景況調査

第108号-2020年11月
足もとの景気は引き続き改善も、コロナショック前の水準にはなお遠い

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:599KB)

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景況調査報告(2020年11月)第108号(PDF:1.48MB)


【概況】

「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた「業況判断DI」は、「今月の状況」が前回の△13から8へ21ポイント大幅に改善し、2019年11月調査以来3期ぶりにプラス値へ回帰しました。要因は前回調査から「良い」と回答した企業が10%増加、「悪い」と回答した企業が11%減少したことによります。一方「前年同月比」(△39→△25)、「次期見通し」(△17→△7)は、それぞれ「悪化」超過幅を縮小させましたが、マイナス値にとどまりました。足もとの景気は前回調査に続いて改善してきているものの、コロナショック前の水準には届いておらず、先行き見通しも楽観できる状況にないことを示す結果となりました。

業種別では、前回調査同様DI値の持ち直しに差があることが確認できました。「業況判断DI」の「今月の状況」は、建設業(9→21)、流通業(△15→5)、サービス業(△1→15)が二桁の大幅な改善を示した一方、製造業は△45→△10と、「悪化」超過幅を大幅に縮小させながらもマイナス値にとどまっています。製造業の回復力の弱さが目立つ結果となりました。「前年同月比」は、建設業(△23→△21)、製造業(△68→△42)、流通業(△43→△29)、サービス業(△24→△15)いずれの業種も改善傾向を確認できましたが、なおもマイナス値にとどまっています。「次期見通し」はサービス業(△6→1)がわずかにプラス値となったほかは、建設業(△7→△5)、製造業(△40→△21)、流通業(△21→△7)のいずれもマイナスを脱することができず、なお先行き慎重な見方が多いことが示されました。

分析会議では、「DI値の改善」をどう読むかが議論の焦点となりましたが、今回の改善には「春から夏にかけての最悪期を脱した安ど感」が前回調査同様強く反映されており、感染拡大の第三波がもたらす影響が懸念される中、客観的な景気状況は依然として厳しいとする意見が大部分を占めました。

今回調査でもっとも業況が「良い」とされた建設業からは、「緊急事態宣言で一時的に停止した現場、流通が動き出したこと、年度末への追い込みで足もとは動いている」など、受注残が足もとの業況改善に寄与したとの指摘がなされた一方、先行きについては「住宅着工戸数は対前年比マイナスが続いており、これが反転する兆しはない」、「投資用物件も今はまだ勢いがあるが、今後衰えることはあっても勢いを増す状況にはない」、「分譲マンションの売れ行きが悪く、建設計画が止まる可能性もある」、「見積案件が減少傾向。単価も下落している」など、厳しい評価が多く聞かれました。

製造業については、自動車関連からは「カーメーカーによる違いはあるが、研究開発案件などが動いている」という声が聞かれる一方、「恩恵を受けているのは二次・三次サプライヤークラスまで」と波及効果は限定的とする発言や、「中国向け輸出の好調さも1社のみで、いつまで続くかは分からない」との慎重な意見が相次ぎました。また工作機械関連は「中国を中心にアジア向けは動いているが、欧米向けは昨年対比20%超減」、半導体製造装置関連からも「横ばい状態。小型ロボットは動いているが、それも中国頼み。米中対立の行方次第」など、中国依存の状況を危惧する発言が聞かれています。さらに航空機関連は「5年先まで回復はない」、医療機器関係も「医療機関の経営状況が厳しいため、需要状況は芳しくない」とし、「自動車依存を強めながらの回復」であることを印象づける発言が多く聞かれました。

流通業、サービス業からは「学校の休校にともなう学習教材、自宅での年越し商材のパッケージ受注が増えている」、「リモートワークの広がりにより、中古パソコンの引き合いが多い」、「食品に特化したスーパーは過去最高の売上を記録」などのコメントもありましたが、現在の第三波が飲食やイベント関係業種にさらなる追い打ちをかけており、景気の二番底や経営者自身の経営マインドの落ち込みなど、強い先行き懸念が訴えられました。

年末・年度末に特有な資金繰り問題が今後中小企業に押し寄せてきます。再度、気を引き締めて経営に当たる必要がありそうです。

[調査要項]

