景況調査

第44号-2004年11月
一進一退の景気回復~楽観的見通し薄れる

【概況】
【業況判断】 「今月の状況」・前年同月比ともに改善するが、見通しは暗い
【売上高】【経常利益】 「売上高」・「経常利益」ともに見通し悪化
【在庫】 過剰感低下続く
【価格変動】【取引条件】 「価格」建設業・流通業で「上昇」超過に。「取引条件」改善続く
【資金繰り】 サービス業で窮屈感高まる
【設備過不足】【施設稼働率】 設備は「不足」超過幅縮小。稼働率は大幅に「上昇」見通し超過幅縮小
【雇用】 「不足」感の高まり続く
【経営上の力点など】 「仕入単価の上昇」トップに
<会員の声>
DI値推移一覧表

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景況調査報告(2004年11月)第44号(PDF:1.08MB)


【概況】

 一進一退の景気回復が続いています。「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DI(今月の状況)は、5期ぶりの悪化を示した前回から一転して、今回の調査では前回の18から9ポイント改善して27になりました。これは「よい」と回答した企業が5%増加したことに加え、「悪い」と回答した企業が4%減少したことによります。このように足元は改善されましたが、次期見通しをみるとその持続性は不安定なようです。というのも、前回の35から22へと13ポイントの大幅な、しかも全業種そろっての悪化となっており、前回調査のような楽観的見通しは急速に薄れつつあるからです。
 ヒアリング調査でもこの一進一退の状況を反映してか、数値の好調さを裏付ける要因とともに、先行きを懸念させる要因も指摘されました。今回の改善に大きな役割を果たした建設業に関しては、マンションや工場の建設、耐震工事など引き続き民需が好調ですが、雇用動向(今月の状況)のDI値が△40を示したことからもわかるように顕著な職人不足が続き、最近では原材料の価格上昇だけでなく入手の困難が起きています。また来年の2月以降の見積もりや設計の受注が急減しているとして、先行きの不安を訴える声も多く聞かれました。自動車業界の好調さが大きな要因となっている製造業も、自動車関連以外の企業では原材料費等の値上げを最終価格に転嫁できず厳しいという声があります。先行きについても、製造業は4業種の中で一番次期見通しの悪化幅が大きくなっています。流通業やサービス業に関しては、数値で示されているほど景気のいい話は聞かれませんでした。流通業は台風や地震などの自然災害により大きな打撃を受け、特に第一次産品を扱っているところでは、商品そのものがなかなか手に入らず仕事ができない状況が生じています。冬物衣料の売れ行きが暖冬の影響で厳しいと指摘する声もありました。
 以上、見てきたように足元は改善したにもかかわらず、景気回復への自信はむしろ減少しているのが現状です。その背後には建設業や製造業の好調さが依然個人消費に結びついていないこと、為替相場および米国・中国経済の動向など景気の腰折れを懸念させる材料が山積していることもあります。先が見えず不安が広がりつつある今こそ、長期的視野を持ちつつ状況の変化に機敏に対応できるような経営計画の作成が必要でしょう。

[調査要項]
 1.調査時  2004年11月22日~11月26日
 2.対象企業 愛知中小企業家同友会、会員企業
 3.調査方法 調査書を電子メール、FAXで発送、自計記入、インターネット専用サイト、FAXで回収
 4.回答企業 2,112社より、445社の回答をえた(回収率21.1%)(建設業70社、製造業145社、流通144社、サービス業86社)
 5.平均従業員 37.6人
 なお、本報告は愛知中小企業家同友会情報ネットワーク委員会(委員長、藤田彰男・赤津機械(株)社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議(座長、山口義行・立教大学経済学部教授)での検討を経てなされたものである。

【業況判断】
「今月の状況」・前年同月比ともに改善するが、見通しは暗い

 「今月の状況」DIは前回の18から9ポイント改善して27となった。業種別に見ても、建設業が34から45へと11ポイント、製造業が21から33と12ポイント、流通業が12から21と9ポイント、サービス業が10から14と4ポイントと全業種において改善が見られた。その中でも建設業では5割以上の企業が「よい」と回答しており、今回の改善においての牽引役となっている。前年同月比DIも前回の15から6ポイント改善して21となった。業種別では、建設業が34から31と3ポイント悪化させたのに対し、流通業は10から19と9ポイント、サービス業は4から21と17ポイントの著しい改善を見せた。製造業は前回と変わらず18であった。今回の調査では全業種ともに「好転」と回答した企業が4割を超えた。次期見通しについては、前回の35から22へと13ポイントも大幅に見通しを悪化させており、業種別に見ても、建設業(36→25)、製造業(46→28)、流通業(29→15)、サービス業(28→21)と全業種そろって悲観的な見通しを立てる企業が増大している。

