活動報告

障害者自立応援委員会(4月10日)

初めての障害者雇用から1年

鳥越 豊氏  (株)鳥越樹脂工業

他人事だった障害者雇用も会員の姿を見て取り組み始める

豊かさと可能性

鳥越豊氏は、28歳の時に脱サラで起業。創業の精神「挑む」に意味を込めた「意努夢」を社訓とし、事業目的の「豊かさと可能性を引き出す」を最も重視しています。

以前は、自社に障害者ができる仕事は無いと思い込み、障害者雇用は他人事だったといいます。考えを改めるきっかけは、障害者の自立を真剣に考える同友会会員の姿勢でした。自分の向き合い方を恥じ、すぐに特別支援学校を探して実習に踏み切ります。

雇用を前提に受け入れましたが、最初の実習では社員に「難しい」と言われてしまいました。2回目はベテランのパート社員に託したところ、「大丈夫」とのことで採用を決めました。入社したT君は軽作業に配置し、実習を担当したパート社員を教育係としました。

しかし、作業ができたと思った途端にできなくなる、休日明けには白紙に戻るという繰り返しで周囲が負担を感じ始めた頃、教育係のパート社員が「原因がわかれば大丈夫」と言ってくれ、心強く思ったと鳥越氏は振り返ります。また当時、委員会で「健常の社員と同じように叱るべき」とヒントをもらい、社員に話すと肩の力が抜けた様子だったといい、「無意識のうちに腫れものに触るようになっていたのかもしれない」と話しました。

初めての笑顔

入社後、一度も笑顔を見せなかったT君。笑顔を見せてほしくて趣味の絵を描いてもらったところ、彼の描いた「風神雷神」に皆が目を見張り、思わず「すごいね」と口から出た時、T君が初めて笑ったといいます。現在は作業要領書をT君に描いてもらっていて、作業もできるようになったそうです。

T君との関わりを通して「人には計り知れない能力がある。それをどう引き出すかが重要なのだと日々教えられています」と鳥越氏は締めくくりました。

「風神雷神」(T君作)