調査日 2020年11月16日~11月26日
対象企業 愛知中小企業家同友会
調査方法 会員専用サイト「あいどる」
回答企業 会員企業より1262社の回答を得た。業種内訳は以下
(建設業229社、製造業273社、流通業307社、サービス業453社)
平均従業員 28.2名(中央値8名)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、安藤寿・安藤不動産代表)が実施した調査結果をもとに、景況分析委員の業界情報を集めてまとめたものです。

【業況判断】
全業種で持ち直すも製造業は弱含み

今月の状況は、前回の△13から21ポイント持ち直し8と大幅な業況判断の改善傾向を示した。業種別でみると、建設業が9から21と12ポイント改善幅を拡大させた。その他、流通業が△15から5と20ポイント、サービス業が△1から15と16ポイントと、いずれも二桁の改善傾向を示し水面上に回復した。製造業でも△45から△10と35ポイント持ち直すものの、水面下での推移に留まった。

前年同月比は、前回の△39から△25と14ポイントの改善傾向を示した。業種別でみると、製造業が△68から△42と26ポイント持ち直した。流通業も△43から△29と14ポイント、サービス業も△24から△15と9ポイント持ち直した。「建設業は△23から△21とほぼ横ばいで推移した。

3カ月後の次期見通しは、前回の△17から△7と10ポイント改善傾向を示した。業種別でも、製造業が△40から△21と19ポイント、流通業が△21から△7と14ポイント、サービス業は△6から1と7ポイントと、それぞれ改善傾向を示した。建設業は△7から△5とほぼ横ばいで推移した。全業種と時期に渡り、業況判断の持ち直し傾向が見られるが、製造業での改善が総じて弱含みであった。

業況推移DIグラフ

業況推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

【売上高】・【経常利益】
製造業は悪化の水準を継続

売上高DI(前年同月比)は、前回の△35から△19と16ポイント改善傾向を示した。業種別で見ると、製造業が△66から26ポイント反転し△40となり、流通業が△39から△21と18ポイント、サービス業が△19から△7と12ポイント、それぞれ二桁の改善傾向を示した。建設業も△26から△17と9ポイント改善した。3カ月後の次期見通しは、前回の△35から△24と11ポイント改善傾向を示した。業種別でみると、製造業が△60から20ポイント大幅に持ち直し△40になった。その他、建設業が△36から△29と7ポイント、流通業が△35から△20と15ポイント、サービス業が△18から△13と5ポイント、マイナス幅を縮小させた。

売上高推移DIグラフ

売上高推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

経常利益DI(今月の状況)は前回調査の△8から9と17ポイント改善し水面上に回復した。業種別でみると、建設業が8から7ポイント改善して15になり、サービス業が9から21と12ポイント改善した。流通業では△16から19ポイント改善し水面上となり3となった。製造業では△39から△11と28ポイントもマイナス幅を縮小させたが、水面下に留まった。

前年同月比は前回の△35から△22と13ポイント改善傾向を示した。製造業が△62から△42と20ポイント、流通業が△37から△19と18ポイント、サービス業が△22から△12と10ポイント、いずれも二桁の改善傾向を示した。建設業も△24から△20と4ポイント、やや改善した。3カ月後の次期見通しは前回の△11から△3と8ポイント改善傾向を示した。製造業が△37から△22と15ポイント、流通業が△13から△1と12ポイント、マイナス幅を縮小させた。サービス業は5から7とほぼ横ばいで推移した。建設業も△5から△4と大きな変化がなかった。

経常利益推移DIグラフ

経常利益推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

【在庫感】 ほぼ横ばいで推移

今月の状況は、前回調査の18から15と3ポイント「過剰」超過幅が縮小した。これは2期連続の傾向である。業種別でみると、製造業(22→21)がほぼ横ばいで推移した。流通業(13→10)では「過剰」超過幅が縮小した。前年同月比は前回の9から9と変化がなかった。製造業(12→12)・流通業(6→6)でも横ばいで推移した。次期見通しは15から13とほぼ横ばいながら「過剰」超過幅が縮小した。業種別では、製造業(19→19)では変化がなかった。流通業(10→6)は「過剰」超過幅が縮小した。