業況推移DIグラフ

業況推移DIグラフ
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【売上高】【経常利益】
「売上高」・「経常利益」ともに見通し悪化

 売上高DI(前年同月比)は、前回調査の17から20へと3ポイント改善した。業種別にみると、流通業(12→21)とサービス業(3→10)が改善をみせたのに対し、建設業が37から26へと11ポイント悪化した。製造業(22)は前回と同様であった。次期見通しも前回の25から13ポイント悪化して12となった。業種別では建設業(26→9)、製造業(35→16)、流通業(22→8)が見通しを大きく悪化させたのに対し、サービス業だけが11から14へと3ポイント改善させている。
 経常利益DI(今月の状況)は前回の20から31へと11ポイント改善した。業種別では建設業(11→45)、製造業(28→31)、流通業(24→34)、サービス業(10→15)と全業種で改善が見られた。そのなかでも34ポイントという著しい改善をみせた建設業では回答企業の6割以上が「黒字」としている。また、前年同月比でも前回の6から17へと11ポイント改善した。業種別にみても、建設業(6→24)、製造業(12→17)、流通業(1→19)、サービス業(3→7)とそれぞれ全業種において改善している。しかし、次期見通しでは前回の33から20へと13ポイント悪化しており、業種別でも建設業(18→10)、製造業(45→23)、流通業(34→28)、サービス業(22→10)と一様に悪化が見られる。

売上高推移DIグラフ

売上高推移DIグラフ
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経常利益推移DIグラフ

経常利益推移DIグラフ
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【在庫】
過剰感低下続く

 在庫感DI(今月の状況)は前回の13から2ポイント「過剰」超過幅が縮小して11となった。業種別でも製造業が13から10と3ポイント、流通業が13から11と2ポイントそれぞれ「過剰」超過幅を縮小している。前年同月比では前回の5から12と7ポイント「増加」超過幅が拡大している。業種別に見ても製造業(8→9)、流通業(2→14)とともに「増加」超過幅が拡大している。次期見通しは、前回調査(5)と変化がなかった。業種別では、製造業(4→5)、流通業(7→4)となっている。

【価格変動】【取引条件】
「価格」建設業・流通業で「上昇」超過に。「取引条件」改善続く

 価格変動DI(前年同月比)は前回の△10から△9へと1ポイントとわずかに「低下」超過幅が縮小した。これで「低下」超過幅の縮小は7期連続である。業種別では流通業(△2→0)とサービス業(△24→△22)が「低下」超過幅を縮小させた一方で、建設業(△4→△6)と製造業(△10→△11)は「低下」超過幅を拡大させている。次期見通しでも△7から△4へと3ポイント「低下」超過幅が縮小した。業種別では建設業が△6から4、流通業が△1から1と「上昇」と予想する企業が「低下」と予想する企業の数を上回った。またサービス業も△23から△8へと大きく「低下」超過幅を縮小させたが、製造業だけが△4から△10へと6ポイント「低下」超過幅を拡大させた。
 取引条件DI(前年同月比)は前回の△8から△5へとなり、3期連続の「悪化」超過幅縮小となっている。業種別でも、全業種(建設業:△6→3、製造業:△4→△2、流通業:△10→△9、サービス業:△15→△9)でそれぞれ改善がみられるが、なかでも建設業の改善幅は大きく「好転」超過へと転じた。次期見通しについては前回の△5から△7へと2ポイント「悪化」見通し超過幅が拡大した。業種別でみると製造業(△1→△6)と流通業(△3→△8)とが「悪化」見通し超過幅が拡大したのに対し、建設業(△8→△3)、サービス業(△16→△8)とが「悪化」見通し超過幅が縮小した。

