景況調査

第103号-2019年8月
高まる「景気後退局面入り」の可能性
~「業況判断DI」全指標が3期連続で下落~

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:588KB)

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景況調査報告(2019年8月)第103号(PDF:1.44MB)


【概況】

「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた「今月の状況DI」は、前回の22から20へ2ポイント下落し、3期連続で「良い」超過幅の縮小となりました。業種別に見ると、建設業が唯一前回の38から41へ「良い」超過幅を3ポイント回復させたものの、サービス業は横ばい(31→31)となったほか、流通業は6ポイント「良い」超過幅を縮小(19→13)させました。さらに製造業は、前回の△1から△8へ7ポイント下落し、「悪い」超過幅を拡大させています。

「前年同期比DI」は、前回の5から△1へと6ポイント下落。「悪化が改善を上回る」マイナスのDI値となったのは、2016年5月期調査以来、13期(3年)ぶりです。業種別ではとりわけ製造業が16ポイント(△18→△34)、流通業が13ポイント(3→△10)、と、それぞれ大幅に悪化しました。

さらに「次期見通しDI」は、前回の25から20へ5ポイント「良い」超過幅が縮小し、業種別でも全業種でDI値が下落しました。なかでも製造業は前回の1から7ポイント下落して△6となり、2012年11月期調査以来、27期(6年半)ぶりのマイナス値となりました。流通業も21から16へ5ポイント、サービス業も34から28へ6ポイント下落。さらに、足もと好調を維持している建設業でも43から39へと4ポイント悪化しました。建設業の8月の次期見通しが40を切るのは、2013年8月以来6年ぶりのことです。

「米中貿易摩擦の影響で、半導体関係の注文がほとんど来なくなった」(製造業)、「米中のハイテク覇権争い、韓国に対する輸出厳格化で、日本の製造業も売上急減していて、当社への発注量も減少」(製造業)、「GW後から急激に荷物の動きが鈍化している」(流通業)、「自動車は底堅いものの、消費税のあと、また中国の状況によっては縮小する可能性もあり、そうなるとリーマンショックの再来になってしまう」(流通業)、「消費税率引き上げによる景気の冷え込みや、世界的な不景気が心配」(サービス業)など、「文章回答」からも米中摩擦を契機とした製造業の業況悪化がいよいよ非製造業へとその影響を広げつつあることが確認できます。

さらに分析会議では、今回調査で唯一「良い」超過幅を拡大させた建設業からも、「住宅建設のピークアウトが近づきつつある」や、「現状は人手不足と働き方改革による工期の遅れなどで忙しさが続いているだけ」など、先行き懸念と潮目の変化を敏感に感じ取る声が聞かれました。愛知県経済の先行きは一層予断を許さない状況となっています。

今回調査の「文章回答」では、「世界情勢など我々では手の届かないことなのに、実際には影響が出ていることが多い」との意見が寄せられています。収束の見えない米中貿易戦争、ハイテク技術を巡る覇権争い、日韓対立問題、さらには米国経済の状況にも変化の兆しが見られています。また、消費税率引き上げ後の消費動向にも注意が必要です。政治的要因が経済状況に大きな影響を及ぼしているという側面も強く、中小企業経営者には広い視野で情報を集め、それらの背後にある事柄を論理的に読み解き経営に活かす、一歩先を読む力が求められています。

[調査要項]

調査日 2019年8月19日~8月28日
対象企業 愛知中小企業家同友会
調査方法 会員専用サイト「あいどる」
回答企業 会員企業より1246社の回答を得た。業種内訳は以下
(建設業210社、製造業258社、流通業329社、サービス業449社)
平均従業員 23.5名(中央値8名)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議での検討を経てなされたものです。

【業況判断】
製造業の悪化が顕著
次期(3ヶ月先)は全業種で悪化

「今月の状況」DIは前回の22から2ポイント後退し20となった。これは3期連続の後退局面で、2016年8月期の調査並みの水準である。業種別でみると、唯一、建設業が38から41と3ポイント改善傾向を示したが、流通業が19から13と6ポイント、製造業に至っては、マイナス幅を拡大させ△1から△8と7ポイント悪化傾向を示した。サービス業は31から31と変化がなかった。