【取引条件】緩やかな改善傾向

前年同月比は△9から△6とやや改善した数値を示した。業種別でみると、建設業(△6→△2)・製造業(△11→△7)・サービス業(△9→△6)がやや持ち直した。流通業(△10→△8)大きな変化がなかった。次期見通しも、前回の△11から△7と水面下ながらやや改善傾向を示した。業種別でみると建設業(△12→△5)・製造業(△12→△8)・流通業(△11→△8)・サービス業(△9→△6)がいずれもやや持ち直した。緩やかながら全業種で改善傾向が見られた。

【資金繰り】 初めての「余裕」超過の水準

今月の状況は、前回の△7から0と7ポイント「窮屈」超過幅を縮小させた。この数値は1994年より調査を始めて以来の水準である。業種別でみると、建設業(0→3)・サービス業(△5→1)が「余裕」超過幅を拡大させ水面上まで回復した。調査始まって以来の数値を示した。製造業(△17→△5)・流通業(△6→△1)でも「窮屈」超過幅を縮小させた。全業種に渡り調査始まって以来の高い水準となった。次期見通しは前回の△12から5ポイント改善し△7となった。この数値も1994年より調査を始めて以来の水準である。業種別では、建設業(△10→△9)が過去最高、サービス業(△8→△5)が過去最高タイを示した。製造業(△22→△10)・流通業(△11→△6)が過去二番目の「窮屈」超過幅を縮小させた数値である。

【設備過不足】・【施設稼働率】
設備は再び「不足」傾向、稼働率「低下」持ち直す

設備過不足DI(今月の状況)は0から△5と2011年5月期以来の水面上となった状態から落ち込んだ。業種別でみると、製造業(21→6)が「過剰」超過幅が縮小し、流通業(1→△5)が再び水面下に落ち込んだ。建設業(△11→△10)ではほぼ横ばいで推移し、サービス業(△9→△9)は変化がなかった。

次期見通しでも前回2から△4と「不足」超過幅が拡大し再び水面下に落ち込んだ。業種別では、製造業(23→12)が「過剰」超過幅を縮小させた。流通業(1→△5)・サービス業(△6→△10)では「不足」超過幅を拡大させた。建設業(△8→△8)は変化がなかった。

施設稼働率DI(前年同月比)は、前回調査の△42から△18と24ポイント「低下」超過幅が縮小した。業種別でみると、製造業(△59→△24)・流通業(△23→△11)で、いずれも二桁「低下」超過幅の縮小が見られた。次期見通しは、前回調査の△32から△19と13ポイント「低下」超過幅が縮小した。業種別にみると、製造業(△43→△26)・流通業(△18→△11)ともに「低下」超過幅が縮小した。

【雇用動向】 再び人手不足感が拡大

今月の状況は、△10から△20と10ポイント「不足」超過幅が拡大し、緩和された人手不足感が反転した。業種別でみると、流通業(△7→△17)・サービス業(△17→△24)が「不足」超過幅を拡大させた。製造業(17→△1)も「不足」超過幅を拡大させ再び水面下に落ち込んだ。建設業(△37→△38)は大きな変化がなかった。

次期見通しは、△10から△18と「不足」超過幅を拡大させた。業種別にみると、製造業(18→1)では改善幅が過去最大となった2期前の調査より連続で落ち込んだ。水面下で流通業(△7→△18)・サービス業(△17→△21)が「不足」超過幅を拡大させた。建設業(△34→△33)はほぼ横ばいで推移するものの、人手不足感が再び強まる傾向を示した。

【価格変動】
仕入価格は「上昇」、販売価格は「低下」

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回の9から16と「上昇」超過幅が7ポイント拡大するも、「不変」と回答した割合は75%に及んだ。業種別でみると、製造業(8→18)が二桁「上昇」超過幅を拡大させた。その他、建設業(13→18)・流通業(10→15)・サービス業(8→14)も「上昇」超過幅が拡大した。

前年同月比では12から17と5ポイント「上昇」超過幅が拡大した。業種別でみると、製造業(12→19)・流通業(8→13)・サービス業(10→15)が「上昇」超過幅を拡大させた。建設業(19→21)もやや同じ傾向を示した。

次期見通しは、前回の7から13と「上昇」超過幅が6ポイント拡大させた。業種別でみると、製造業(5→15)が二桁「上昇」超過幅を拡大させた。建設業(9→13)・流通業(9→13)・サービス業(6→12)もそれぞれ「上昇」超過幅が拡大した。

