景況調査

第105号-2020年2月
“新型コロナ”が追い打ち
~「今月の状況DI」が9年ぶりのマイナスに~

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:599KB)

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愛知中小企業家同友会景況調査報告(2020年2月)第105号(PDF:1.46MB)


【概況】

「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた「業況判断DI」の「今月の状況」は、前回の15から△2へ17ポイントもの大幅な下落となりました。東日本大震災直後の2011年5月調査以来、およそ9年ぶりのマイナス値です。悪化は5期連続です。「前年同月比」も前回の△8から△20へ12ポイントの大幅下落となりました。4期連続で「悪化」超過幅を拡大させています。さらに「次期見通し」も前回の12から△5へと大幅な落ち込みを示しました。これも2011年5月調査以来のマイナスです。

業種別に「業況判断DI」の各指標を見ると、すべてのDI値が全業種で大幅な下落となっています。「今月の状況」は建設業36→8、製造業△5→△28、流通業9→△10、サービス業23→17。「前年同月比」は建設業9→△21、製造業△37→△46、流通業△16→△28、サービス業8→3。「次期見通し」は建設業28→2、製造業△9→△32、流通業7→△12、サービス業21→15。多くは二けたの大幅下落です。

米中対立を発火点とした2018年後半以降の製造業の業況悪化に昨年10月の消費税率の引き上げによる需要減退が加わったことで、景気はじりじりと悪化してきていました。今回の調査結果は、そこに新型コロナウイルスの影響が「追い打ち」したことを示すものです。文章回答のなかにも「建材が発注ストップになり全く納期が未定」(建設業)、「旅行のキャンセルで2月60%減、3月80%減」(流通業)、「予定されていたイベントが中止。設営費、広告宣伝費など影響が出ている」(サービス業)など、今回の新型コロナウイルスの影響を指摘する声が多く見られました。現在のところ影響はあまりなくとも、「雲行きは怪しくなっている」「今後建設投資に調整が入ってくる見通し」など、先行き不安を訴えるものも多数ありました。

調査期間終了後、政府のイベント自粛や小中高校の全国一斉休校要請、感染者数のさらなる増加などから経済的・社会的活動はさらに冷え込んでいます。調査後に寄せられた景況分析委員からのコメントも、「来期の設備投資は激減する予想」(建設業)、「長引けば車両を売却するなど検討しなければならない」(流通業)、「開店休業状態。街全体が死んだよう」(サービス業)など、多くは急速に冷え込む経済状況に戸惑う声でした。「中国向けの輸出は20~50%ダウン」、「医療機器、半導体、ロボット関連、計測機器関連とも激減しそう」、「部品が入らないために製造がストップしている製品もある」など、製造業からはサプライチェーンの乱れによる影響も含め厳しい状況が伝えられています。

景気が下降しつつあるところへのコロナ・ショックですから、当面の景気情勢はより厳しくなると見通すほかはありません。落ち込みの程度は感染拡大の終息が何時になるかによって違ってきますが、当面は資金繰り確保を最優先にしつつ、政府や自治体の中小企業支援策に関する情報入手も怠らず、万全を期して経営にあたることが求められます。

[調査要項]

調査日 2020年2月17日~2月27日
対象企業 愛知中小企業家同友会
調査方法 会員専用サイト「あいどる」
回答企業 会員企業より1186社の回答を得た。業種内訳は以下
(建設業209社、製造業272社、流通業292社、サービス業413社)
平均従業員 23.5名(中央値8名)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析委員の業界情報を集めてまとめたものです。

【業況判断】
5期後退で水面下に
2桁の悪化が続出

今月の状況は前回の15から17ポイント後退し△2と水面下まで落ち込んだ。これは5期連続の後退局面で、景気の減速感が鮮明になった。業種別でみると、建設業が36から8と28ポイント、製造業が△5から△28と23ポイント、流通業が9から△10と19ポイントと、二桁の大幅な悪化を示した。サービス業も23から17と6ポイント落ち込んだ。

