活動報告

人を生かす経営推進部門・経営指針推進本部 共催(5月21日)

同友会らしい経営指針の実践をしよう
~危機を乗り越え、強い会社へ

明石 耕作氏  (株)トヨコン

明石 耕作氏
明石 耕作氏

何を軸に判断しどこに向かうのか

5月21日に全県学習会が開催され、「同友会らしい経営指針の実践をしよう~危機を乗り越え、強い会社へ」をテーマに、経営指針を軸とした企業づくりについて学びました。

経営指針推進本部長の水戸勤夢氏による問題提起では、物価高騰、円安、中東情勢など、経営環境が激しく変化する中で、今こそ経営指針の大切さが問われていることが強調されました。目先の資金繰りや売り上げ確保はもちろん重要ですが、危機の時代だからこそ、経営者が何を軸に判断し、会社がどこに向かうかが問われます。経営指針は「作って終わり」ではなく、会社の未来を考え続け、実践し続けるための羅針盤であることが提起されました。

後継者こそ指針が必要

今年度より愛知同友会代表理事に就任したトヨコン代表取締役の明石耕作氏に、経営指針の実践について報告していただきました。

同社は顧客の要望で1963年に梱包会社として創業。2003年に明石氏が社長に就任しました。当時は1社依存度が高く、言われたことはきちんとこなす「指示待ち型」の社員が多い状況でした。外部環境も厳しくなる中で、明石氏は会社を変えたいという思いから経営指針の作成に取り組むも、社員には自信を持って理念を語れなかったところからのスタートでした。

創業者は「自分が理念だ」と背中で語ることもありますが、後継者こそ経営指針が必要だと明石氏は語ります。後継者としてどのような思いを持っているのか、会社をどうしていきたいのかを、今まで勤めてきた社員にも伝えることが大切です。

最初の理念には下請け意識を脱却する「自立」と自発的で主体性を持った社員になってほしいという思いを込め「自主的社員」という文言を入れましたが、まだまだ腹落ちしていないため、社員に伝わらなかったと明石氏は振り返りました。

「指針・採用・共育」こそが経営者の仕事
「指針・採用・共育」こそが経営者の仕事

経営者の覚悟と会社の変化

課題となっていた若手の採用と1社依存度の低減に向け幹部と方針を作り、中途採用をスタート。入社した社員と共に新規顧客を増やしていく中で、2008年にリーマンショックが起きました。顧客の海外移転に伴って20名規模の仕事がなくなり、早期退職を募ることを迫られます。結果的に7名に退職を依頼することとなり、「こんな悲しい思いを社員には二度とさせない」と、明石氏の経営者としての覚悟が定まりました。

2012年に「あなたにとって理想の会社とは」と問うアンケートを実施し、新たなプロジェクトを立ち上げました。30名のメンバーが集まりましたが、なかなか社員に思いが伝わらなかったそうです。しかし、「今ある仕事はいつかなくなる」ことを伝え続けたことで、何とか新しい仕事を増やすことができ、社内の体質改善が少しずつ進みました。

経営者がやるべき仕事

2014年のグループ会社統合の際に、新事業としてマーケティングオートメーションが提案されました。予想以上の費用であるため役員は承認できなかったのですが、社員の熱意もあり、明石氏が導入を決断。社員も積極的に行動し外部の評価も高まったことで、社員を信じてよかったと明石氏は語りました。

緊急性と重要性のマトリクスの中で、経営者のやるべき仕事は「緊急性が低く、重要性が高い」ものだと明石氏は強調します。それが「指針・採用・共育」であり、すぐに結果は出ないものですが、社長にしかできない仕事です。経営指針は永遠に未完成であり、次の経営指針を皆で考えること。「『地域未来創造企業』を同友会の仲間とつくっていこう」と報告を締めくくりました。

グループ会社統合を機に刷新された同社経営理念
グループ会社統合を機に刷新された同社経営理念

まとめ

人を生かす経営推進部門長の磯村太郎氏によるまとめでは、経営指針は会社の課題を受け止める「器」であり、その器にさまざまな課題を入れ、社員と共に1つ1つ解決することが実践であると述べられました。

最初は小さな器でも、実践すれば新たな課題が見えてきます。その課題をまた指針書に書き込み、社員と共に解決していくことで、器は少しずつ大きくなります。まず始めること、そして実践を継続することが、会社を変革していく力となります。「自分だけで考え込むのではなく、仲間と共に経営指針を磨き上げよう」と呼びかけられました。