにつながると、青木氏は述べました。

そういった対話を引き出すために、企業変革支援プログラムVer.2の6つのカテゴリー、26個のサブカテゴリーを活用しながら、問いかけの材料にしていただければと思います。

毎年11・12月は企業変革支援プログラムVer.2のe.doyu登録強化・普及月間となっています。これを毎年の自社点検の契機として活用し、企業変革につなげていきましょう。