前年同月比は、前回の△8から△20と12ポイント後退し、更に業況判断の悪化を印象づけた。業種別でみると、建設業が9から△21と30ポイント、製造業が△37から△46と9ポイント後退した。これは2009年11月期以来の水準である。流通業が△16から△28と12ポイント、サービス業が8から3と全業種で悪化した。

3ヶ月後の次期見通しは、前回の12から△5と17ポイント後退し6期連続の悪化傾向を示した。業種別でも、建設業が28から2と26ポイント、製造業が△9から△32と23ポイント、流通業が7から△12と19ポイントとそれぞれ二桁の後退を示した。サービス業は21から15と6ポイント後退した。全業種に渡って先行き見通しが悪くなると予測している。

業況推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

【売上高】・【経常利益】
全業種で落ち込む売上高
経常利益も総じて悪化

売上高DI(前年同月比)は前回の2から△10と12ポイント後退し、水面下に落ち込んだ。これで5期連続の落ち込みであり、2013年2月期以来の水準である。業種別で見ると、建設業が13から△5と18ポイント、製造業が△32から△44と12ポイント、流通業が2から△10と12ポイント、それぞれ二桁の後退を示し悪化傾向に拍車がかかった。サービス業が17から10と7ポイント後退を示した。3ヶ月後の次期見通しは、前回の△3から△19と16ポイント後退した。これは6期連続の悪化傾向である。業種別でみると、建設業が4から△17と21ポイント、製造業が△33から△49と16ポイント、流通業が△1から△19と18ポイント、それぞれ大幅に水面下へ落ち込みマイナス幅を拡大させた。サービス業も9から△1と10ポイント後退し水面下に落ち込み全業種でマイナス値を示した。

売上高推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

経常利益DI(今月の状況)は前回調査の22から11と11ポイント後退し悪化傾向を示した。業種別でみると、製造業が4から△7と11ポイント悪化して水面下に落ち込んだ。マイナス値になるのは2013年2月期調査以来のことである。その他、建設業が36から24ポイント悪化して12に、流通業が19から10と9ポイント、サービス業でも29から23と6ポイントと後退した。この指標も全業種で悪化傾向を示した。

前年同月比は前回の△3から△14と水面下へ11ポイント落ち込んだ。建設業が14から△13と27ポイントと大幅に悪化した。製造業が△31から△38と7ポイント、流通業も△9から△17と8ポイント更に水面下に落ち込んだ。サービス業が10から3と7ポイント落ち込んだ。3ヶ月後の次期見通しは前回の17から7と10ポイント落ち込んだ。建設業が28から8と20ポイント大幅に落ち込んだ。製造業が△2から△18と更に水面下へ、流通業が16から4とそれぞれ二桁悪化した。サービス業は24から24と変化がなかった。

経常利益推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

【在庫感】 製造業、「過剰」超過幅やや拡大

今月の状況は、前回調査の15から14とほぼ横ばいだった。業種別でみると、製造業(18→20)は「過剰」超過幅が小幅ながら拡大した。流通業(11→8)では「過剰」超過幅が3ポイント縮小した。前年同月比は前回の8からほぼ横ばいで7となった。業種別でみると、製造業(10→8)はほぼ横ばいで「過剰」超過幅が縮小した。流通業(6→5)でもほぼ横ばいで「過剰」超過幅が縮小した。次期見通しは10から11とほぼ横ばいで推移した。業種別では、製造業(12→16)が「過剰」超過幅が拡大した。逆に流通業(9→5)では「過剰」超過幅が縮小した。

【取引条件】 取引条件が悪化し水面下へ

前年同月比は5から△2と水面下に落ち込んだ。これは2015年2月期調査以来である。業種別でみると、製造業(△1→△10)が更に悪化し、流通業(0→△7)が水面下に落ち込んだ。建設業(9→2)とサービス業(10→6)も取引条件が悪化した。次期見通しも、前回の3から△4と水面下に落ち込んだ。業種別でみると建設業(6→△4)、製造業(0→△10)、流通業(0→△10)いづれも10ポイント取引条件が悪化した。サービス業(6→4)はほぼ横ばいで推移した。

