マイナンバー制度とは ~プライバシー権を侵害する恐れ
戸谷 隆夫氏 戸谷隆夫税理士事務所
集めるのは「努力義務」
11月度広報部会では、「マイナンバー制度」について学びました。
弊社ではマイナンバーについて、社労士から社員に説明してもらい、情報保護についても納得いただき、マイナンバーを教えてもらえることになっていたので、「対応完了」と考えていました。しかし、マイナンバーにかかる問題は給与だけでなく、不動産所得など、意外と広範囲にわたることがわかりました。国税通則法では、「申告書、申請書、届出書、調書に住所または居所および番号を記載しなければならない」とあるそうです。
このマイナンバー、番号を社員から集めることは「努力義務」となっており、努力の結果、集められなくても罰則はありません。しかし、集めた番号が漏えいした場合は罰則があり、取引先の信用も失いかねない事態となります。収集するときは漏えいを防ぐ手段を講じ、それでも漏えいする可能性があることなどを文章で相手に示し、番号提供について判断してもらうことも1つの手法として紹介されました。
共通番号制の課題
マイナンバー法には不明なことが多く、不確かな情報が飛び交っています。今回は、共通番号制度に関する各国の現状も紹介されました。
アメリカ、カナダでは番号の取得は任意。フランスは、様々な個人情報への紐付けがされない。ドイツは歴史的な経緯があり納税者IDのみ、イギリスでは一度施行されたものの5年後に廃止、などです。また、情報流出や成りすましなど様々な問題も起きているようです。
番号の保管方法1つとっても、絶対に漏れないと保証できるものはありません。また、この制度自体がプライバシー権を侵害する恐れもあります。マイナンバーを扱うリスクの大きさ、管理の難しさがよくわかりました。
安藤不動産 安藤 寿