景況調査

第46号-2005年5月
一進一退抜け出せず~製造業には供給限界説も

【概況】
【業況判断】 今月の状況、2期連続の悪化
【売上高】【経常利益】 売上高、サービス業で大きく改善。経常利益、次期見通し悪化
【在庫】 今月の状況、過剰感の強まり続く
【価格変動】【取引条件】 価格変動、前年同期比で建設業・流通業が「上昇」超過に。取引条件、「悪化」超過幅縮小
【資金繰り】 今月の状況、3期連続の「窮屈」超過幅縮小
【設備過不足】【施設稼働率】 設備過不足、サービス業で「不足」超過減少続く。施設稼働率、「上昇」超過幅縮小
【雇用】 今月の状況、4期連続の「不足」超過幅拡大
【経営上の力点など】 問題点で「民間需要の停滞」と「仕入単価の上昇」がトップに
<会員の声>
DI値推移一覧表

※全文のPDFファイルはこちら
景況調査報告(2005年5月)第46号(PDF:1.05MB)


【概況】

 業況が「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DI(今月の状況)は前回の21から3ポイント悪化して18となりました。これは「よい」と回答した企業は3%減少しましたが、「悪い」と回答した企業に変化がなかったためです。これで2期連続の悪化となりましたが、2年近くにわたって変動は小さく、いわゆる「踊り場」状態にあるともいえます。とはいえ、愛知は全国と比較すれば、愛知に特有の要因から良い状態での横ばいとなっています。
 ヒアリング調査では、これを裏付けるように建設業と製造業に関しては非常に忙しいとの意見が多数出されました。その要因として建設業では引き続きマンションや民間住宅が好調であることに加えて、現在はショールームなど自動車関連の施設や配送物流センターの建設が活発になっていることがあるようです。この忙しさはしばらく持続するとの見通しが多く聞かれましたが、その一方でこれまで建設業を牽引してきた分譲マンションの販売の悪化や官需が少ないことなど不安要因をあげる声も聞かれました。製造業では自動車業界の設備投資だけでなく、一般的な設備投資の増大が好調の要因のようです。このような要因から売上自体は増大しているにもかかわらず、材料価格の上昇が依然として解消されていないために利潤の増大は抑えられているようです。製造業でもしばらくはこの好調な状態が続くという予想が多くありましたが、これ以上の供給拡大に対する要請には対応できないとの意見もありました。しかしそれがどれくらいの間続くのかという疑問や、またその後についてはどうなるのかわからないという不安の声も多く聞かれました。流通・サービス業に関しては、製造業関連や万博の影響を受けた飲食関連では状況が好転したという意見もありましたが、それを除くと個人消費の下げ止まり感はあるものの、厳しい状況が続いているようです。建設・製造業の好調さが人件費の抑制などによって流通業やサービス業全体に波及しにくい構造となっていることが背景にあると考えられます。
 今回のヒアリング調査も建設・製造業の好調さが強調され、しばらくこの状態が続くという見通しが大半でした。しかし、為替相場や米国経済の動向によっては大きく影響を受けますし、個人消費の増大に結びつかない限り全体の回復はなかなか見込めません。また日銀はゼロ金利政策転換の時期を模索していますが、金利上昇は様々な混乱を引き起こすと予想されますので、マクロ情勢に無関心であることは許されません。

[調査要項]
 1.調査時2005年5月25日~5月31日
 2.対象企業 愛知中小企業家同友会、会員企業
 3.調査方法 調査書を電子メール、FAXで発送、自計記入、インターネット専用サイト、FAXで回収
 4.回答企業 2,179社より、508社の回答をえた(回収率23.3%)(建設業93社、製造業166社、流通161社、サービス業88社)
 5.平均従業員 35.4人(中央値 14.0人)
 なお、本報告は愛知中小企業家同友会経営環境調査委員会(委員長、藤田彰男・赤津機械(株)社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議(座長、山口義行・立教大学経済学部教授)での検討を経てなされたものである。