前年同月比は、前回の5から△1と6ポイント後退した。水面下に落ち込んだのは2016年5月期以来の事である。業種別でみると、建設業が11から13とほぼ横ばいで推移した。それ以外は、製造業が△18から△34と16ポイント悪化傾向を示した。これは二期連続の二桁の落ち込みである。流通業も3から△10と13ポイント水面下へ落ち込んだ。サービス業は17から17と横ばいだった。

3ヶ月後の次期見通しは、前回の25から20と5ポイント後退し4期連続の悪化傾向を示した。業種別でも、建設業が43から39と4ポイント、製造業が1から△6と7ポイント、流通業が21から16と5ポイント、サービス業が34から28と6ポイント後退し、全業種に渡って先行き見通しが悪くなると予測している。

業況推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

【売上高】・【経常利益】
製造業の売上高、更に落ち込む
経常利益は建設業のみ増加

売上高DI(前年同月比)は前回の12から7と5ポイント後退傾向を示した。業種別で見ると、製造業が△18から△23と5ポイント、流通業が14から0と14ポイントと二桁、サービス業も27から24と3ポイント悪化を示した。建設業は19から19と横ばいだった。3ヶ月後の次期見通しは、前回の10から4と6ポイント悪化した。これは4期連続の傾向である。業種別でみると、製造業が△18から△26と8ポイントとマイナス幅を拡大させた。流通業では12から5と7ポイント、サービス業が22から13と9ポイントそれぞれ悪化した。建設業は18から19とほぼ横ばいだった。

売上高推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

経常利益DI(今月の状況)は前回調査の29から27と全体で悪化傾向を示した。業種別でみると、製造業が15から5ポイント悪化し10となった。流通業でも29から25と4ポイント、サービス業も36から30と6ポイント悪化した。唯一、建設業では好転し、35から9ポイント改善し44となった。

前年同月比は前回の6から5とほぼ横ばいだった。建設業では7から25と18ポイント二桁改善した。一方、製造業が△12から△26と水面下の二桁の14ポイント、流通業も5から1と4ポイント悪化傾向を示した。サービス業は17から15とほぼ横ばいだった。3ヶ月後の次期見通しは前回の25から24とほぼ横ばいだった。建設業が31から36と5ポイント改善した。サービス業では31から27と4ポイント悪化した。流通業は28から26とほぼ横ばい、製造業では6から6と変化がなかった。

経常利益推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

【取引条件】 取引条件が悪化の兆し

前年同月比DIは6から5と大きな変化はなく、取引条件が「不変」と回答した割合は7割を超えた。業種別でみると、製造業(3→△1)が反転し取引条件が悪化した。建設業(12→10)、サービス業(7→8)はほぼ横ばいで推移した。流通業(2→2)は変化がなかった。次期見通しは、前回の5から3と大きな変化がなかった。業種別でみると建設業(11→6)が取引条件が悪化した。その他、製造業(0→△2)、流通業(2→0)、サービス業(7→6)と大きな変化がなかったものの、いずれも悪化傾向を示した。

【資金繰り】 製造の「窮屈」超過幅が拡大

今月の状況DIは、前回の△18から△20と厳しい状況が続いている。業種別でみると、建設業(△19→△16)が「窮屈」超過幅を縮小させた。一方、製造業(△14→△25)は大幅に「窮屈」超過幅を拡大させた。流通業(△18→△19)は大きな変化がなく、サービス業(△20→△20)が横ばいで推移した。次期見通しは前回の△16から5ポイント悪化し△21となった。業種別では、建設業(△21→△18)がやや「窮屈」超過幅を縮小させた。その他、製造業(△16→△28)が二桁「窮屈」超過幅を拡大させ、流通業(△14→△20)でも同じ傾向が見られた。サービス業(△17→△18)は大きな変化がなかった。

【設備過不足】 全業種で「不足」超過幅が緩和

設備過不足DI(今月の状況)は△15から△12と「不足」超過幅が緩和した。業種別でみると、建設業(△21→△10)で「不足」超過幅が二桁縮小し、製造業(△9→△6)、流通業(△13→△10)でも同じ傾向が見られた。サービス業(△18→△16)は大きな変化がなかった。

次期見通しでも前回△15から△11と「不足」超過幅が緩和した。業種別では、建設業(△22→△10)がこちらも二桁「不足」超過幅が縮小したのを始め、流通業(△13→△9)・サービス業(△18→△14)でも同じ傾向が見られた。製造業(△8→△6)ではほぼ横ばいだった。