【資金繰り】 「窮屈」超過幅が更に拡大

今月の状況は、前回の△22から△24と厳しい状況が続いている。業種別でみると、建設業(△19→△24)、製造業(△23→△29)、流通業(△27→△32)が「窮屈」超過幅を拡大させた。一方、サービス業(△19→△16)が水面下ながら「窮屈」超過幅を縮小させた。次期見通しは前回の△24から2ポイント悪化し△26となった。業種別では、建設業(△19→△26)、製造業(△28→△33)、流通業(△26→△33)が「窮屈」超過幅を拡大させた。サービス業(△21→△17)は水面下ながら「窮屈」超過幅を縮小させた。

【設備過不足】・【施設稼働率】
製造業、設備「過剰」超過が続く
大幅に低下する稼働率

設備過不足DI(今月の状況)は、△10から△7と「不足」超過幅が緩和した。業種別でみると、建設業(△19→△16)が「不足」超過幅が縮小し、製造業(4→8)が引き続いて「過剰」超過となった。流通業(△10→△8)、サービス業(△14→△12)がやや「不足」超過幅が緩和した。

次期見通しでも前回△9から△7とやや「不足」超過幅が緩和した。業種別では、製造業(4→9)が「過剰」超過となり、流通業(△10→△5)も「不足」超過幅が緩和した。サービス業(△12→△14)がやや「不足」超過幅が拡大し、建設業(△17→△17)が変化がなかった。

施設稼働率DI(前年同月比)は、前回調査の△14から△23と9ポイント「低下」超過幅が拡大した。この数値は2011年5月期以来のものである。業種別でみると、製造業(△23→△33)が高い水準で「低下」超過幅の拡大が見られた。流通業(△5→△11)でも同じ傾向が見られた。次期見通しは、前回調査の△13から△23と10ポイント「低下」超過幅が拡大した。業種別にみると、製造業(△19→△34)は「低下」超過幅が二桁拡大した。流通業(△6→△9)でも「低下」超過幅を拡大させた。

【雇用動向】 深刻な人手不足、緩和傾向

今月の状況は、△35から△32と3ポイント持ち直し、深刻な人手不足感を継続しながら緩和の兆しが見られた。業種別でみると、建設業(△57→△50)では悪化傾向から反転するも依然として6割近くの回答者が不足感を示した。製造業(△17→△14)は2013年8月調査以来の水準まで引き続き緩和した。流通業(△33→△29)も「不足」超過幅を緩和させ、サービス業(△36→△36)は横ばいで推移した。

次期見通しも、△34から△29と「不足」超過幅を縮小させた。業種別にみると、建設業(△55→△44)が「不足」超過幅が縮小し、製造業(△15→△9)、流通業(△33→△29)でも同じ傾向が見られた。サービス業(△35→△35)では横ばいで推移した。

【価格変動】
今月の仕入価格は低下
販売価格、総じて下がる

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回の36から31と「上昇」超過幅が5ポイント縮小した。業種別でみると、建設業(46→41)・製造業(33→28)・流通業(40→33)が「上昇」超過幅の縮小がみられた。サービス業(30→27)もやや「上昇」超過幅が縮小した。

前年同月比では40から39とほぼ横ばいで推移した。業種別でみると、製造業(43→37)が6ポイント「上昇」超過幅が縮小した。一方、建設業(52→54)は小幅ながら「上昇」超過幅が拡大した。その他、流通業(39→38)がほぼ横ばいで推移した。サービス業(32→32)は変化がなかった。

次期見通しは、前回の28から27と大きな変化がなかった。業種別でみると、製造業(28→19)が9ポイント「上昇」超過幅を縮小させた。建設業(35→33)も小幅ながら同じ傾向を示した。流通業(31→32)・サービス業(24→25)は大きな変化がなかった。

販売価格変動DI(今月の状況)は、前回の19から10と9ポイント「上昇」超過幅が縮小した。業種別でみると、建設業(25→15)・製造業(9→△1)が10ポイント、流通業(19→10)も9ポイント「上昇」超過幅を縮小させた。サービス業(22→16)でも6ポイント「上昇」超過幅を縮小させた。