【業況判断】
今月の状況、2期連続の悪化

 「今月の状況」DIは前回調査の21から3ポイント悪化して18となった。業種別では、建設業が33から24と9ポイント、製造業が21から18へと2ポイント、流通業が23から14へと9ポイント悪化したのに対し、サービス業は8から19へと11ポイント改善した。前年同月比は前回の11から18へと7ポイント改善した。業種別に見ると、流通業は前回調査の17と変化なかったが、建設業では23→32、製造業では7→18、サービス業では1→7と改善が見られた。3ヶ月後の次期見通しでは前回調査の30から25へと5ポイントの悪化となった。業種別では、建設業が13から33へと20ポイント、サービス業では20から26へと6ポイントと、見通しを明るくしている。反対に製造業では44から22へと22ポイント、流通業では31から21へと10ポイント見通しを悪化させた。

業況推移DIグラフ

業況推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

【売上高】【経常利益】
売上高、サービス業で大きく改善。経常利益、次期見通し悪化

 売上高DI(前年同月比)は前回の13から16と3ポイント改善した。業種別では、製造業が11から13へと2ポイント、サービス業が△7から11へと18ポイントそれぞれ改善した。サービス業では大きく改善しただけでなく、前回調査での「減少」超過から一転、再び「増加」超過に転じた。他方、流通業では21から16へと5ポイント悪化した。建設業は26で前回調査と変わらなかった。次期見通しについても前回の14から11となり3ポイントの見通し悪化を示している。業種別で見ると、製造業では20から13へと7ポイント、流通業では18から8へと10ポイント悪化した。建設業では13→15と2ポイント、サービス業では0→11と11ポイント見通しを明るくなっている。
 経常利益DI(今月の状況)は前回の23から26へと3ポイント改善した。業種別では建設業が21から26へと5ポイント、流通業では24から36へと12ポイントも改善させた。それに対し、製造業が26から20、サービス業では18から17へとわずかに悪化させた。前年同月比も前回の7から16へと11ポイント改善した。業種別では、流通業だけが14と前回調査に比べ6ポイント悪化させたが、建設業(10→21)で11ポイント、製造業(2→17)で15ポイント、サービス業(△6→14)で20ポイントとそれぞれ大幅な改善を示した。ここでもサービス業は前回調査で「悪化」超過に転じたが、再び「好転」超過となった。しかし、次期見通しでは前回の27から21と6ポイント見通しを悪化させた。業種別に見ても、建設業(16→22)を除いて、製造業では27から21、流通業では33から27へとそれぞれ6ポイントずつ、そしてサービス業では23から12と11ポイントも大幅に見通しを悪化させている。

売上高推移DIグラフ

売上高推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

経常利益推移DIグラフ

経常利益推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

【在庫】
今月の状況、過剰感の強まり続く

 今月の状況DIは前回の15から17へと2ポイント「過剰」超過幅が拡大した。これで2期連続の「過剰」超過幅の拡大となった。業種別では製造業(12→9)が「過剰」超過幅を縮小させたのに対し、流通業は20から27へと7ポイント拡大させた。前年同月比でも2から5と3ポイント「過剰」超過幅を拡大させた。業種別では製造業が△9から△3へと「減少」超過幅を縮小させ、流通業では18から16と2ポイント「増加」超過幅を縮小させた。次期見通しは前回の6から5となりわずかに「過剰」超過幅を縮小させた。次期見通しに関しては、この1年近くほとんど変化はみられない。業種別では製造業が前回調査と変わらず△1で、流通業は18から14と4ポイント「過剰」超過幅を縮小させた。