【雇用】 深刻な人手不足は継続

今月の状況DIは△43から△41と2ポイント持ち直したものの、深刻な人手不足感を継続した。業種別でみると、建設業(△58→△61)では前回の改善傾向から反転し依然として6割以上の回答者が不足感を示した。流通業(△43→△37)は「不足」超過幅を緩和させ、サービス業(△47→△43)も同じ傾向が見られた。製造業(△24→△24)は変化がなかった。

次期見通しは△41から△39と「不足」超過幅を縮小させた。業種別にみると、建設業(△61→△59)が「不足」超過幅が縮小し、流通業(△40→△37)・サービス業(△47→△40)でも同じ傾向が見られた。反面、製造業(△21→△25)では4ポイント「不足」超過幅を拡大させた。

【価格変動】
仕入価格が「低下」傾向
販売価格、小幅ながら下がる

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回の41から33と「上昇」超過幅が8ポイント縮小した。業種別でみると、建設業(55→45)・製造業(51→37)が高水準ながら二桁「上昇」超過幅が縮小した。流通業(41→34)・サービス業(28→25)でも「上昇」超過幅が縮小した。

前年同月比では46から6ポイント「上昇」超過幅が縮小し40となりピークアウトの様相を示した。業種別でみると、建設業(62→54)が8ポイント、製造業(63→52)が11ポイントと「上昇」超過幅の縮小を示した。流通業(43→40)・サービス業(29→27)も小幅ながら超過幅が縮小し、全業種で仕入価格の「低下」傾向が見られた。

次期見通しは前回の33から32と大きな変化がなかった。業種別でみると、建設業(46→39)が7ポイント、製造業(35→30)が5ポイント「上昇」超過幅を縮小させた。流通業(36→35)・サービス業(24→26)は大きな変化がなかった。

販売価格変動DI(今月の状況)は前回の18から15とやや「上昇」超過幅が縮小した。業種別でみると、建設業(29→26)・製造業(10→7)・流通業(22→15)と「上昇」超過幅が縮小した。サービス業(13→15)ではほぼ横ばいで推移した。

前年同月比は前回の20から変化がなかった。業種別でみると、製造業(14→10)が「上昇」超過幅が縮小した。流通業(23→21)はほぼ横ばいで推移し、建設業(31→31)は変化が見られなかった。サービス業(15→19)は唯一「上昇」超過幅が拡大した。次期見通しも前回の15から変化がなかった。業種別でみると、建設業(22→21)・製造業(5→7)はほぼ横ばいで推移した。流通業(19→19)・サービス業(15→15)は変化が見られなかった。

【借入金利】 建設業で「上昇」傾向

短期借入金利DIは前回調査の1から1と変化がなかったが、「上昇」が上回り水面上に浮上している。業種別でみると、建設業(0→4)が大幅に「上昇」超過幅を拡大させた。この数値は2009年11月期調査以来のことである。その他、製造業(3→2)・流通業(1→0)が大きな変化がなく、サービス業(1→△1)では水面下に移行した。

長期借入金利DIは前回の1から0とほぼ横ばいで推移した。業種別でみると、建設業(0→2)が「上昇」超過幅を拡大させた。この数値は2013年5月期調査以来のことである。一方、流通業(1→△5)は「上昇」超過幅を縮小させた。サービス業(2→1)はほぼ横ばいで、製造業(2→2)では変化がなかった。

【経営上の力点など】
継続している上位の課題

全業種でみた経営上の問題点は前回同様、「従業員の不足」(42%)、「人件費の増加」(31%)、「民間需要の停滞」(24%)が上位の問題点だった。「従業員の不足」は長期トレンドであり、魅力ある企業づくりは喫緊の課題といえる。「人件費の増加」は、最低賃金の引上げや同一労働同一賃金とあいまり、全社的昇給の必要に迫られると想定される。また社員の高齢化による人件費の増大への対応も引き続き急務である。