前年同月比は前回の22から7ポイント「上昇」超過幅が縮小し15だった。業種別でみると、建設業(34→21)が二桁「上昇」超過幅を縮小させた。製造業(10→5)・流通業(22→14)・サービス業(25→20)も「上昇」超過幅を縮小させた。次期見通しは、13から7と6ポイント「上昇」超過幅を縮小させた。業種別でみると、建設業(22→10)・流通業(15→5)が二桁「上昇」超過幅を縮小させた。水面下になった製造業(△1→△6)は「低下」超過幅が拡大し引き続き落ち込んだ。サービス業(16→14)も小幅ながら「上昇」超過幅を縮小させた。

【借入金利】
短期・長期金利、製造業で「低下」目立つ

短期借入金利DIは前回調査の△1から△1と水面下で変化がなかった。業種別でみると、建設業(△2→0)・サービス業(△2→0)がほぼ横ばいながら「上昇」超過幅を拡大させた。製造業(△1→△6)が5ポイント「低下」超過幅を拡大させた。その他、流通業(2→1)はほぼ横ばいで推移した。

長期借入金利DIは前回の0から△1とほぼ横ばいだった。業種別でみると、建設業(0→2)がほぼ横ばいながらも「上昇」超過幅を拡大させた。製造業(2→△3)・流通業(△1→△4)が「低下」超過幅を拡大させた。サービス業(0→1)が大きな変化がなかった。

【経営上の力点など】
「民間需要の停滞」が上昇
「社員教育」が力点上位に

全業種でみた経営上の問題点は、「従業員の不足」・「人件費の増加」(35%)、「民間需要の停滞」(33%)と上位の順位に変化はなかった。しかし「民間需要の停滞」の割合が26%から33%と急上昇しており、経済環境が大きく変化している様が読み取れる。次に続くのは「取引先の減少」(20%)で企業間連携を強めるなど、今後の情勢変化を見据え戦略を立てていく必要があるといえる。

業種別でみて特徴があったのは、建設業で「下請け業者の確保難」(34%)、製造業で「民間需要の停滞」(42%)、流通業で「取引先の減少」(24%)、サービス業で「新規参入者の増加」(25%)だった。文書回答では「消費税増税の影響が今年になって感じられるようになった(建設業)」「自動車業界での新規受注がほぼ皆無になってきた(製造業)」「旅行のキャンセル、2月60%減、3月80%減。終息が見えない。(流通業)」「コロナウイルスの影響でイベントが中止。自粛ムードが漂っている(サービス業)」という情報が寄せられた。

全業種における経営上の力点は、第1位「付加価値の増大」(57%)、第2位「新規受注(顧客)の確保」(55%)とこれまでと同じトレンドであったが、第3位に「社員教育」(34%)が上がってきており、人材育成が必要となる状況が予感される。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●前回の11月景況調査の結果と比較して「今月の状況」を見ると、業況判断DIは36→8と28ポイントの大幅下落。仕入価格変動DIは46→41と5ポイント減少したのに対して、販売価格変動DIは25→15と10ポイント値下がりし、利益を圧迫しています。また資金繰りDIは、△19→△24と5ポイント下落(悪化)となるなど景況が大幅に悪化しました。人手不足は未だ続いており、新型コロナウイルスの影響で材料や部品不足も発生しています。建築物の納期が遅れることで代金の支払いが遅れ、資金繰りが厳しくなることが予想されます。コロナウイルスが終息するまでの間、会社経営を維持するための資金計画が重要です。(事務局 佐藤)