販売価格変動DI(今月の状況)は、前回の△7から△3と4ポイント「低下」超過幅が縮小したが水面下の状態を継続させた。業種別でみると、サービス業(0→4)が水面上になり「上昇」超過幅が拡大した。また、建設業(△10→△7)・流通業(△8→△2)が「低下」超過幅が拡大させ、製造業(△14→△13)は大きな変化が見られなかった。

前年同月比は前回の△5から3ポイント「上昇」超過幅が拡大し△2となった。業種別でみると、サービス業(3→6)が更に水面上にあがった。流通業(△8→△3)も「上昇」超過幅が拡大した。建設業(△6→△8)・製造業(△14→△12)では、大きな変化が見られなかった。次期見通しは、△8から△5と3ポイント「上昇」超過幅を拡大させた。業種別でみると、サービス業(△1→2)が水面上まであがり「上昇」超過幅を拡大させた。建設業(△16→△12)・流通業(△10→△4)といずれも「上昇」超過幅を拡大させたが、「低下」を下回る状況で推移した。製造業(△14→△14)では変化がなく、総じて販売価格は低下傾向が弱まった。

【借入金利】
建設業の短期金利「上昇」、長期金利は全体で「上昇」

短期借入金利DIは前回調査の△4から1と水面上にあがった。業種別でみると、建設業(△11→1)が二桁「上昇」超過幅を拡大させ、流通業(△2→2)・サービス業(△4→△1)も「低下」超過幅を縮小させた。製造業(0→2)はほぼ横ばいで推移したが水面上となった。

長期借入金利DIは前回の△2から2と水面上になり「上昇」超過幅を拡大させた。業種別でみると、建設業(△8→4)が二桁の金利上昇の傾向を示した。流通業(△1→3)・サービス業(△3→0)も水面上まで「上昇」超過幅を拡大させた。製造業(4→4)では変化がなかったものの、金利上昇の水準で推移した。

【経営上の力点など】
問題点は「従業員の不足」、力点上位の「社員教育」が鍵

全業種でみた経営上の問題点は、「民間需要の停滞」(43%)・「従業員の不足」(30%)・「取引先の減少」(26%)と続き、前回と比べて「従業員の不足」の比率が上昇した。2020年5月期調査で、人手不足感が最も緩和したものの、再び「不足」超過幅が拡大している証左といえる。

業種別でみて特徴があったのは、建設業で「下請業者の確保難」(33%)、製造業と流通業で「取引先の減少」(25%・31%)、サービス業で「従業員の不足」(33%)だった。このように、建設業やサービス業での回復基調が見て取れる結果となった。文書回答では「名古屋駅前開発、栄開発の延期、撤回の案件が目立ち、足元は忙しいが影響が心配(建設業)」「短期的には景気は上向いているが一過性のものだと思う(製造業)」「コロナの影響により業界によって明暗がはっきりしている(流通業)」「当たり前に行っておくべきことが出来ていないと、需要停滞が起こるとすぐにダメージが出る(サービス業)」という情報が寄せられた。

全業種における経営上の力点は、第1位「付加価値の増大」(58%)、第2位「新規受注(顧客)の確保」(55%)、第3位に「社員教育」(31%)とこれまでと同じトレンドであった。ポスト・コロナを見据えて、経営指針に修正を加え、人材育成と市場創造に徹底して取り組むことが今後の飛躍の基盤になるといえる。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●前回の8月期景況調査の結果と比較して「今月の状況」を見ると、業況判断DIは9→21と12ポイント上昇し、新型コロナウイルス感染症の流行以前の水準近くまで回復しました。仕入価格変動DIは13→18と5ポイント上昇(値上がり)、資金繰りDIは△0→3と3ポイント上昇(やや改善)しています。一方、短期借入金利(△11→1)と長期借入金利(△8→4)は二桁上昇しています。この金利「上昇」超過幅の拡大は業種別では最大のものです。雇用動向DIでは△37→△38ポイントという結果で人手不足は依然として続いています。コロナの影響で投資計画の見直しや延期がなされ、今後への不安から次期見通しもマイナス水準ですので引き続き注意が必要です。(事務局 佐藤)