業種別でみて特徴があったのは、建設業で「熟練技術者の確保難」(41%)、製造業で「民間需要の停滞」(33%)、流通業で「取引先の減少」(23%)、サービス業で「新規参入者の増加」(28%)だった。文書回答では「40代~70代の方が最前線で働いている(建設業)」「半導体関係の注文がほとんど来なくなった(製造業)」「GW後から急激に荷物の動きが鈍化している(流通業)」「戦後最長の景気がいいといわれるが、まったく実感がない(サービス業)」という情報が寄せられた。

全業種における経営上の力点は、第1位「付加価値の増大」(58%)、第2位「新規受注(顧客)の確保」(49%)、第3位「人材確保」(36%)で前回から変化がなかった。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●前回の5月期調査の結果と比較して「今月の状況」を見ると、業況判断DIは38→41と3ポイント上昇、仕入価格変動DIは55→45と大幅に10ポイント下降(下落)、資金繰りDIは△19→△16と3ポイント上昇(やや改善)、と景況はやや改善しました。しかし、10月には消費税増税が予定され、オリンピック需要も終わりが見えている状況です。また人手不足のため仕事がこなせない、採用活動を行っても予定の採用人数を満たせないという声も出ています。(事務局 佐藤)

1.総合工事、リフォーム、大工、室内装飾

  • 新規案件が昨年の3割ダウンと駆け込み需要の反動減が出ています。十分な受注残工事があるものの先行き不透明感が出てきた。
  • 知識の無い新規参入業者の増大により、単価の引き下げ・協力業者の確保難・エンドユーザーからの信頼損失が続いている。責任を取るつもりの無い業者が中間に増えると値引き交渉ばかりで、職人の生活の安定・商品品質の向上を提供するのに困難な状況にある。
  • 役所関係の仕事は9月までにやってほしいと要望されていたが、部品が間に合っていない。民間関係の設備投資も中止や延期になっている。

2.基礎、鉄筋、土木、コンクリート、解体

  • 鋼材単価が下がり始めた。春先の受注が寂しい感じだったが、毎年のことだが夏は超繁忙期に入る。背景としては夏の暑さで能力が落ちること、応援作業員がつかまりにくくなることがある。盆前後施工で業界施工量が麻痺してくる。大手ゼネコンの名義人(協力業者)の情報だと、来年が施工量ピークで断り切れないほどの案件で溢れている状況で、2次請負の要請が相当数ある気配がある。
  • この時期の酷暑と受注量が増加したため人材確保が困難になってきている。これから年末までの案件も受注し始めており、忙しさが増していく状況である。毎年同じような悩みではあるが、閑散期と繁忙期の格差が激しすぎる。
  • 解体費用の高騰が続いている。愛知県内の処分場は満杯で、九州の処分場まで産業廃棄物を運んでいるという話を聞いている。

3.左官、外構、屋根外壁

  • 消費税値上げの影響のためか8月は例年にくらべ忙しかった。また酷暑の影響もあり、屋外での長時間連続の作業が困難なため実働は減っており、そのため余計に忙しくなってきているのもあるかもしれない。

4.給排水管工事、電気工事、設備工事

  • 上下水道や工場排水のメンテナンス現場で働く人が不足している。一方で労働者の流動化か激しく社員の出入りが頻繁に起きている。新卒定期採用も内定辞退が多く予定の30名採用は容易でない。
  • 売り上げの柱にもなっていた、アパート物件等が軒並みストップ状態。今後の動向も未定のため、先行きが不透明。工期に追われる多忙さは若干緩和され、社員教育等に時間を費やせるようにはなっている。
  • 5Gの設備工事が名古屋でようやく始まり、今後は需要が増えると予想している。また総務省がローカル5Gの普及を決定したため、新たな需要にも対応しなければいけない。
  • 予算が縮小されたため、定期メンテナンスが先送りになってしまった。また猛暑の影響で小中学校に空調設備を設置しているが、職人が足りない状況で仕事をこなせない。
  • 上下水道や工場排水のメンテナンス現場で働く人が不足している。一方で労働者の流動化か激しく社員の出入りが頻繁に起きている。新卒定期採用も内定辞退が多く予定の30名採用は容易でない。