【資金繰り】
サービス業で窮屈感高まる

 今月の状況DIは前回の△19から2ポイント「窮屈」超過幅が縮小して△17となった。業種別でみると、建設業(△29→△17)と製造業(△20→△11)とが「窮屈」超過幅を縮小させたのに対し、流通業(△13→△14)とサービス業(△22→△30)とが「窮屈」超過幅を拡大させた。次期見通しについては、前回の△21から△22へと1ポイント「窮屈」超過幅が拡大した。業種別では、建設業だけが△36から△33へと3ポイント「窮屈」超過幅を縮小したが、流通業(△14→△16)とサービス業(△26→△33)が「窮屈」超過幅を拡大させた。サービス業では回答企業の5割以上が「窮屈」になると見通している。製造業は△17で前回と変わりがなかった。

【設備過不足】【施設稼働率】
設備は「不足」超過幅縮小。稼働率は大幅に「上昇」見通し超過幅縮小

 設備過不足DI(今月の状況)は前回の△21から△18へと「不足」超過幅が3ポイント縮小した。業種別では建設業と製造業が△24から△17へと7ポイント、サービス業が△24から△13へと11ポイント「不足」超過幅を縮小させた。一方、流通業だけが△15から△22へと7ポイント「不足」超過幅が拡大した。次期見通しでも、前回の△19から△16へと3ポイント「不足」と見通す企業の超過幅が縮小した。業種別でも、建設業(△16→△10)、製造業(△23→△11)、サービス業(△24→△18)が「不足」超過見通しが縮小しているのに対して、流通業だけが△12から△22へと10ポイント「不足」超過見通しが拡大した。
 施設稼働率DI(前年同月比)は前回の6から11へと「上昇」超過幅が5ポイント拡大した。業種別でみても、製造業(5→11)、流通業(6→11)とそろって「上昇」超過幅を拡大している。次期見通しでは、前回の16から1へと15ポイントも大幅に「上昇」見通し超過の幅が縮小している。業種別でも製造業(19→0)、流通業(13→4)と大幅に「上昇」予想の超過幅が縮小している。

【雇用】
「不足」感の高まり続く

 今月の状況DIは前回の△28から△32へと4ポイント「不足」超過幅が拡大し、3期連続の超過幅拡大となっている。業種別では、建設業(△38→△40)および流通業(△22→△36)では「不足」超過幅が拡大したが、製造業(△29→△27)とおよびービス業(△29→△27)では「不足」超過幅が縮小した。次期見通しでは、前回の△29から△26と3ポイント「不足」予想超過幅が縮小した。建設業(△31→△32)と流通業(△24→△30)が「不足」予想超過幅を拡大させたが、製造業(△30→△21)とサービス業(△32→△21)は「不足」予想超過幅を縮小させた。

【経営上の力点など】
「仕入単価の上昇」トップに

 全業種でみた「経営上の問題点」は「仕入単価の上昇」が30%でトップであった。これに「販売先からの値下要請」(26%)、「民間需要の停滞」(25%)、「従業員の不足」(22%)が続く。業種別で特徴的であったのは、サービス業で第1位に「民間需要の停滞」だけでなく「新規参入者の増加」および「取引先の減少」(27%)を、製造業で第3位に「仕入先からの値上要請」(25%)を指摘していることである。その他の文書回答では「材料の確保・安定供給」や「同業者の値下げ競争」などが指摘されている。
 「経営上の力点」は「新規受注(顧客)の確保」が57%で第1位であった。これに「付加価値の増大」(53%)、「社員教育」(36%)が続く。業種別では、第4位に建設業では「人材確保」(29%)を、製造業では「財務体質の強化」(28%)を指摘していることが特徴的である。その他の文書回答では「受注物件の絞込みと受注バランス」などが指摘されている。

<会員の声(業種別)>

(1) 建設業
●今月の業況判断は前回の34から45と11ポイントの大幅アップ、前年同月比は34から31と3ポイントと若干のダウン、次期見通しは36から25へ11ポイントダウンの厳しい見通しです。
毎年この時期は業況が大幅にアップし次期見通しが下がるというカーブを描いていますが、これは「新年を新居で」というこの時期独自の季節要因と見ることができそうです。
業況判断のグラフにおける現在のポイントが、景況調査を始めてから一番高い位置で推移していることは、自動車を中心とした製造業が堅調なことや、直接的な仕事は少ないものの、万博・空港の影響で、この地域が相対的に景気がよく、そのことが民間需要を引き上げている結果ではないかと思われます。