1.総合工事、リフォーム、大工、室内装飾

  • コロナウイルスの影響で入ってこない材料が出てきたので、現場が進まない、新規受注しても商品がないので工期の目途が立たない。建設業だけでなく、他の業界でも起こっていると思うので、今後の影響がもの凄く不安。
  • コロナウイルスの関連で、住宅設備機器(加熱機器や食洗器、シャワー便座)が入荷未定になり、納期遅延を起こし始めた。年度末の仕上げ工程に向けて、物件の完工や引き渡しが遅れ、施主から建築業者への入金も遅れる可能性が高い。
  • メーカーの発注が止まっている。理由は中国の工場の稼働が止まったことによる部品の仕入れができないためで、順次他メーカーも発注を止めると聞いている。建材部品をかなり中国からの輸入に頼っていると感じる。
  • コロナウイルスの影響から住宅資材の供給が滞り、引き渡せない状況が今後予想される。メーカーの采配で影響が変わってしまうので、自らの活路も模索しながら常に新しい情報に対して、アンテナを高くして集めなければならない状況。

2.基礎、鉄筋、土木、コンクリート、解体

  • 例年この時期は、閑散期のはずなのだが、昨年の下半期からかなり忙しい状況が続いている。現状5~6月頃までの案件依頼があり、先行きもさほど悪くないように感じる。元請が持つ仕事量の格差が大きくなっているように感じる。相変わらず理解し難い価格勝負の同業他社が多く、きちんと根拠のある価格設定をしてほしいと切に願う。
  • あらゆる製品が中国での生産に依存している。全産業の輸入高が18兆円にも及ぶ中、自社の部品調達にどのような影響が出るか計り知れぬ不安がある。パズルの1ピースが欠ければ、製品が完成しないため、どの部品が該当するかつかめない。

3.給排水管工事、電気工事、設備工事

  • 東京オリンピック建築業界特需も終わり、鋼材は値上がりしている。今回の新型コロナウイルス影響がいつまで続くのか先が見えないため、当社お客様が設備投資見直しを始めた。インバウンド減少での観光、宿泊産業の落ち込みと首都圏、名古屋市内過剰な新規ビジネスホテル建築で今年は先行きが不透明。
  • 働き方改革による労働時間の短縮を行いながら、どのように従来の利益確保をするか苦慮している。コロナウイルスの影響で、仕入れ材料の遅延が本格的に出始めている。さらに客先の設備投資にも影響が出ることは間違いなく、先行受注と材料確保の社内指示を出した。
  • 業界において、材料、機器の欠品が目立ち始めた。現場入場に際して検温する現場が出てきている。千葉、熊本の建築現場において感染者が出ており、国交省より注意喚起の発表有。あわせて遅延や工期延長の寛容なる対応を依頼している。総会、安全定例会、会食の延期、資格講習会の延期。イベントの電気工事の協力会社は3月、4月のイベントがほぼキャンセルになり受注の見通しが出来ない。

4.建築設計・不動産

  • 建設コストが高止まりしている中、景況感が下降(製造業の悪化、消費税による消費の落ち込み、新型コロナウイルス問題など)している状況で、プロジェクト着手が遅れている(施主の決断が鈍っている)。今後建設投資に調整が入ってくる見通しとなった。自社の資金繰りを注意しながら、最悪を想定した経営を検討中。
  • 年始から「売り物件不足」の状態。規模の小さい業者は深刻な不足、大きい業者も不足気味。コロナウイルスが話題になるにつれ景気の先行きを諦めたのか、不動産売却の相談が増えている。建築業者に聞くと、お客様の数は昨年に比べかなり減っている。アパートなど投資向け物件は、金融機関がかなり厳しい態度を示している。自社のお客様では、もともと所有されている土地に、アパートを建てるために融資を求めたところ、その土地と建物では担保が足りないということで、別に所有している土地も担保に求められたと言う話を聞いている。
(2)製造業

●業況判断DIでは、今月の状況が△5→△28と23ポイントの下降、前年同月比は△37→△46とマイナス9ポイントとなりました。とりわけ次期見通しは△9→△32とマイナス23ポイントと、大幅に悪化する結果となりました。売上高でも前年同月比が△32→△44、次期見通しが△33→△49と、「悪い」と回答する企業がさらに増えています。規模別で見ると、5人以下の企業で経常利益状態が△36(全体では△7)、資金繰り状態は△60(全体では△29)と、小規模になるにつれて厳しい経営状況にあります。昨年から続く製造業の不振に追い打ちをかけるように、新型コロナウイルスの影響で中国向けの仕事が止まり、日本の製造業に悪影響を及ぼしていることや、昨年10月の消費増税による消費の低迷、企業の負担増も追い討ちをかけているといえます。(事務局 松井)

