マスメディアの情報創造
山田 悠氏 中部経済新聞社
5W1Hを簡潔に
「マスメディアの情報創造」をテーマに、現役の新聞記者から見たニュースの勘所について、中部経済新聞社の山田悠氏に講演いただきました。
同社は、社員数90人のうち半数が女性記者で、印刷・配送は中日新聞社に委託しています。取材エリアは、東海地方を中心に現在13拠点にて展開されています。
情報収集は、まず現場に行き当事者になって見ること(1次情報)で記事に臨場感が出るといいます。世の中に埋もれている情報を聞き出すことがポイントで、企業なら将来像として今後何をしていくのか、トップ交代など、経済ニュースは変化点を探ることが大事だと知りました。
記事には「5W1H」を盛り込み、1文は短く、高校生でも理解できる内容にまとめること。時には情報を捨てることも必要です。また、ニュースは新鮮なうちに正確に伝えることが重要で、特に固有名詞は絶対に間違えないようチェックが欠かせません。世間の関心が高い記事は1日も早く配信しますが、確認不足で誤情報にならないよう、その塩梅が難しいそうです。
背景や開発秘話も
企業のメディア活用方法としては、プレスリリース(簡潔にまとめた広報用の発表資料)を作成し、情報発信すると注目が集まりやすいといいます。その際、新製品や新サービスの狙いと背景、失敗談や開発秘話などを盛り込みます。同業種の上場企業ホームページに掲載されているプレスリリースを参考にすると紹介されました。
持ち込み先は、市役所・商工会議所や中部経済産業局の記者クラブがおすすめです。記者クラブの机に資料配布するのが一般的ですが、社長が自身で持ち込み、記者の前で発表する場合もあります。
未来形で情報発信
常に最新情報が求められているため、時事ネタを盛り込むと有利です。最近なら、「伊勢志摩サミット」や「個人情報の流出」などに関連した事柄は採用確率がアップします。また過去の話は採用されにくく、「3日後にオープン」など未来の情報の方が採用されやすいそうです。
発表のタイミングも大事で、記者が最も忙しい時期は外すのが無難だといいます。なぜなら、3月から5月は社内人事や決算発表、11月から12月は中間決算や新春紙面の作成の時期にあたるからです。曜日では、月曜日から金曜日にかけて競争率が上がる傾向にあるので月・火がおすすめとのことです。
メディアへの情報発信としてのプレスリリースのやり方や、情報伝達についてポイントを押さえた話を聞くことができ、自社の効果的な広報活動のヒントを得ることができる部会となりました。
アイ・シス・エン 小塚 幸輝