1.総合建設
・(1)今期(5月決算)は前年比プラス30%増で推移しているが、その内容は住宅新築引き合い増が顕著に見られる。(2)リフォームも前年並に引き合いがある。(3)官庁工事の総額は少ないが前年比8倍に増加(今期官庁工事の割合約25%)下請け業者も忙しく、労務職の手配が大変である。(A社)
・相対的に忙しいことは事実。スパンが短くなって忙しい。民間住宅やマンションが中心だが入居時期の問題があり、2月には終わる予定でその先は不明。(B社)
・建築業界では、鋼材、建材の値上がりが著しいにもかかわらず、価格競争で受注額が上がらず利益が出ない状況。 工事物件は、秋口から多くなって来ているのに、「大プロジェクトも終わり、来春から物件数が極端に少なくなる。」と言われている危機感から受注確保に焦り、安売り競争のままである。(C社)
2.建築・リフォーム
・リフォームに於いて引き合いは活発であるが、個人住宅でも数社の相見積りが通常化しており、競合により利益率が低下している。(D社)
・建設全体に見て多忙になってきている。材料の確保難や、下請けの確保がむつかしく追われている状況。 現状では好転しているようだが、半期先まではまだ読めない状況である。(E社)
3.鉄筋工事
・低価格、高品質を求め続ける顧客。最近、駄々をこねる赤ん坊に見えてきた。(F社)
4.舗装切断工事
・万博とトヨタの設備投資のおかげで仕事を確保できている。製造業でない建設業の我社まで影響を受けるなんて、トヨタってすごいと実感。(G社)
5.内装工事
・内装業界は12月、1月は暇な時期ですが、万博、空港、三越の影響により、例年にない忙しさである。月時決算では毎年赤字となり、食い潰しの時期であるが、今年は凹みが減る分、利益となりそうである。しかし来年は不安なものである。(H社)
・トヨタ関連企業の好況に支えられ仕事量は確保されているが、今後の仕入れ価格の変動が不透明であり受注契約金額の判断が難しい状況。将来的な視野で考えると、産業空洞化も予見されており、マーケティング戦略の重要性が増すと思われる。(I社)
6.電気工事
・利益無き繁忙。職人が足りない。相見積もりで必ず低く落とすところがある。するとそれが基準になってしまう。役所関係、特に国は単価が厳しい。3月には空港も万博も終わってしまうので、その後が極めて不透明。(J社)
・各製造工場がフル稼働している。ある鋳物工場は3年先まで受注があるとの事。我々が受注する工事は、単価は厳しくなり仕入れは上昇している。製造業の影響で住宅に関する仕事も減っていない。この傾向は来年も続くと思われる。(K社)

( 事務局 山田 )

(2)製造業
●製造業の業況は、高いDI値レベルで「一進一退」の状況が続いています。「今月の状況」は、前回一旦下がったプラス値を再度上昇(改善)させていますが、「次期見通し」ではおし並べて大きく後退(悪化)させています。今月の状況=「業況判断」DI(以下全てDI値)21→33、「経常利益」28→31、「在庫感」13→10。次期見通し=「業況判断」46→28、「売上高」35→16、「経常利益」45→23、「在庫感」4→5、「施設稼働率」19→0、「設備稼働率」△23→△11等です。また「前年同月比」各DI値は、ほぼ変わらずといったところです。
経営上の問題点として、「仕入単価の上昇」を44.1%が回答し第1位、「仕入先からの値上げ要請」が24.8%で第3位に上がっています。昨年秋頃からの素材不足、価格上昇の問題は、ますます進行しているといえます。徐々に素材から加工品へと、価格交渉が起きつつあるようです。しかし、中小企業においては、まだ売値には転嫁できないとする企業が4割、交渉できても7割方は自社で吸収している、という状況で、利幅圧縮の大きな要因になっています。「今は量が出ているので何とか黒字維持。200%のフル操業でも従業員の賞与は上げられない」の声に代表されるように、好調業種の景気が、消費関連や他業界に影響する力が弱くなっています。同じ製造業の中でも、業種の間での格差が拡大しています。業況感の「一進一退」は、マクロな経済動向と同時にそのあたりからも出ているのではないでしょうか。