1.金属加工・樹脂加工

  • 2~3月は海外向け特需のため多忙だが、4月以降は新型コロナウイルスの影響もあり、かなりのダウンが予想される。
  • 来年度から動き出すと言われているが、その兆候が見えないため本当に仕事が出てくるのかわからない。
  • 昨年からの米中貿易摩擦により自動車産業が低調ななかで、新型コロナウイルス発生の影響が出てきている。既存顧客だけでは非常に厳しい。また、部品集約化の影響などで、二極化が進んでいる。
  • 現在は順調に受注できているが、周りの同業者の話を聞くと景気判断(仕事量)に温度差があり、仕事の有無の差が大きいと感じている。新型コロナウイルスの影響で、中国で組付けの仕事等の受注減がいつ出てくるのか?必ず影響が出ると考えているが、どのくらいの時期(期間)が予測できない為、不安が大きい。
  • 新型コロナウイルスの件で中国からの部品供給が滞っており、代替え生産で一時的に仕事が増える兆しがある。

2.機械部品・機械製造

  • 新型コロナウイルスの影響が不透明。中国からの輸入が止まって困っている。今後BCP対策が進むと考えると、国内回帰もあると予想する。
  • 5G関連の仕事(中国向け)を得意先よりいただいており、5月ごろまで増産予定だったが、新型コロナウイルスの一件でどうなるか先行き不透明な状態で、来年度の予定が立てづらい
  • 弊社で製作していた製品が数年前から中国で生産するため大幅な受注減で苦しめられたのに、今回の新型コロナウイルスの影響で急遽の受注があるも、納期や価格ともに中国での相場と言われた。断りたいところだが、現状の自動車業界で仕事量が大幅に落ちている中なので嫌々ながらも受注。新型コロナウイルスの影響が収束したら、また元に戻るのか。
  • 電機メーカーから中国の半導体関連がようやく動き出したと聞いた途端に、新型コロナウイルスの話が出る。冷静に対応しないといけないと思うが、なんでも自粛となってしまうと経済に対しての影響が避けられず、困ったことになる。

3.木材・木製品製造業(家具を除く)

  • ネット通販のプラットフォーマーの横暴が目立ち、業界再編があるかもしれない。手数料の増加、配送コストの増加等、ネット通販に携わる零細企業は廃業に追い込まれるのではないか。

4.印刷・包装関連

  • 新型コロナウイルスで先が全く見通せない。大きなイベントがすべて中止になり、販促業界にも直撃。
  • 伝票関係ではノンプリント(白紙化)、チラシ等ではノンペーパー化が続いている。

5.食品・繊維製品・雑貨・身の回り品製造業

  • 消費税増税が軽減税率の食品販売にも影響していることが公表され、ますます消費が落ち込むことを懸念している。新型コロナウイルスによるインバウンド減少により、日本全体の景況感が悪化していると感じる。早く終息してほしい。
  • 地域の大型スーパーの統合による業態変化はまだまだこれからで、大変心配である。
  • 消費増税の影響がここへ来て出てきている。東京五輪によるインバウンド増を予定し、今後は増産傾向であったものの足元在庫過剰が続いているのでとても不安。
  • 内装業界のオリンピック需要はこれからだと思う。新型コロナウイルスの影響で、日本での生産が増える半面、価格が安く忙しいだけになってしまうので製造業は要注意。

6.その他製造業

  • 陶磁器業界の現実は厳しい。
(3)流通業

●前回の11月期調査の結果と比較して「今月の状況」を見ると、業況判断DIは9→△10と大幅に19ポイント減少(悪い)、仕入価格変動DIは40→33と7ポイント減少(低下)、資金繰りDIは△27→△32と5ポイント減少(窮屈)と、大幅に落ち込みました。「前年同月比」を見ても、業況判断DIが△16→△28と12ポイントも減少(悪化)しました。愛知県経済を牽引する製造業の業況判断DIがリーマンショック級の下降を続けており、全業種で細心の注意が必要です。(事務局 墨)