【価格変動】【取引条件】
価格変動、前年同期比で建設業・流通業が「上昇」超過に。取引条件、「悪化」超過幅縮小

 価格変動DI(前年同月比)は、前回の△10から△5となり5ポイント「低下」超過幅が縮小した。業種別に見ると、建設業(△4→10)、流通業(△1→2)が「低下」超過から「上昇」超過へと転じた。その中でも、建設業では回答企業の約3割が「上昇」と回答した。また、製造業でも△19から△13へと「低下」超過幅を縮小させたが、サービス業では△14から△18へと4ポイント「低下」超過幅が拡大した。次期見通しは前回の△7から△3へと4ポイント「低下」見通しの超過幅が縮小した。業種別では建設業(0→7)が「上昇」見通しの超過幅を拡大させたのに対し、流通業(3→0)は縮小させた。また、製造業(△14→△6)は「低下」見通しの超過幅を縮小させたが、サービス業(△13→△15)は拡大させた。
 取引条件DI(前年同月比)は前回調査の△8から4ポイント「悪化」超過幅が縮小して△4となった。業種別では前回調査と変わらなかった製造業(△7)を除いた3業種で「悪化」超過幅の縮小が見られた。(建設業:△18→△4、流通業:△4→△1、サービス業:△8→△5)。次期見通しにおいても、前回調査からわずかに「悪化」超過幅が縮小して△6となった。業種別では流通業で△4と前回に比べて2ポイント「悪化」超過幅が拡大したのに対し、建設業では△12から△4、製造業では△8から△7、サービス業では△11から△6にそれぞれ「悪化」見通しの超過幅を縮小させた。

【資金繰り】
今月の状況、3期連続の「窮屈」超過幅縮小

 資金繰りDI(今月の状況)は前回の△16から5ポイント「窮屈」超過幅が縮小して△11となった。3期連続の「窮屈」超過幅の縮小である。業種別では建設業が△16→△23、流通業が△7→△9と「窮屈」超過幅を拡大させたのに対し、製造業が△24→△13と11ポイント、サービス業が△17→△1と16ポイントそれぞれ大きく「窮屈」超過幅を縮小させた。次期見通しについても、前回の△17から△14とわずかに「窮屈」見通しの超過幅を縮小している。ここでは流通業(△9→△14)以外は建設業で△27→△20と7ポイント、製造業で△20→△15と5ポイント、サービス業で△15→△9と6ポイント、それぞれ「窮屈」見通しの超過幅を縮小させた。

【設備過不足】【施設稼働率】
設備過不足、サービス業で「不足」超過減少続く。施設稼働率、「上昇」超過幅縮小

 設備過不足DI(今月の状況)は前回の△19から2ポイント「不足」超過幅が縮小して△17となった。業種別に見ると、建設業(△24→△22)では2ポイント、流通業(△21→△13)では8ポイント、サービス業(△12→△8)では4ポイント「不足」超過幅が縮小した。サービス業では4期連続の「不足」超過幅の減少となった。製造業のみが△18から△22となり「不足」超過幅を拡大させた。次期見通しは前回に比べ3ポイント「不足」超過幅が縮小して△16となった。業種別では建設業(△14→△18)と製造業(△20→△22)が「不足」見通しの超過幅を拡大させたのに対し、流通業(△22→△13)とサービス業(△13→△8)が「不足」見通しの超過幅を縮小させた。
 施設稼働率DI(前年同月比)は前回の19から大幅に「上昇」超過幅が縮小して8となった。業種別で見ても製造業が20→9、流通業が18→5とそろって大幅に「上昇」超過幅を縮小させた。次期見通しについても前回調査から6ポイント「上昇」見通しの超過幅が縮小して8となった。ここでも製造業(14→12)、流通業(15→3)そろって「上昇」見通しの超過幅を縮小させた。

【雇用】
今月の状況、4期連続の「不足」超過幅拡大

 今月の状況DIは前回の△36からわずか1ポイント「不足」超過幅が拡大し、△37となった。これで4期連続の「不足」超過幅の拡大である。業種別では建設業(△35→△45)とサービス業(△33→△40)が「不足」超過幅を拡大させた。特に建設業では「不足」と回答した企業が5割を超え、顕著になっている。他方、製造業(△38→△31)、流通業(△38→△36)は「不足」超過幅を縮小させたが、それにもかかわらず「不足」と回答した企業は4割を超えており、不足感は依然として根強いものとなっている。次期見通しにおいても前回調査の△29から△35になり6ポイント「不足」見通しの超過幅拡大となった。業種別でも建設業(△26→△41)、製造業(△27→△34)、流通業(△31→△34)、サービス業(△30→△34)と全業種で「不足」見通しの超過幅の拡大が見られた。ここでも建設業は15ポイントも「不足」予想の超過幅を拡大させており、回答企業の約半数が「不足」と見通している。

