活動報告

第17期共育講座 第6講座(10月28日)

共に育つ実践物語

豊田 弘氏  知立機工(株)

「教えるより、気付きの場を提供すること」と語る豊田氏

「教えるより、気付きの場を提供すること」と語る豊田氏

第17期社員と学ぶ共育講座(34社、107名が参加)第6講座・豊田弘氏の報告を紹介します。

共に育つは俺が育つこと

私が会社員として勤めていた頃、血尿が出るほど働き、結核で入院しました。会社の不正を直訴してから折り合いが悪くなり、電報1本で解雇され、独立しました。このような自分の経験を社員に味わわせたくない一心で「社員や家族を絶対に路頭に迷わせない」というのが私の経営哲学です。

同友会で学ぶ中で自社を顧みると、悲惨な状態でした。経営に対する考えも甘く、隙だらけの自分に責任があることに気付きました。放任が優しさだと錯覚し、社員の幸せを真剣に考えていなかったことを深く反省しました。

根を養えばおのずと育つ

人間は、枠にはめられて生きていくような薄っぺらいものではありません。人間性を磨くために「人・命・働く」を考える全体会議を始めました。最初は批判もありましたが、良いと信じたことを継続すると企業風土になります。

自らの姿勢を正し、社員の一人ひとりが活躍できる居場所を提供し、自主性を大切にしてあげれば、人は生き生きしてきます。会社は社員が主役です。社員がいなければ会社は成り立ちません。教えるより、たくさんの気付きの場を提供することが大切です。また、社員に「任せる」と言ったことは最後まで任せる必要があります。

教育とは、子供を自分の脚で歩けるようにしてやることです。根を養えば、樹はおのずと育ちます。人を生かす経営とは、会社にとって都合の良い社員(金儲けの道具)をつくることでなく、経営者自らが学び、育ち、姿勢を正すことです。自分が育ち、社員が育ち、その社員に教えられて自分が育つ。このサイクルが、本当の「共に育つ」だと思います。