活動報告

共同求人委員会(6月15日~19日、7月6日~10日)

急激に悪化する雇用情勢 若者に安心と将来への展望を
~オンライン合同企業説明会を開催

9年ぶりの雇用「過剰」水準

東海財務局が6月に公表した中部4県の法人企業景気予測調査によると、この間、不足感が続いてきた雇用動向が一転し、東日本大震災直後の2011年4~6月期以来、9年ぶりに「過剰」超過に振れました。

新型コロナウイルス感染症の流行で、生産活動が低迷する製造業の落ち込みが大きく響いたのが背景といえます(グラフ1参照)。

(グラフ1)従業員数判断BSIの推移(原数値)業種別

愛知同友会の2020年5月末景況調査でも、雇用動向を「過剰」と回答した企業の割合から「不足」と回答した企業の割合を差し引いた「雇用動向DI」は、「今月の状況」が▲32→▲1、「次期見通し」は▲29→▲2へ「不足」超過幅が大きく縮小しています。

「過剰」と「不足」との差がこれほどまでに接近したのは、東日本大震災直後以来9年ぶりです。会員企業から寄せられる、「最近、求職者の応募が飛躍的に増えている」との声が、現下の雇用情勢の悪化を裏付けています。

就職戦線、異常あり

こうした影響は新卒の労働市場にも波及し、リクルートキャリアのまとめた「2020年7月1日時点―内定状況」によれば、大学生(大学院生除く)の就職内定率は前年同月比から11.9ポイント減の73.2%(グラフ2参照)。新型コロナウイルスの感染拡大による企業業績の悪化が、内定取り消しにつながっているとの声も聞かれます。

(グラフ2)就職内定率

こうしたなか、共同求人委員会では、5月よりオンラインでの合同企業説明会を開催。地域の若者に、安心と将来への展望を示し、共に企業の未来を創る仲間を求めて活動しています。

「社長セッション」が学生に好評

自社の将来性を語る庵原英樹氏(イハラ鋼業)

6月・7月の合同企業説明会は、各月1週間にわたって開催されました。のべ数で、6月は会員企業60社が出展、学生108名が参加、同じく7月は70社が出展し、112名の参加がありました。

オンライン説明会では、多くの学生に対してプレゼンテーションができる点で会員企業の満足度は高い反面、従来の対面方式と違って学生の顔が見えないため、一方通行の説明になりがちであるなど、ウェブならではの難点が挙げられました。

「社長セッション」では学生の悩みに経営者が助言を行う

今回は、Zoomの投票機能(上写真参照)を利用しながら、(1)就職活動の現状、(2)面接で困っていること、(3)中小企業のイメージ、(4)どんな社長と働きたいかについて質問し、学生の率直な思いを知った上で、企業側からアドバイスする「社長セッション」の時間を設けました。

実際に企業を訪れて、その雰囲気を肌で感じることができないまま就職活動をすることに、学生も不安を抱えていることが分かりました。

ウェブ上では社風が掴みづらく、どのように自己PRをすればよいのかわからないとの声も出されました。そうした悩みに寄り添うことで、学生の参加意識の向上につながったと思います。

学生の目線に立って

採用状況としては、エントリーがあっても会社訪問につなげるまでに苦労している企業が多くありました。

今後の課題として、会社を訪問したくなるようなプレゼンの仕方を工夫することや、社員から1日のスケジュールを話してもらうなどして、この企画自体が学生を応援する取り組みとして開催しているものであることを伝えていく必要性が出されました。

今年度は、誰しもが予測できなかった新型コロナウイルス感染拡大の影響で、従来の活動ができていません。企業にとっても想定外ではありますが、常に学生にとってどうすれば良いのかを意識しながら採用活動ができればと思います。