1.総合工事、リフォーム、大工、室内装飾

  • 大手も先行きの見通しが厳しいとみえ、地方の小規模案件にもアンテナを張り出している。いつもの如くこの先は、相見積もりや、競争入札や下値要請などが高まってくると思われるが、いまだ熟練技術者不足で人材難といわれる業界なので、簡単に応じられる企業は減っている。こういう時期だからこそ、安易な値引きに応じることなく、長期的な視野、顧客へのソリューション、自社の優位性をアピールしていく。

  • 住宅業界は、元々人口減と若者の減少、年収減で縮小傾向にあり、このコロナ禍でますます加速している。非住宅建築を伸ばすか、新たな事業展開を模索するか、現状を守るかを考えなければいけない。

  • 専門業者は忙しいが総合建築の会社は仕事に中々結びついていない。工場や事務所などへの設備投資の需要が減っているため、2021年の見通しがはっきりしない状況。

2.基礎、鉄筋、土木、コンクリート、解体

  • 鋼材メーカーは強気の値上げをしており、見積提出からのタイムラグは想定内で、鋼材高騰の想定で受注と仕入れを単価割れギリギリで購入できているが、今後の動向にはかなり左右される。受注は近々短期案件を受注済みではあるが、長期大型案件は予想施工単価を割り込む。理由は、同業他社が大型案件に対して低価格受注をしようとしていることが挙げられる。通常の施工単価を割り込むことなく受注を迎えたいところだが、過去のリーマンショック影響を鑑みても、今回のコロナの影響については、今後(来年秋~年末頃から先)の動向が懸念される。
  • 契約で動く建設業界は、コロナの影響はほとんど無かったに等しいが、これからの契約にはコロナの影響が受注に大きな影響を及ぼすと考えられる。個人消費(個人邸案件)が冷え込むだけでも、底冷えが既に始まっている。各市町村の公共案件も、来期は期待薄どころか、公共工事自体が皆無と言われている市(複数の市)の情報もある。民間案件をミスなく出戻りなくクオリティを下げずに大事に施工していくことが必要。大中小案件減少によって価格競争・案件の奪い合いに必ずなるのは、この業界の常識とも言われるところだが、少なくとも上得意様案件は横やりが入っても、これまでの信頼・信用でブレない施工品質を保ち、工期を守れるかで勝負したいところだが、安易な価格競争に巻き込まれると、人件費が通常を割り込み離職者を増やしたリーマンショック時を想像してしまう。

3.給排水管工事、電気工事、設備工事

  • 空調機器の施工をしている。BtoBにて小売り関係は10月以降、例年より販売が低迷している。それに伴い受注も激減し前年の30%程度減となっている。コロナによる消費行動が耐久消費財まで及ばない状況が伺え、景気が悪化している感覚を持っている。
  • 大型案件の件数が減り、高止まりしていた受注価格も下がり始めている状況。大手携帯会社が値下げを計画しているので設備計画への影響を懸念している。5Gは工事があまり進んでおらずこれからの投資先になるが、競合相手が東京から仕事を取りにきているので良い材料がない。

4.建築設計・不動産

  • 土地は下落傾向にある。建築費も同様に下降傾向がみられる。しかし投資用のマンションなどの物件は依然として落ち込む気配はない。住宅系も着工戸数は減少しているが、地域的にマダラな傾向が強い。一方で工場や事務所での設備投資や増床計画は延期になるなど足が長そうです。県下には巨大プロジェクトが多く動いていますので全体としての景況感は悪くない。
  • コロナの影響も含め、さまざまな要因が重なり、建築の計画がストップしている状態。今後さらに影響が長引くと思われる。デザイン関連についても、今年は手控え感がある。今まで慣例でやっていたこと(いつかはなくなる)が不要になって、そのスピードが早まっている。価値観を変え、より価値あるものにシフトチェンジしていかないといけない。
  • 住宅着工数は前年比マイナスで反転する材料がない。設計業界では投資用物件の需要はあるが、入居が少ない状況なのでいずれは受注も止まると考えている。ゼネコンも4月以降の案件が減っており、競争入札の件数が増えたことで受注単価が下がっている。またコロナの影響でオフィス需要が減り、新規案件の判断に迷っている様子。土地の値段もピークを過ぎており、引き合いが減っている。
(2)製造業