5.建築設計・不動産

  • 名古屋駅周辺、栄の土地が売りに出されはじめ、値上がりのピークは過ぎたと感じる。また、名古屋ではビジネスホテルは過剰となり、東京や大阪ではまだ需要があるという状況。
  • 消費税の駆け込み需要はなく、建売物件はかなり在庫が残っている状況。事業所向けの物件も空いており次の利用者が見つからない。リフォーム関係の仕事も9月中に工事が終わらないのであれば中止するという案件を聞いている。
  • 倉庫など流通関係の仕事はまだ需要があるが、ハイテンションボルトの不足や人手不足の影響で工期が遅れている。仕事の時期がずれたので、何とか仕事をこなせている状況。
(2)製造業

●業況判断DIでは、今月の状況が△1→△8、前年同月比が△18→△34と連続でマイナス値を示し、次期見通しは1→△6と2012年11月期調査ぶりにマイナス値を示すとなりました。売上高でも前年同月比が△18→△23、次期見通しが△18→△26と、景況感の悪化を感じている企業が増える結果となりました。半導体関連の大幅な落ち込み、日韓関係の悪化による仕事の受注保留や延期などの声も聞こえ、外部環境の変化が日々の経営でどう現れるのか注視する必要があります。また、自動車関連については、車種や取引先によって差があることから、自社の立ち位置を把握する大切さを伝える声もありました。(事務局 松井)

1.金属加工・樹脂加工

  • 業界全体の荷動きが悪く、メーカーから出荷の圧力がさらに強くなっている。
  • 工作機械に関しては、欧州向けが比較的好調に感じる。
  • 専門性および事業領域を絞る事で付加価値が低くてもやれていたが、多様な要求を受けざるを得ない中で過去のビジネスが成り立たない。
  • 設備投資の話はあるが、米中貿易摩擦の影響かどの客先も時期が後ろにずれている。
  • 受注は明らかに下がってきている。景気の良い話はあまり聞かない為、今後も現在のような状況が続くと考えている。

2.機械部品・機械製造

  • 米中貿易摩擦の影響で、半導体関係の注文がほとんど来なくなった。オリンピック需要も落ち着いてきており、来年は景気の大きな減退という不安がある。このタイミングで消費増税で不安が多い。
  • 仕入れ材料の価格が上昇する可能性があるため、不安に感じている。
  • 中国向け市場の停滞により予定していた案件が延期され、弊社の受注にも影響が出ている。
  • 製造業界は急激に冷え込み始めている。ヘッドハンティングや微増給料の会社への転職など、社員流出の懸念が強くなっている。
  • 製造業の落ち込み方を見て世界経済は後退局面入りしているのは間違いないため、納期がずいぶん先の物件でもいいから、今のうちに確保しておくよう方針を立てている。
  • 中米の貿易摩擦によって自動車関連部品の受注が減少している。
  • 消費増税前の設備更新の装置受注(9月末までの出荷分)は期待したほど多くなく、11月以降の受注が早く来ている状況。
  • 今年3月以降中国経済の低迷の影響で同業他社はどこも生産量が減少しており、残業減などで生産調整をしている。そんなさなかで、10月の消費増税以降の一般消費の低下が懸念される。来期は多少仕事量の持ち直しがささやかれるが、現状その根拠がどこにあるのかが見えず、ぬか喜びできない状況。

3.木材・木製品製造業(家具を除く)

  • 新築住宅に対する、消費増税への目立った駆け込み需要は見られず、秋以降も需要は停滞するように思われる。
  • 人件費や諸経費は上昇しているが、既存顧客への売価に反映させることができない。

4.印刷・包装関連

  • 今期の見通しは不透明で、悪化を予想。特に10月からの消費増税で消費は確実に冷え込み、影響が出る。今までならこの時期は増税前の駆け込み注文が入るが、今回は動きが非常に鈍く期待が持てない。

5.食品・繊維製品・雑貨・身の回り品製造業

  • 米中のハイテク覇権争い、韓国に対する輸出厳格化で、日本の製造業も売上が急減していて、発注量も減少。中国の景気も鈍化しているようで、世界中の製造業の売上が落ちてきている。経済に政治が大きく影響を及ぼしている面もあって非常に悩ましい。
  • 衣料品は季節変動によって消費行動は左右される。昨今の異常気象はこれまでの生産量に対しての消費量を大きく狂わせている。小売はネット販売に確実に市場を奪われており、我々に対しての発注量が読めない状態が続いている。
  • 消費増税でどうなるのかが読めない。イメージが悪くなるのが心配である。駆け込み需要は前回の様にはいかない感じである。