1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)

  • ロボット、半導体製造装置には少し動きが出てきた。一部で在庫調整が終わりつつあり、それが実感できるようになってきた。ただし、動く機種は限られており、全体が動くまではいかない。自動車関係は日本での生産計画は底堅く動いているが、新型コロナウイルスによって止まっている中国工場の状況によっては部品供給が止まるなどの問題が出そう。特に、ティア3あたりが海外で作って日本に持ち込む部品に関しては動向がつかめていないので不安がある。また、これが長期化することにより、日本からの輸出も減ると思われるので、先行きは厳しい。
  • 消費増税による国内需要の冷え込みと米中貿易摩擦の影響で、国内自動車部品メーカーの引き合いが鈍い。これに加え、武漢肺炎により中国仕入先からの部品供給が滞り、代替先(主に国内メーカー)に振り替える事態となっている。中国価格では加工供給できないので値上げ交渉して、一時的には客先も認めてくれているが、当面は生産現場の混乱は続きそう。
  • COVID-19の影響で、7月頃まで納期遅延などが出ると思います。機械関係の材料(鋳物)は、すぐに代替えが効かないので待つしかない。
  • 自動車関連,工作機械等の設備関連の製造業は明らかに仕事が減っている。そこに輪をかけて中国製品の生産・輸入停滞による悪影響が売上減少へのダブルパンチとなっており、長期化も危惧している。

2.繊維、衣服、雑貨

  • 衣服関係です。消費増税、暖冬の影響の影響は、少なからずあったと考えられる。新型ウイルスの影響もいろいろと出てきつつあるので、しばらくは厳しい状況が想定される。
  • 値段競争や消費者の買い渋りが目立っている。
  • ガソリンスタンドです。消費税増税後から需要意欲減退が見られ、とくに法人への販売数量が減っている。暖冬の影響で灯油の販売数量に関しては前年比6割程度。同業他社においても粗利確保の考え方が値段を下げて販売数量を増やす方法から、商品当たりの粗利額を増やしている傾向が見られる。

3.飲食料品

  • 鰻業界は経営を継いでくれる後継者の有無が仕入れ先、販売先、金融機関の信用に大きく左右されている事象が堅調になっている。社員教育により技術の承継と経営能力スキルアップが急務。
  • コロナウイルスの影響で、中国からの食材がかなり減少し確保が難しい。単価も上がり仕入れ価格が増大。民間需要の停滞、旅行客の減少で取引先からの受注が激減。先行きがかなり不安。春に向けて花見、宴会需要に期待したいが、全く先が読めず、厳しい。
  • 給食や仕出しをやっていますが、同業者は人件費に圧迫され、廃業・倒産が多くなっている。

4.運輸、情報通信

  • 物流サービスです。顧客動向で元気な会社は、医療機器、介護用品、半導体関連と見受けられるが、自動車含めてほとんどの製造業が苦戦中。
  • 情報サービスです。コロナウイルスによる、今後の企業からの流通が滞ることが懸念。
  • 旅行業です。コロナウイルス騒動による旅行キャンセルが増加し、不安が否めない。

5.保険、不動産

  • 国内で自動車が売れない事により、ディーラーが保険販売に一層注力しており、値引きと抱き合わせ。法律(用品のサービスや下取車の価格上乗せ等)で禁じられている販売手法を平然と行っている。フェアでない競争環境の中で専業の保険代理店は防戦に苦労している。一人親方の代理店は、ほぼ経営権を手放して大手代理店の社員になっており、サラリーマン化(歩合制も含めて)が進んでいる。
  • 年始から「売り物件不足」の状態。規模の小さい業者は深刻な不足、大きい業者も不足気味。コロナウイルスが話題になるにつれ景気の先行きを諦めたのか、不動産売却の相談が増えている。建築業者に聞くと、お客様の数は昨年に比べかなり減っているとのこと。アパートなど投資向け物件は、金融機関がかなり厳しい態度。
(4)サービス業

