活動報告

障害者自立応援委員会(10月10日)

離職者ゼロを目標に ~会社は社員の自己実現の場

採用のアンマッチをなくす

人が育つ会社

中小企業しんぶん11月25日号の【円卓】では、人材不足の深刻化を「人が育つ会社としての差別化」のチャンスととらえ、選ばれる会社を本気で目指そうと投げかけています。いざという時にどう対応できるかが企業の実力であり、その分かれ道は「経営者と社員の信頼と協力」の関係にあります。中卒7割、高卒5割、大卒の3割が3年以内に離職すると言われる昨今、離職者を出さない風土づくりは企業存続の重要な課題です。

自動車部品の製造会社エイベックスは、社員数約380名、うち10名が障害(知的・精神・発達)のある社員です。法定雇用率の2%を超えていますが、ビジョン実現の公約には3%を目標に掲げています。

今回は、エイベックスの執行役員でイクシー取締役社長でもある生駒健二氏から、障害者雇用を通じて変化したエイベックスの企業風土を、4段階に分けて報告いただきました。

ここで働き続けたい

1、開始期。初めての障害者雇用は、経営指針による企業変革が始まった頃でした。地域貢献を意識し地元の養護学校実習生を受け入れますが、困っている人を雇用するという考え方が現場を混乱させ、しばらくは雇用できない状態になりました。

2、混迷期。業績が急上昇するも、組織が未成熟で社員の離職が増加。その原因は、経営側の考え方が軸となっていたことにありました。

3、変革期。本人や家族の声に耳を傾け、障害者の働きやすい環境づくりに取り組み始めます。社内では障害者個々の特徴や関わり方を学び、一人ひとりの違いを尊重する価値観を共有しました。外部支援機関と交流を深め自社の考え方を知ってもらい、雇用の際は親や本人と面談し、長く安定して働いてもらいたい旨を説明しました。

4、成長期。職場にとって必要な人材に成長してもらうため、30分程の仕事を切り出して組み合わせ、フルタイムで働く仕事量を確保。上長と本人・家族への聞き取りシートをもとにこまめに面談、適材適所の配置を確かにしました。聞き取りシートはノウハウの蓄積や働く上での不安解消に有効で、社員やパートにも適用しています。

こうして、障害者雇用の目的は「さまざまな方の活躍を通じて企業存続を実現させることにある」との確信を得ました。今は、成長を実感できるよう「共育デー」を設け、普段とは違う仕事を学び、チャレンジ精神を養う取り組みも行っています。社員の立場に立ち、一人ひとりの活躍の場を創り出す企業風土が、「この会社で働き続けたい」につながっています。