活動報告

第20期役員研修大学 第3講座「企業づくりの原点」(7月22日)

人を生かす経営の歴史と実践

吉田 幸隆氏  エバー(株)

あてにし、あてにされる関係から全社一丸の体制を目指す

第20期役員研修大学・第3講座の吉田幸隆氏の報告を紹介します。

労使見解の精神

同友会の目指す「人を生かす経営」の根幹となる考え方が「中小企業における労使関係の見解(以下、労使見解)」です。

戦後の復興期、大企業優先の政策や、社員と経営者の対立関係の中で行われた労働組合活動など、中小企業経営は暗然たる状況にありました。また、1947年に施行された日本国憲法の「基本的人権の保障」が国民の間で強く意識されていました。

そのような時代背景から生まれた「労使見解」は、人権の保障、社員との関係性、経営者の姿勢、経営環境の改善を重視しており、その精神は現代の経営にも生かせるものです。

社長が変われば会社は変わる

私が考える「人を生かす経営」とは、社員と経営者が互いにあてにし、あてにされる関係を築き、全社一丸体制を目指すことです。そのためにも、社員が主体的に考えられる環境をつくることが大切です。これは、社員との関係に悩み、労使見解を何度も読み返す中で、感じるようになりました。

私は、自社の経営課題を労使見解に当てはめて考えています。例えば、「仕事のやりがい」が課題に挙がっているのであれば、それは労使見解でいう「労使における新しい問題」にあたります。人を生かす経営を具体的に考えるときに、労使見解を読みながら経営課題を整理します。

折に触れ労使見解を読み返し、何のためにこの仕事をするのかという社員の問いかけに向き合い、答えられているか、社員自ら考える時間を設けているかを問いかけ、経営姿勢を改めることが重要であり、その繰り返しが「人を生かす経営」の一歩になると思います。