
名古屋市東区泉の寒桜並木道にて
(提供:古澤 毅氏/古澤デザイン事務所)
プロフェッショナルになろう
~新社会人の皆様へ

加藤 明彦 愛知同友会会長
エイベックス(株) 代表取締役会長
豊かな人生への一歩
新社会人の皆さん、「人を生かす経営」を目指している愛知中小企業家同友会の会員企業に入社され、誠におめでとうございます。きっと、今の正直な気持ちは「希望」と「不安」が入り混じり、胸が一杯だと思います。
社会人となった今、心に留めておいていただきたいことをお伝えします。
皆さんはこれまで親に育てられ、学校で学びを得てきました。初めて飛び出す社会ですが、今からは働くことを通して豊かな人生を自分の足で、自分の力で歩んでいくことになります。
今までは、お金を払って学んできた人生でした。これからはお金をもらって生きていく、プロフェッショナルとしての人生を歩むことになります。
あるべき姿を描こう
働くことを通して社会で大切なことは、目先の視点で考えるのではなく、将来に向かっての人生設計を描くことです。常に「あるべき姿」をイメージして、「目標設定」をすることにより、目指す方向が明確になってきます。
一度きりの人生です。悔いのない人生を歩むためにも、目標を鮮明にしてください。そうすることによって、困難な壁にぶち当たっても、乗り越える道が見えてきます。
目の前に「大きな壁」、周囲を見回しても向こうがまったく見えない壁があるとしたら、皆さんはどうしますか。ここでひるんではいけません。後戻りをしないでください。将来のあるべき姿に向かって、勇気を持って一歩前進してください。
壁に手を当てて押してみましょう。向こうが見えてきました。そう、「大きな壁」と思っていたものは、実は「紙でできていた」のです。紙なら押せば、破れます。
壁と思っていた問題は、「押す」という行動によって解決しました。そして一度乗り越えたら、もうそれは壁ではありません。解決するための、やるべきことを知ったからです。
強い意志を持って
頭で考えるだけでなく、経験・体験、すなわち「実践」が大切なのです。やってみて初めて分かることが多々あります。これが社会です。この行動が皆さんに成長をもたらします。
厳しい言い方かもしれませんが、社会では、自分自身の強い意志が求められます。その強い意志があれば、周囲を巻き込み、大きな影響力を与えることで、社会における自分の存在価値が見えてくるのです。
その結果として「明るくプラス思考で、社会生活を送る」ことができ、自分の人生をより充実させ、やりがい・生きがいが持てるようになります。
今日という日は、就職活動のゴールではありません。社会人としてのスタートです。入社を決めた時に、心に感じた「将来の自分のあるべき姿」に向かって、初心を忘れず、原理・原則に従って惜しみなく努力し、一歩一歩着実に成長していくことを、心より祈念致します。
若い皆さんへの期待

磯村 太郎 共同求人委員長
サン樹脂(株) 代表取締役
不確実性が強まる
2020年度入社の新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。あいにくの新型コロナウイルス感染症の流行で、入社式が開催できなかったことを改めて残念に思います。
しかし、皆さんはこれで記憶に残る世代となりました。長い社会人生活のスタートとして、「語り草」にできるネタができたと前向きにとらえてほしいと思います。
私たち同友会では毎年、総会議案に「情勢と展望」をまとめています。今年はGAFAと呼ばれるプラットフォーマーによるデジタル経済の進展、CASEという自動車産業の再編、5Gという通信革命などが挙げられ、現代は技術主導の社会の大転換期にあると指摘されています。
総じて言ってしまえば、時代は不安定で不確実、複雑で曖昧なものになっており、将来や希望は見えづらい状況になっています。
人間尊重の精神を胸に
そんな先の見えない時代に、なぜ皆さんが入社される企業は、新卒を採用したのでしょうか。社長が明確に未来を予測できているから? そのような予言ができる人はいません。
そうではなく、不安定で不確実な時代だからこそ、新たに入社される皆さんのような若い力が時代を乗り切るカギであり、企業を変革する力の源泉であると確信して、採用したのだと思います。
同友会は「人間尊重の経営」を標榜しています。皆さんが、自分自身を尊重し、仲間や先輩を尊重し、お客様や仕入先を尊重することが、企業の未来を確実なものにします。
そして、互いに人間が人間らしく生きる社会を創ることを同友会は目指しています。これが実現できるかは、社長だけでなく皆さん次第でもあります。私たちが顔を合わせる機会はしばらくありませんが、同じ志を持つ同期として互いに高め合っていきましょう。
共に生きる人間として

明石 耕作 共育委員長
(株)トヨコン 代表取締役
激動の時代を生きる
新入社員の皆さん、入社誠におめでとうございます。
私は、愛知中小企業家同友会・共育委員会の委員長をしております。本来ならば、4月2日、3日の新入社員共育研修会で皆さんと一緒に集合研修をするはずで、その準備をしていただけに、今回の開催中止はとても残念です。
愛知同友会の新入社員研修では、会員企業の新入社員が集まり、会社に役立つ人間づくりを目的とはせず、激動の時代に生き残る力をつけるために、経営者と社員が共に生きる人間としての総合的な力をつけることを目指して開催されます。
総合的な力とは、社会や情勢の変化を、本質的、科学的に認識して自らの生きる道筋を決められる力です。その力を養うために、人間や労働、経済の根源に遡って学び、何のために働くのか、自分はどう生きるのかを、2日間にわたって考える時間にしています。
何のために働くのか
皆さんには、これから働く上で、「何のために働くのか」を自問自答していただきたいと思います。もちろん、「お金のため」と考える人もいるでしょう。
しかし、果たして「お金のためだけ」に働くのでしょうか。それならばもっと給与の良い会社があったかもしれません。この紙面だけでは伝えきれませんが、「自分の成長のため」や「誰かの役に立つため」など、様々な考え方があることを知っていただきたいのです。
半年後の10月9日には、皆さんを対象とした「新入社員フォローアップ研修会」を予定していて、そこで同期の方たちと集まり、一緒に考え、話し合える場を設けています。皆さんの参加を楽しみにしています。