活動報告

人を生かす経営を学ぶ学習会(9月5日)

社員と経営を守る
~「仕事と介護の両立支援」研修講座(3)

松永 貞子氏  社会保険労務士
尾之内直美氏  認知症の人と家族の会
江上 幸江氏  (株)ケアコンシェルジュ

「介護休業は介護に関する方針を決め、初動に移る期間」と話す松永氏

離職は負担増

介護問題は顕在化しにくいため、企業側の対応や環境づくりが遅れて介護離職を招く可能性が高いという課題があります。第2回「人を生かす経営」を総合的に学ぶ学習会では、仕事と介護の両立支援に携わる3氏を迎え、それぞれの立場から現実に即した報告をいただきました。

社会保険労務士の松永貞子氏は「介護は誰もが直面する可能性がある。会社を辞めても介護は終わらず、精神・肉体・経済面の負担が増す」と、離職せず両立するための制度や、その対象となる範囲を説明。介護休業の93日間は、介護に関する長期方針を決め、初動に移るための期間だと強調しました。

制度と環境整備で支援

「認知症の人と家族の会」愛知県支部代表の尾之内直美氏は、介護者の立場から「介護に直面したときの仕事継続の可能性は、有給休暇の取得や残業免除との関連が強い」と話し、恒常的な残業の削減や情報の共有など、両立可能な職場づくりを求めました。

ケアコンシェルジュの江上幸江氏は「自分が介護を続けられるのは社長だったから」と話し、介護を抱える社員や会社を守れるよう、常に複数でフォローし合うチーム制にし、「お互い様」と思い合う職場づくりを進めていることを報告。また今年度、自身が同友会理事として愛知県から委員委嘱されている「仕事と介護の両立支援導入マニュアル作成研究会」に触れ、実用的で判りやすい冊子製作の進捗経過も紹介しました。

まとめとして、制度を使いやすくするような雰囲気を社内につくることや、介護などの突発事態にパニックになる社員に対し、知識で道をつけるのも経営者の仕事であることを確認しました。