共に育つ実践物語
報告する豊田氏
豊田 弘氏 知立機工（株）
第１８期社員と学ぶ共育講座（３２社、１１２名が参加）第５講座・豊田弘氏の報告を紹介します。
共に育つは俺が育つ事
私は勤めていた頃、血尿が出るほど働き、結核で入院しました。会社の不正を直訴してから折り合いが悪くなり、電報１本で解雇され、必死の想いで独立しました。自らの経験を社員に味わわせたくない一心で「社員や家族を絶対に路頭に迷わせない」というのが私の経営哲学です。
同友会で学んでいましたが、自社を顧みると悲惨な状態でした。サラ金や競馬で崩壊した社員を大馬鹿者だと思っていましたが、経営者の私に責任があることに気付きました。社員の幸せを真剣に考えていなかったことを深く反省しました。社員のことをとやかく言う前に、まず自分が姿勢を正し、背中を見せることが必要です。
根を養えば自ずと育つ
人間は、枠にはめられて生きていくような薄っぺらいものではありません。人間性を磨くために「人・命・働く」を考える全体会議を始めました。最初は批判もありましたが、良いと信じたことを継続すると企業風土になります。
自らの姿勢を正し、社員の一人ひとりが活躍できる居場所を提供し、自主性を大切にしてあげれば、人は生き生きしてきます。会社は社員が主役です。社員がいなければ会社は成り立ちません。教えるより、たくさんの気付きの場を提供することが大切です。また、社員に「任せる」と言ったことは、最後まで任せる必要があります。
教育とは、子供を自分の脚で歩けるようにしてやることです。根を養えば、樹は自ずと育ちます。人を生かす経営とは、会社にとって都合の良い社員（金儲けの道具）をつくることでなく、経営者自らが学び、育ち、姿勢を正すことです。自分が育ち、社員が育ち、その社員に教えられて自分が育つ。このサイクルが、本当の「共に育つ」だと思います。