1.自動車関連(設備・部品)
・トヨタ系は05年にフランス、テキサス、イギリス、トヨタ広州、四川等海外現地工場が好調な動きを示し、ほかにもトヨタ九州、関東自動車、織機、田原等で大型の設備計画がある。仕事の予定があり過ぎて大変な状況である。(A社)
・先行受注が多く来年3月まで入っている。 今迄3年間で無い現象が起きている。(B社)
・自動車業界の好調なこともあり売上は伸びているが、客先からの値下要請と材料仕入先からの値上げ要請で板ばさみとなり、利益が上がらない。景気回復は、大企業と新聞紙上だけで実感が湧かない。景気に左右されない企業を目指していきたい。(C社)
・受注単価が原価割れしており仕事をやっても利益に繋がらない。又品質面での要求は強化され、そのための増員などでますます原価が上がってしまっている状況。(D社)
2.IT・電気電子関連、産業機械部品関連
・年明けからの景気動向に不安がある。特にIT分野の減速が顕著であり、これが一時的なものか判断しかねる。(E社)
・自動車にせよ、液晶テレビにせよ、当社の業界にせよ、増注ではあるが、国民としてみると、そんなにモノが売れているのか実感できない。年内までに、ドル安・原油高・鉄鋼高・金利の上昇などにより、現在の好景気に歯止めが打たれるのか、来年の景気が見えない。(F社)
・今月7月から確実に悪くなってきている。当社の売上げからそれが見られる。それが最近新聞等において設備投資の変化として書かれるようになった。だが一方的右下がりではなく下振れの中の上下動のような感じがする。(G社)
3.印刷関連
・大型設備の更新期を迎えており、その更新のタイミングの見極めと判断が問題。(H社)
・紙の値上がりがどうなるか心配。低利益でも仕事をやらないと仕事がなくなる。(I社)
・資材価格が徐々に上がってきており、それを商品に転化することが難しく利益を圧迫。(J社)
・景気回復説があるが、我々および顧客業界を見るとその様に思えない。機械製造業だけで一般消費は低迷して行くばかりなのではないだろうか。(K社)
4.建材関連、繊維関連
・材料(金属)の値上がりが製品単価へ転嫁できず、現在営業が顧客に説明する為の資料づくりと社内全体の仕入れの見直しを実行中。(L社)
・同業他社のあいつぐ廃業や倒産などで受注は増大しているものの、利益を出す体制に未だなっていない。体制の改革と、それに見合う人材をいかに獲得するかが課題。(M社)
・天候による要因が問題(N社)

( 事務局 加藤 )

(3)流通業
●11月の業況全体としては(12→21)と大幅改善を示し、「前年同月比」では「売上」(12→21)「経常利益」(1→19)ともに大幅改善を示しています。しかし「次期2月見通し」DIは、全項目での悪化を示していますが、特に「売上」(22→8)「経常利益」(34→28)ともに大幅の悪化予測となっています。
機械設備・部品関係の卸は、不況で我慢をし耐用年数を超えた設備使用や、リストラによる人不足と相まって事故が多発した大手製造業の一斉設備更新が、今年一巡しています。中小企業も事情は同じですが、一斉設備更新は難しく、段階的に設備更新の流れが続いていくものとの見通しが聞かれます。
また、中小鉄工製造業関連では、中古機械設備等のリサイクル需要が旺盛になっています。
包装資材・石油関連商品等の卸では、小売サービス業の不振による値下げ要請と売上の減少、原油高による仕入れ高の間での板ばさみ状態が続いています。原油産出国等の減産中止報道でも仕入れ価格は変らず、高値安定で推移し、年末商戦へ向けて資材確保に対応が迫られているとの声が聞かれます。
生活に直結する、衣類・燃料・食品関連では、季節のめぐりが不順なために、総じて大きな影響を受けています。この分野の商品を運ぶトラックなどの流通業界は、排気ガス規制によるトラックの買替投資による負担を背負い、仕事の減少・過当競争のなかで生き抜くための模索を続けているとの声が聞かれます。
個別企業としての対応は当然のことながら、グローバルスタンダードで市場経済に任せているだけでは中小企業の経営が影響をうけ、ひいては国民生活が影響を受けます。国民の生活と直結する中小企業が自らの役割を果たすためにも、中小企業振興条例が有効に機能することを当たり前とする社会システムを作り上げていく事が求められているといえます。