●業況判断DIでは、今月の状況が△45→△10、前年同月比は△68→△42、次期見通しは△40→△21とすべて大幅に改善しましたが、新型コロナ前に戻ったとは言えない状況です。売上高も前年同月比が△66→△40、次期見通しは△60→△40と「悪化」超過幅を大幅に縮小させました。また、経常利益DIの今月の状況は△39→△11、前年同月比が△62→△42、次期見通しが△37→△22という結果で、こちらも「悪化」超過幅を大幅に縮小させていますが、依然として他業種と比べると回復が遅いことが分かります。設備過不足DIは今月の状況と次期見通しともに「過剰」が前回よりも下回りましたが、製造業のみが「過剰」を上回る結果でした。また雇用動向DIは2期ぶりに「不足」が「過剰」を上回りましたが、他業種に比べると「過剰」と答える割合は高い傾向にあります。他業種に比べても全体的に回復は鈍く、依然として厳しい状況は続くと思われます。(事務局 松井)

1.金属加工・樹脂加工

  • 10月から自動車部品関連の受注が大幅に改善し、稼働時間のキャパをオーバーしている状況。短期的に3月くらいまでは忙しいと予測している。量産部品を製造している会社はコロナ前か、それ以上の受注状況になっている。11月からコロナの感染者数が増えてきて、「第3波」の影響次第では受注状況が変わるリスクはあると警戒はしている。

  • 半導体製造装置業界は、年度末に向けて上り調子と予測される。他業界が沈んでいる中で新規参入業者や既存業者の値下げ攻勢が激しくなっており、価格が下落しつつある。

  • 景気回復には程遠く、明るい兆しは見られない。年末に廃業する同業他社が2件ある。やめる人の勇気もやめない人の勇気も感じる。新聞紙上のような好転は全く感じられない。

  • 将来が見通せず先行きは不安だが、新製品開発の為の研究開発、社員教育、また新工場建設、コロナ感染予防などの社内環境の改善を、今やれるべきことはしっかりやって、強靭な経営体質をめざす。

  • 金属プレス金型の需要が高精度なものに変わってきている。特に電気自動車向けのモーター部品の需要が高まっているが、高精度な金型部品が必要となっている。

  • 自動車業界は順調に回復しているが、部品の標準化が進み新規受注の確保が難しくなってきている。

  • 従来の強みであろう部分が通用しなくなってきた。単価面では太刀打ちできないので早急に新たな付加価値を高めることが必須。

2.機械部品・機械製造

  • 顧客の仕事状況は少しづつ好転しているが、設備投資まではまだ時間がかかりそうな状況。

  • トヨタの生産が回復傾向との報道とは真逆に、生産設備や試作品などの仕事はさらに減っている。仕事があっても見積合戦の単価の下げ合いでまともな仕事が出来ない。この状況が続けば体力は限界を迎える。

  • 量産ではない製造業はコロナ渦の前から景況が下降気味であった為、更にコロナ渦の経済停滞で追い打ちをかけるように悪化している。

  • 建設業界に携わる機械設備業は、決定物件の先送りや計画中止などの話しが舞い込む一方で、12月以降の仕事がパタッと無くなった。リーマンの時のようだ。

  • 仕事のあるところに業者が群がっているように思い、価格競争が厳しくなっていると感じる。

  • 9月から11月までは、前年同月比プラスになったが、来年1月からは減産になる見込み。まだまだ油断を許さない状況。

3.木材・木製品製造業(家具を除く)

  • イベント、民間の需要はダメ。公共事業は、今期の予算にある物件が発注されてきた。今後は、予算が激減することが予想され、今期より来期の方が危機感が高い。

4.印刷・包装関連

  • 好調な業種に激しく偏りが出ているので今後の見通しが非常に不鮮明。

5.食品・繊維製品・雑貨・身の回り品製造業

  • 外食は昼は完全に回復したように思える。

  • コロナの影響で家庭用食品の需要が増加したが、Go To イート等の政策により元に戻りつつある。アフターコロナに備えて、新商品開発に力を入れている。

  • コロナによる不安から受注減少となって半年、ここへきて過剰な不安感がやや和いでいるように思える。在庫不足から商材探しで大手量販、専門店バイヤーはシーズンにあわせメーカーを駆け回っているようだ。付加価値の高い高額なものでなく生活に必要な低価格帯商品を中心に求めているようである。