6.その他製造業

  • 運送業界の状況の悪さが影響を及ぼし始めている。物流等を考えると、インフレに振れるはずが、我慢合戦の様相でデフレに動き始めている。消費税増税と同時に景気の下降が大きくなることを予想している。(オリンピックによる景気浮上も期待はずれという声が多くなっているのでオリンピックを待たずに景気後退が始まると思われる)
(3)流通業

●前回の5月期調査の結果と比較して「今月の状況」を見ると、業況判断DIは19→13と6ポイント減少(悪い)、仕入価格変動DIは41→34と大幅に7ポイント減少(低下)、資金繰りDIは△18→△19と1ポイント減少(窮屈)と、かなり悪い結果がでています。さらに、前回の5月期調査の結果と比較して「前年同月比」を見ると、業況判断DIが3→△10と13ポイント減少(悪化)し、マイナス圏に入りました。また、業況判断DIの「今月の状況」は、2018年11月期調査の32をピークに、大幅に減少し続けているため、細心の注意が必要です。(事務局 墨)

1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)

  • 中国国内の経済の様子についてわからないことが多すぎるため、手が打ちにくい。自動車は底堅いものの、消費税のあと、また中国の状況によっては縮小する可能性もあり、そうなるとリーマンショックの再来になってしまう。現在は資金の手当てをしながら、コストダウンを図り、付加価値の高いものを販売するという地道な努力をしていくしかないと考えている。
  • 顧客の受注状況が更に悪化。工場は稼働しているも受注を先食いしているところもある。増税前とは言え、駆け込みの動きもなく、米中貿易戦争の長期化を懸念し、相当慎重になっている感がある。
  • 米中貿易摩擦の影響がいつまで続くか不透明な中、工作機械卸売り業界では中国への輸出は2020年度も低迷するとの話が出ており予断を許さない状況。国内設備も投資出来る会社と出来ない会社の二極化が極端に進んできており、どこの会社と取引するかによって大きく売り上げが変動する予想。

2.建築資材

  • 働き方改革のため、教育時間がないのか、人材不足か常識はずれ人材や協力会社が目立つ。さらに、情報が止まりやすく、納期回答・見積の遅れが多い。

3.繊維、衣服、雑貨

  • 衣服業界の夏は、気候も安定せず業界としてひどい状況であった。物流費の値上げが更に負担となってくる。10月の消費増税で消費が落ち込み、ますます厳しい状況になる可能性が高い。
  • 円高傾向に風向きが変わり、どの時期でどの程度の値下げを行うかという雰囲気が市場にある。
  • 自動車販売ですが、一般顧客の減少を感じる。現在のユーザーを多数の業者で取り合う状況。
  • 生花販売業界は天候にされやすく生産者の高齢化・減少により、仕入れ価格の高騰が見込まれる。
  • ガソリンスタンドですが、長梅雨による総需要の減少が顕著に出ていたので、売り上げ確保のため販売単価の引き下げを行う店舗も現れ、販売価格の差が春先より広がった感じがある。

4.飲食料品

  • 近年のシラスウナギの高値によって、鰻料理も再三の値上げを行い、結果名古屋の中心部で@4000円台、名古屋の周辺で3000円台後半~4000円、三重県、岐阜県で3000円台前半~3500円と、いずれもコストパフォーマンスの低い商品となっている。

5.運輸、情報通信

  • IT関係は、昨年と比較して、内容の高度化と価格の厳しさが進んでいると思われる。
  • 日韓関係・日中関係により、IT関係の部品仕入れの値上げが予想される。
  • 流通業で、主な顧客が工作機械業界です。現状は受注残により仕事はあるが10月以降は受注の低下がはっきり出てくる頃。外部環境が悪すぎる(インフレターゲット未達、貿易戦争、オリンピック特需の終焉、消費税増税)。さらに、10月から売上減が始まり、来年以降は最悪ピークから瞬間50%ダウンもあり得る。

6.保険、不動産

  • 保険業ですが、2月の法人向け節税商品の規制(販売自粛)で法人生保は下火となっている。また、消費増税に伴い、保険料(自動車・火災保険中心に)も各社、秋以降に値上げ。お客様が生活防衛の為に、通信販売など低廉な販売先に流れる懸念が大。
  • 不動産売買は、「物件ありき」なので一概には比較できないが、購入希望者、売却希望者とも減っているように感じる。住宅展示場の来場客数もかなり減っている。ただ、建築価格は高止まりしていて自宅の建て替えをやめて、リフォームにされる方も増えているように聞く。金利が上がると言われているにもかかわらずなかなか上がってこないので、業界としては助かっている状態。
(4)サービス業