【経営上の力点など】
問題点で「民間需要の停滞」と「仕入単価の上昇」がトップに

 全業種でみた「経営上の問題点」は「民間需要の停滞」と「仕入単価の上昇」がともに27%で第1位であった。これに「従業員の不足」(26%)、「販売先からの値下要請」(25%)、「新規参入者の増加」(21%)が続いた。業種別で特徴的であったのは、サービス業で第3位に「取引先の減少」(26%)、建設業で第7位に「大企業の進出による競争の激化」(20%)を指摘していることである。その他の文書回答では「運送経費の増大」や「社員の経験・能力不足」などがあげられた。
 「経営上の力点」は「新規受注(顧客)の確保」が61%でトップであった。以下、「付加価値の増大」(54%)、「社員教育」(35%)、「人材確保」(26%)が続き、変動はなかった。業種別では建設業で第3位に「財務体質の強化」(31%)、サービス業で第5位に「新規事業の展開」(26%)が指摘されたことが特徴的であった。その他の文書回答では、「経営者の能力向上」、「後継者の育成」などがあげられた。

<会員の声(業種別)>

(1)情報・流通業
●「業況判断」DI(以下全てDI値)の『今月の状況』は、悪化23→14です。『前年同月比』は17→17と土0。『次期見通し』は31→21と大幅悪化を予想しています。『今月の状況』の内容として、「資金繰り」△7→△9を除く全ての項目で、プラスになっているが、『今月の状況』としては悪化を示しています。『前年同月比』では、「施設稼働率」18→5と落ち込みを見せるほか大きな変動はありません。『次期見通し』では、「売上」18→8と「施設稼働率」15→3が共に2桁、他の設問も全てがマイナスを示しています。『経営上の問題点』では「従業員の不足」が03年5月から2年間、高止まりを継続しています。『経営上の力点』では、「新規受注の確保」「新規事業の展開」が伸びを見せています。「売上」「経常利益」では、卸業のうち繊維・食品・建築関係が苦戦。情報通信・機器・部品関連が善戦。小売関連では良いところとそうでもないところに分かれてきています。(事務局・服部)
1.ソフト関連
・景気が回復してきたが、従業員のペイや企業レベルの売上・利益に格差の広がりを実感する。マクロの景気回復が大企業(多国籍の)中心に進むほどに国内での個人・企業間の所得格差が広がり、それが次世代への拡大的伝播をしていく傾向が明らかになってくる。(A社)
2.運輸関連
・自動車の生産状況に良い悪い工場が分離され、6~7月は強気の生産台数に少しかげり。(B社)
・愛知万博開催期間中の公共事業の延期及び減少により本年度の仕事低下。閉幕後に公共事業が増えるとは考えられない。(C社)
・原油価格の高騰により経費増で運賃は上がらず、利益を食われ収益とんとんが精一杯です。(D・E社)
・運送業の場合、荷主企業の業績によって大きく左右される場合が多い為、今後も新規荷主獲得に力を入れ、より多くの業種、より多くのお客様とお取引をさせて頂く事で、体質強化をしたい。燃料費の高騰、NoX・Pm法が業界に与えたダメージはとても大きい。(F社)
3.小売関連
・物が売れない時代、競争激化により納入価格の下落・・・・利益減で厳しさ増す。(G社)
・昨年来、退職者の補充つかず困っている。求人出しているが反応悪い。今までこれほど求人で苦労したことはなかった(アルバイト)(H社)
4.食品関連
・お客様もサイフのヒモがきつい為、まだまだ厳しい。付加価値のある食品の選定と顧客店舗に対して安くおいしく、早い商品をすすめています。小口配送(いる物をいるだけ)に対応していく。(I社)
・ゴールデンウィークを境に、外食の売上減少。また、仙台の飲酒運転事故以来、今後飲酒運転幇助と言うことでアルコールの提供も今後難しくなるのではと心配。(J社)
・新規開拓が難しい。上手い話には慎重に対処している。 昨年来蒲鉾の原料のすり身が大暴騰し、加えて原料不足で値上がりはまだ続きそう。調味料のグルタミン酸が原油高から値上げ発表。(K社)
・飲食店(外食産業)の売上が平均5~10%落ちており、売掛金の入金が遅れてきている。(サイト長期化)仕入先の卸しからは支払サイトが短縮。フローが悪くなってきている。(L社)
5. 自動車関連
・設備の需要は旺盛だが個別では温度差。全体的には夏から秋にかけ需要は下降ぎみとなる。しかし総合的に需要に対応出来る供給元は増加しない。よって当社としては今後の需要に不安はない。(M社)
・車は相変わらず好調。消耗品を扱う部署は残業が多い。人を入れたいが、中途採用への応募が少なく、確保が難しい。半導体、液晶の製造装置は一服状態。後半の持ち直しに期待。(N社)
6. その他
・今年に入って2名(24歳・38歳)を正社員として採用。前職(契約社員)で不安を感じていた人が、職務としては当社の方が厳しいと思うが喜んできてくれた。(L社)