6.その他製造業

  • 自動車業界からの新規受注・引き合い見積りが激減しているため、金型メーカー等の単発で案件を受注しているところが全体的に良くない。
(3)流通業

●前回の8月期調査の結果と比較して「今月の状況」を見ると、業況判断DIは△15→5と20ポイント大幅増加(良い)、経常利益DIは△16→3と19ポイント増加(黒字)となり、前回調査結果と同様に、流通業も全体的に「悪化」超過幅が縮小しました。これは、新型コロナウイルス感染症により企業活動の停止を余儀なくされていた部分の再開が大きな要因のようです。また同様に「前年同月比」を見ると、業況判断DIが△43→△29と14ポイント上昇(好転)、経常利益DIは△37→△19と18ポイント増加(黒字)と改善はされたものの、依然としてマイナス圏にいます。製造業の業況判断DIの「今月の状況」が△10(「良い」よりも「悪い」が超過)という結果からも、愛知県経済全体は決して好転している訳ではなく、今後も十分な資金調達が必要となりそうです。(事務局 墨)

1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)

  • 自動車関係は昨年並みに戻ってきているが、それも一律ではなく、車種によってかなり状況が異なる。中国、アメリカ向けの輸出が好調と言われているが、アメリカの感染状況を見るとこれが続くかどうかは不透明。タイ、インドネシアの自動車販売は低調。回復の兆しも見えない。ロボット、半導体製造装置関連の良い話は多いが、直前にならないとそれが本当に決まるか分からず、決まった場合は納期の問題で走り回らなければならないことが多い。その話のいずれも中国向け。日本経済の中国依存がますます進んでいるように思える。

  • コロナ禍で、よい面、悪い面が混在している。官公需は全体にコロナ対策予算や環境対策の予算が潤沢に回っているが、例えば空気清浄機は欠品続出で、4月まで入荷が見込めないものある。工場関連では、取扱商品は余裕がある。3月に向けて、予算獲得などの動きも見込める。ただし、来期は、工場設備も冷え込み、税収の落ち込みから官公需も減少が見込まれる。

2.建築資材

  • 今回の景気悪化はコロナの影響も勿論あるが、2019年10月に実施された消費税増税から状況が悪化したと思われる。昨年10月からいろいろなところから「業績が下がった。リーマンショックよりも悪い」などの発言をよく耳にした。

3.繊維、衣服、雑貨

  • 最近の状況は、悪くはなく前年同月比で増加することもあるが、この先感染拡大でどうなるのかは、予測しにくい。

  • コロナ禍において、人・物・金が動いておらず、また消費を行うマインドが上がらず、結果として販売不振に陥っている。

4.食料品

  • 自動車関連業種や他の製造業が多い東海三県にあって、トヨタ自動車の業績が戻りつつあるのは非常に心強い。反面サービス業や飲食関係が厳しい状況にあり、特に飲食関係はコロナ第3波の影響が今後確実に出てくる。

  • 感染者拡大を受け、少しずつ戻ってきていた受注がまた急降下し、支払いサイトの短い仕入れの資金繰りがかなり負担になっている。今は営業など出来るはずも無い為、人件費を減らし、経費削減をし、試行錯誤しているが、顧客がまったくといっていいほど調子の良い店舗がない。

5.運輸、情報通信

  • 製造業等に大きく影響が出てきており、コストダウンを意識しての相談事(値下げや内制化)が増えてきている。自社売上における人件費の割合が大きくなってきている為、苦しくなってきている。人材確保難から一転して人材は流動的になってきて問い合わせが増えている。教育の方法の確立が急務。

  • ここに来て、IT化を進めていく企業が増えている感じが多いが、技術者が不足している業界である為、需給のバランスが悪い。

6.保険、不動産

  • 緊急事態宣言より継続して、取引先保険会社の勤務形態が1/3ほど在宅勤務となっている。大企業において、更なる人員削減が予想される。また、巨大なオフィスも不要になる。
  • 来客数がかなり減っている一方で、契約件数は減っていない。これまでは、「ネットに載っていない物件はないですか?」と聞かれることが多かったが、最近は全く聞かれなくなった。業者間での優勝劣敗ははっきりしてきている。不動産業は小規模な経営が非常に多いので、すぐに廃業と言うことはないと思うが、“売り逃げ”が心配される。
(4)サービス業