●今月の業況判断DIは23→17、経常利益DIは29→23、と前回に続いて大きく減少しました。

この背景として、消費税増税や製造業からの景気後退が影響し始めたところに、今回の新型コロナウィルスの感染拡大が大きな追い打ちをかけたことは明白です。

3業種毎では、業況判断DIが、専門サービス業36→38、対個人サービス業10→△1、対事業所サービス業19→6。経常利益DIが、専門43→38、対個人20→8、対事業所19→20、と特にマイナスを記録した対個人サービス業の落ち込みが顕著です。項目毎では、継続・改善した数字も一部あるとはいえ、回答期間中にウィルス感染の拡大や活動の自粛が急激に広がったため、実際の景況感・数字はより悪いものであることは間違いありません。

経営課題としては、「人件費の増加」が39%と半年前より続く最大値をキープし、前回大きくアップした「民間需要の停滞」が20%と、こちらも高止まりしています。経営上の力点としては、「付加価値の増大」が58%、「新規受注(顧客)の確保」が54%と、いずれも過去最高の値を記録。特に後者は一時下がったものの、再び上がっており、今後ウィルスの影響により活動の自粛が広がれば、人手不足と並ぶ、より深刻な問題となりえます。

文章回答では、新型コロナウィルスにより客足・仕事減が始まったとの回答は勿論のこと、今は影響が少ないが、影響が長期化し納品がストップするなど、不透明な今後を恐れるもの。オンライン化などを進めることで、差別化し売上を上げるチャンスと捉えるものもありました。今になって消費税増税が響いてきたとの回答もありましたが、直近では手元資金・資材を厚くすることへ努めると共に、社員教育や社内体制の見直しなど、先を見据えた活動を並行して行っていくことが、混乱終焉後の結果を左右すると、リーマン・ショック時の経験が指し示しています。(事務局 橋田)

1.福祉(介護)

  • この2~3年の保険法改正と消費税増税の影響が大きく、売上が停滞している。法改正にて揺らぐこの業界での今後を考えると、増加する高齢者に対する介護保険外事業を視野に、事業展開すべきと判断。

2.産廃・環境

  • 有給取得の推奨により、従業員やパートを多く雇用せざるをえず、人件費が増加している。

3.自動車整備・販売

  • 元請企業が内製を強化し、下請企業への発注率が低下。仕事量が激減している。

4.広告・印刷

  • 新型コロナウィルスの影響でイベントの中止、または不参加が増加。そのため、イベント設営費や広告宣伝費に影響が出ている。今後は、大きなものだけでなく中小イベントの中止も出てくると思われる。
  • 新型コロナウィルスの影響へ対処しようにも、需要の低下、もしくは値下げ要請が目に見えているだけに、短期的に打てる手は借入れ準備くらい。経営力強化のため、新規関連事業を確立しても同じ状況に陥るだけであり、であれば新規異業種事業を見据える必要もあるかと考える。
  • 消費税増税のタイミングで、広告という設備投資を控えようとする動きと、ライバルの安値攻勢が見られる。また、安くて品質の良い零細企業の廃業により、仕入れ単価の上昇という環境の変化もある。大企業とは異なる中小企業の差別化というブランディングをきちんと出来ないと、生き残っていけない。

5.人材請負

  • 新型コロナウィルスの影響で、物流やアポイントのキャンセルがあり、動きが取れない状況。
  • 気候変動による温暖化が進み、業界自体が苦戦続き。また、新型コロナウィルスの影響で、インバウンドの客足が減ってしまった。

6.専門サービス

  • 建設コストが高止まりしている中、消費税増税や新型コロナウィルスを始めとした要因により、景況感が下降し、施主の決断が鈍っている。今後、建設投資に調整が入る見通しとなった。自社の資金繰りを注意しながら、最悪を想定した経営を検討中。
  • 弁護士業界は、ここ20年で新規参入・大手法人事務所の全国展開により、競争が激しくなった。しかし、新規顧客開拓のチャンスはまだ多くあると思う。地域のニーズを適正な価格でどのように拾っていけるかで、10年先の自社の姿が決まってくる。