●今月の業況判断DIは31→31、経常利益DIは36→30でした。業況判断DIは変わらず、経常利益DIも減少したとはいえ、引き続き高値を記録していますが、他業種の数値や文書回答、以下内訳を見る限り、景況は数字の通りどころか、不況を迎える目前とも見て取れます。

サービス業の3業種毎では、業況判断DIが、専門サービス業43→37、対個人サービス業22→23、対事業所サービス業25→31。経常利益DIが、専門48→39、対個人27→22、対事業所26→28、との結果が出ました。前回大きく数字を上げた、専門サービス業が落ち着くと共に、対事業所サービス業は業況・経常利益共に前回を上回りましたが、前回がかなり低い数値を記録した分、まだまだ良い数字とは言えません。特に、経常利益DIについては、減少や依然として低い数値を記録しており、文書回答と照らし合わせ、仕事量や利益率の減少が伺えます。

経営課題としては、高止まりしている「従業員の不足」の43%に加え、「人件費の増加」が38%と、ここ数年で最大値を記録。経営上の力点としては、「新規受注(顧客)の確保」が51%、「付加価値の増大」が前回と同じく57%と、こちらも改善は見込めません。

2月の調査から継続して、金利の上昇を示す回答が多い状態でもあり、製造業の落ち込みが今後波及することを考えると、予断を許さない状態です。

回答数の少なさも目に付きましたが、回答を差し控える背景として、厳しい経営状態が考えられ、数字以上の厳しい景況が見て取れます。

(事務局 橋田)

1.福祉(介護)

  • 事業として「働く人ありき」であり、人材確保ができない限り、売上増加・利益確保もできない。募集をかけても問い合わせすらなく、外国人技能実習生を雇えば経費がかさむ。また、最低賃金の上昇率が高く、コストがかかりすぎる。最低賃金の必要性は認めるが、毎年上がる賃金に能力が追い付いているかどうか、そこも重要ではないか。

2.産廃・環境

  • 人材確保による人件費捻出のため、委託単価を上げて頂くように行政へ陳情するが、取り合ってくれないことが多い。担当職員が献身的でよく話を聴いてくれても、中間管理職クラスが問題から向き合わないと、担当課の部長は「話すら聴いていない」状態。未だ15年前の委託単価のままであり、世間並の適正単価を希望する。
  • 材料費と処理費が高騰しているが、顧客に全て転嫁できていない。利益が目減りしている。
  • ロスの無い製造方法へと徐々に進んでおり、金属スクラップの発生自体が減少している。

3.自動車整備・販売

  • 消費税増税を控えてトラックの買い替えが進み、結果として今年と来年の仕事が減少しており、先行きが不安。

4.広告・印刷

  • 先々の予定が決まるのが鈍化。そのため、直近まで売上見込みが立ちづらい。
  • ハードに関しては、仕入れコストの上昇(紙やメディアなど)があり、大企業の資本力には勝てないので、単純な競争では利益確保が難しい。提案力やホスピタリティといったソフト面で、利益向上を意識。中小企業のサービス業は、自社のブランディングにより個性化をもっと極めていくことが、生き残る道ではないか。
  • サービスの質を上げるには、財務状況の強化が欠かせない。同時に、新規顧客の拡大が、現在の課題。

5.人材請負

  • 人材不足が深刻で、警備業界はイメージも悪く、IT化がまだ全然進んでいない。業界が一丸となって変えていく必要がある。

6.専門サービス

  • 土地価格が少し落ち着いたのに対し、建築費用は下がる気配は感じられないが、業者によっては手が空いてきている様子。建築の計画段階の引き合いも、若干減少しているよう。取得した土地を、転売するなどで着工を見合わせる動きも見られる。銀行融資が不動産関連には厳しい環境となっているようで、今後も引き続きこの環境は拡大すると思われる。
  • 消費税増税前の、駆け込み需要は感じていない。取引先や同業他社など、どこも人材不足の様子。