1.機械設備・部品関連卸
・中部地区の状況は自動車設備を中心に今後も順調に需要がある。関東・関西はIT関連が縮小。今後は来年の需要減少に備えて準備しておかなくては。(A社)
・相変わらず工作機械やエアーコンプレッサーの業界は好調であるが、頭打ち感はある。とは言え、従業員の一部高齢化に備え若手の補充は不可欠。 建屋等の補修など今のうちに進めておきたい。(B社)
・2005~6年までは受注案件がかなりある。客先の設備投資も旺盛。但し不確定要素で物件消失もありえるので、余裕のある中での新しい事業展開が急務だ。(C社)
2.小売関連
・飲食業が大変厳しい状況。特に消費者の目が厳しく、シビアーな買い方をされる。 景気が上向きと言われるが本当の景気は我々の業会がよくならなければと思う。(D社)
・酒類業界において、特にビールに関しては、長年に仕入単価と販売単価が逆鞘状態。その中でもリベート(メーカー、一次卸しより)で調整し台頭したのがDSでした。ここ数年、業界全体、急激な淘汰が進み限界状態。加えて明年1月よりビール4社による、従来の建値が崩され、値上げに繋がる。(E社)
・今月は近くに大手スーパーが開店して競争の激化、大変な状況。このままでは中小小売がだめになっていく。(F社)
3.食品・クリーニングなど生活関連
・年末に県外の大手業者が参入するる、当社の顧客に影響がどう出るか気がかり。当業界では久しくなかったことであり、今後も県外資本が流入・競争が激化し採算の悪化が予想される。ポスト万博の県内景気の落ち込みも予想して手を打っていく。(クリーニングG社)
・加工食品業界は余り良くない。気象異変から特に野菜が暴騰欠品し、漬け物関係では原料不足から生産を落としている。その他一般加工食品もぱっとしない。年末需要期を迎えているが加工用野菜の価格安定がないと3月まではダメと言われている。(H社)
4.運送業界関連
・当社では排ガス規制によるトラックの買い替えや燃料代の上昇、定年者の退職金、売掛金回収困難先の増加などにより頭がいたい。客先の要求も年々エスカレートしてきている。  (I社)
・今冬の暖冬で稼働率は30%以上落ち込んでいる。季節労働者の待機と正社員の休日増加で対応していているが、早く冬の寒さが来て欲しい。(J社)

( 事務局 服部 )

(4)サービス
●最近の業界状況について、文書回答よりひろってみました。

1.飲食店
・消費者のマインドが極めて冷静。より満足度の高いサービスを求めている。売上高の増加のために、新たな付加価値を生み出さないと先には進めないと判断している。(A社)
・今年度4店舗新しく出店したため、売上げは全体として上がっている。しかし、9月の台風以降、個々店では昨年比で売上が低下。10・11月2カ月とも昨年比売上92%に低下している。(B社)
・夜の客の急激な落ち込み、客単価の低下、コンビニの増加による売上減。(C社)
2.建築設計
・工場、事務所など民間設備投資も一巡した感じがある。住宅は賃貸を中心にまだ安定してある。しかし、土地が出ないため少し止まり気味。分譲マンションは大手の市場となり、地元は減っている。建築全般には、単価は一時の上がり基調から少しが下落して落ち着いてきている。(D社)
3.クリーニング一般
・当社は集配業務中心でお客様の信頼と当社の信用で業務を行ってきた。しかし今日の状況は低価格化のため多量に生産しなければ利益が出ない上、お客様の要望(ドライブスルー、取次ぎ営業所、低価格化ショップなど)ばかりで、間接的にお客様のニーズが伝わってくる。(E社)
4.各種セレモニー企画
・取引の拡大は一部大企業に見られる。但し、中小企業は依然として厳しい状況で、せめて中企業との取引が広がらないと好況感は生まれこない。来年の万博は期待できそう。(F社)
5.特殊洗浄
・弊社は、デジタル景気のお陰で、ここ2年くらい売上が伸びているが、ここに来て、若干供給過剰気味になっており、生産調整局面に入ってきたように思う。大きく影響を受けないよう、自動車、製薬など広い取引をするようにしているが、若干売上の伸びが鈍化。(G社)

( 事務局 内輪 )