(2)製造業
●前回調査では「足元悪化するも5月見通し好転」であったが、「今月の状況」DIは業況判断・経常利益ともに2期連続悪化を示し、「次期見通し」DIも各数値悪化の結果となりました。しかしながら前年対比DIでは全て改善数値となり、依然高い位置から緩やかに下降あるいは一進一体の状況となっています(各数値は以下の通り-「今月の状況」業況21→18、経常26→20、「前年対比」業況17→18、売上11→13、経常2→17、「次期見通し」業況44→22、売上20→13、経常27→21)。
内容では、「今月の状況」及び「次期見通し」で、「改善」と回答したポイントはほぼ横ばいで変わらず、「悪化」と回答したポイントの増加によるものでした。また、「前年対比」売上では、「増加」と回答したポイントと「減少」と回答したポイントがともに増加していました。
特徴的には、依然、金属機械関連が高い状態にあり、電子IT関連が悪化継続。また、食品・繊維及び印刷関連では業況に好悪バラツキが見られ、紙器が全般的に良くない状況として見受けられています。
分析会議のヒアリングでは、各業界とも世界グローバル規模での展開スピードがより一層早まり、中小企業への直接影響も強まっていること、資材価格高騰と売価の板挟みの苦しい状態が依然続いていること、大手・中小とも人的資源の枯渇状況が限界条件となること、消費性向の一部に変化が見受けられること、しかし所得から需要を動かす大きな力になりきれていないこと等が指摘されていました。一方、客先分散による価格交渉力の実現や、多忙業務に埋もれがちになりながらも何とか2~3年先を見ようと情報探索をする姿、本業の強みに軸足を置きながら付加価値のより高い製品や分野にシフトする努力などが聞かれました。(事務局・加藤)

1.繊維関係
・これまで方針の中で、自社の得意技を絞り込み顧客の確保をしていたが、市場の縮小と販売価格の下落で厳しい状況となっている。新規事業の展開は中小企業にとって常に意識が必要。世の中の変化が早すぎて、10年ひと昔というが、10年単位で商品や取引先や人材を変えることになるのかもしれない。(A社)
2.印刷、特殊印刷関連
・設備更新が必要になっているが、現在の景況・市場単価では償却のメドがたたない。(B社)
・昨年10月頃から忙しく断る事が難しいほどだったが、4月中頃から激減した。求人をしても反響が無く作業者不足。30代フリーターの応募はあるが、根性不足で無駄な採用となってしまう。(C社)
・製造ラインの中国シフト、法規制、環境対策等により国内製造需要の減少。代替製品の開発が必要。(D社)
3.プラスチック製品
・IT分野の調整局面は、しばらく続きそう。早くても今年秋以降にずれ込む見通し。反面、自動車関連企業およびその設備関連の企業は、引き続き好調を維持している。このように景気はまだら模様のまま、全体としてしばらく停滞が続くと思われる。(E社)
4.自動車関連
・自動車業界は好調で直近の心配はないが、品質・コストへの要求が益々厳しくなっている。 グローバル展開で我々協力企業にも海外進出の要請が強まっている。国内の仕事量が伸びない事も心配である。(F社)
・この1~2年の仕事量は確保できる。しかし、海外現地調達が増える5年後ぐらいに慌てない準備を今からする必要性を感じる。(G社)
・売上げは増加しているが、仕入れ材料の値上げで利益を圧縮。客先も値上げは中々認めて頂けない。今後、この材料の値上げがボディーブローとして効いてくると思う。(H社)
・相変わらず自動車業界は部品単価の値下要請が続き、2次3次下請けは、原材料の値上げや入手難で板ばさみ状態。客先のグリーン調達も進行し、管理費等の増加が目立つ。業界自体は好調でも2次3次下請けは、増収減益もしくは微増の繰り返しが続くと思われる。(I社)
5.機械、設備関連
・受注量が多く納期遅れが発生。どこかで受注をストップする必要があるが、後の影響を考えると難しいのが現状。材料はまだまだ上り続けている。何時止まるのか?(J社)
・研究開発物件(工程改善の新技術)が成功し、特許申請が受理された。現在、300%の受注量で急遽貸し倉庫で組み付けを行っている状態。熟練技術者が不足している。(K社)