●今月の業況判断DIは△1→15、経常利益DIは9→21、と3カ月前に引き続き数字上は大きな回復基調を示しています。しかし、今回も業種毎に数字・内情が大きく異なる為、この数字は現実から一定遊離したものであると、言わざるをえません。

三業種毎では、業況判断DIが、専門サービス業19→34、対個人サービス業△22→△9、対事業所サービス業△5→13。経常利益DIが、専門33→41、対個人△16→△3、対事業所2→18、とこちらが実際の景況感に近い数字と言えるでしょう。数字から判断すると、前回調査時から進展して、専門サービス業がコロナ以前の10割以上、対事業所が約7割仕事が戻ったのに対し、対個人は未だ低迷中。更に対個人の中でも、コロナ禍による需要好調に伴い、業況が良い事業も含まれていることを考慮すると、飲食・観光など苦境にある事業は、全く回復していないことを表しています。事実、同事業者の回答を抽出したところ、業況判断及び経常利益DIが、前回の△73→△71、△58→△63と、全く回復していないどころか、集客の為に価格競争へ陥り、より利益が悪化している印象さえ受けます。

経営上の問題点・力点については、「民間需要の停滞」「新規受注の確保」がそれぞれ38%、65%と、今回も高い値を記録。特に後者は約7年ぶりに60%を超え、上記と合わせ、集客へ苦戦される姿がうかがえます。また、「人材確保」「社員教育」がそれぞれ21%、23%と、長期化するコロナ禍に対しほぼ横ばいなことは、危機的状況でも「人を生かす経営」に取り組む、会員企業の姿勢の表れかもしれません。

資金繰りDIが、全体と同じく初めて0を記録しましたが、これはそれだけ多くの企業が制度融資を受けているとも見てとれます。サービス業は比較的短期の融資が多い分、制度融資による一服感もあるかもしれませんが、早目の融資やそのための企業づくりが、早急に求められます。(事務局 橋田)

1.飲食

  • 11月からの第3波と呼ばれる新型コロナウイルス感染症の影響で、本来書き入れ時となる12月の経営計画が全く見通せなくなっていることに、非常に危機感を抱いている。居酒屋業としての限界を、現在感じつつある。

2.福祉(介護)

  • 秋になり新型コロナウイルスが再流行してきたが、サービス利用は継続している。ただ、今後感染者数がさらに増え、不安が不安を煽っていくと、ご利用されない方が多くなり、業界として冷え込みが激しくなる。より個別で、かつリモートで対応できるようなサービスづくりが必要となる。

3.産廃・環境

  • 金属スクラップ価格は上がっているものの、取引先(お客様)の経営状況が悪く、スクラップの発生量が少ないため、販売したくても品物自体が入ってこない。

4.自動車整備・販売

  • 元請からの受注が激減しており、新規開拓営業で受注を確保しているが、この先1年間が見通せない。

5.広告・イベント

  • イベントはまだまだ自粛傾向にあり、特に行政関係の祭事などは、なかなか自粛解除になっていない。そのため、業界全体で厳しい状況が続いており、弊社でも例年に比べ大幅な売上減少が続いている。

  • 来年オリンピックがあるのか、またイベント関連がどの程度復活してくるのか、コロナの影響がいつまで続くのか、未だに読めない。それ次第で、広告業界の景況は激変してくるであろう。

  • 比較的コロナ禍の影響を受けていない業種だが、それでもなお売上の低下はある。結果、普段からの経営体質の強化やリスク管理など、当たり前に行っておくべきことができていないと、コロナ禍や規模に関係なく、需要が停滞するとすぐにダメージが出ることを実感した。また、完全な異業種へ挑み運営しておくことで、緊急時のリスク分散が行える可能性が上がることを考えると、経験の少ない業種だろうが、チャレンジできるうちはどんどんチャレンジしておくべき。

6.専門サービス

  • 土地や建築費は下降傾向が見られる。しかし、投資用のマンションなどの物件は、依然として落ち込む気配はない。住宅系も着工戸数は減少しているが、地域ごとに格差がある。その一方、工場や事務所での設備投資や増床計画は延期になるなど、回復まで長くかかると思われる。ただ、県下には巨大プロジェクトが多く動いており、全体としての景況感は悪くない。