(3)建設業
●今月の状況判断DIは、前回調査の33から24と9ポイント、前回調査の次期見通しの予測どおりに悪化しました。ただしこの事は年度始めで官公需が出ていないという季節要因もあり、あまり問題はないようです。前年同月比は23→32と9ポイント改善が見られ、次期見通しは13→33と20ポイントも明るくしています。経常利益DIも前年同月比で10→21と11ポイント大幅な改善を示し、次期見通しでも16→22と6ポイント改善を示しています。この事は会員のみなさんの声を聞いてもほとんどが「忙しい」、中にはバブル期に近いとの声も聞こえます。その事が人手不足となって表れており、「雇用」についての今月の状況DIは△35→△45と10ポイントも「不足」超過幅を拡大させ、次期見通しについても△26→△41と15ポイントも「不足」の超過幅が大きくなっており、回答企業の約半数が「不足」と見通しています。(事務局 山田)

1.総合建設業
・今仕事は忙しい。官公需は現在出ているものはほとんどが耐震工事。一般のものが出て来るのかどうかは分からない。民間では自動車関係(新しい販売店ショールームも含む)やマンション関係が忙しい。また流通では相次ぐ大型店の出店にともない、その配送センターの建設の仕事がある。(A社)
・5月末決算のため確定出来ないが、前年比約30%の売上増が確保出来た。しかし来期は厳しい予想をしている。民需、特に個人中心の顧客を大切に満足度を高め、リピート注文をいただくよう努力したい。(B社)
・現在のところ受注量は少しずつ拡大しているが、それに見合う人材確保(管理者)に不足感。(C社)
・受注が好調で、人材不足を感じる。 だが、運転資金の面で若干窮屈さを感じる現状の為、なかなか人材確保しにくい。(D社)
2.造園業
・私達の業界も公共工事が減る中、公共工事が中心であった業者が一般住宅の(庭関連の市場)方へ流れて来ることが増え、価格が下げられることも。しかし技術力の差は有り、強気に対応出来るケースもある。(E社)
3.ガラス・サッシ工事業
・今、忙しくても来月はどうなるか、見通しがたたない。仕事量の波が激しい為、安易に従業員を増やせないとも思う。(F社)
4.電気設備工事業
・最近は製造業(自動車関連)の設備投資少しずつ増加しているものの、先行きは不透明であり、安心はできない。(G社)
・豊田自動車に携わる会社の設備投資が加速していると感じる。(H社)
5.空調・給排水衛生設備工事業
・建設業全体に言えることだが、請負業体が重層で我々末端業者は熟練技術を要する割に大変単価が低い。従って重労働の割に薄給、厳しい条件のもと若い人材がなかなか育たない深刻な問題をかかえている。この地域に限っては仕事があるにもかかわらず単価がおさえ気味で利益が上がらない。(I社)
・建設業全般に言える事だと思うが、勝組負組の色分けが鮮明になってきていると感じる。昨年頃迄良く見られた何が何でも仕事を取りに行く元受業者は人、物(技術力)金の部分で信用を落としいる。反対にしっかりと提案し、きっちり工事をしている業者は現状維持以上の仕事量を確保しているようだ。経営者の方針がしっかりし、挨拶、社員教育が出来ている会社が元気があるように感じる。(J社)