活動報告

コロナ禍を仲間と共に乗り越える ~支部・地区での奮闘記

2月末から対面での集まりが制限され、同友会活動は大きく変わりました。7月下旬からは第2波の感染拡大がみられ、先行きが見通せません。そうした中でも、コロナ禍を仲間と共に乗り越えようとする取り組みが各地区で広がっています。以下、事例をご紹介します。

【知多北部地区】仲間に励まされて

二塚 博樹  樹建築

二塚 博樹氏

どうすればいいのか

私は木造専門の大工として、ハウスメーカーの仕事を中心に請け負っています。父が経営していた会社から独立し、今年で3年目。順調に仕事も増えてきたと思った直後に、新型コロナウイルスで2月から売り上げが激減しました。どうしようかと悩んでいた時、同友会の仲間に自分の状況を相談しました。

話を聞いた仲間はすぐに動いてくれ、会員と私をつないだり、自社の状況を聞いたりしてくれました。また、相談に乗ってもらううちに、なかなか始められないでいた「木材を使った自社商品づくり」を実行しようという気持ちが芽生えました。

それを始めるには融資が必要となります。売り上げが減少してどうすればいいのか悩んでいたものの、融資を受けることにはためらいがありました。なぜなら、父の会社で働いていた頃に毎月の返済に大変苦労した経験があり、なるべく借りたくないという想いが強かったからです。

数字には意思がある

そうしたことから二の足を踏んでいる私に、先輩会員が時間を作ってくれて一緒に考え、学び、事業ドメインについて整理できました。また、融資を受けるにあたっての返済計画や経営の計画などにも「数字には意思がある」というアドバイスをもらい、理解を深めました。

仲間からの励ましと自社をしっかりと見つめることで、何が苦しいのかも分からずに苦しんでいたことに気付くことができました。また、融資を受けることへの過剰な恐れもなくなりました。これにより、不安な気持ちが落ち着いて、今後の進むべき道が見えたように思います。

同友会に入会して13年、普段から仲間と腹を割って話していたからこそ、今回の危機でも率直に悩みを打ち明けることができました。正直なところ、入会して間もない頃は身構えていました。先輩経営者から「ここは格好つける場ではない」と言われたことで、仲間と何でも話せる関係を築けたと思います。今後は新たな事業を形にすべく、前に進んでいきます。

蟹江晃男氏(左)と一緒に自社を見つめ直す

【一宮西地区】非常時の助け合い「昼サロン」と「何でも相談窓口」

村手 克行 (株)そよ風

今こそ仲間と話そう

村手 克行氏

新型コロナウイルス感染拡大により企業活動に大きな影響が出ている中、「1社もつぶさせない」という思いから、「1人で悩むのではなくまず同友会の仲間と話そう」と、5月初めから6月中旬まで、Zoomを利用して「昼サロン」を実施しました。

これは平日正午からの1時間、地区会員なら誰でも参加できる集いの場です。ホストは地区役員が担当しました。ランチをとりながらの参加もあり、互いの顔を見ながら、自社の売り上げの変化や、感染予防のための製品開発のことなど、日々起きていること、取り組んでいることなどを話すことができました。

時には持続化給付金や補助金など新型ウイルス関連のさまざまな支援策等について、社労士など専門家から、その内容や申請に必要なこと、注意点などについて学ぶ勉強会になることもありました。

5月26日には愛知でも緊急事態宣言が解除され、昼サロンの参加者が減ってきたことから一旦、これを休止としました。しかし、7月下旬から感染者数が急増し、事態は再び緊迫してきました。

そこで、「何でも相談窓口」を開設。今回は、守秘義務の観点から担当者を前地区会長の後藤泰司氏1人とし、そこから専門家や事務局へつなぐ方式にしました。連絡方法は電話やLINE、Zoomです。1人でも多くの地区会員が利用できるよう取り組んでいきたいと思います。

【名古屋第8青同】今やるべきことは何か

佐藤 正和 (株)サトー

互いの悩みを赤裸々に話し合い、皆で未来を考える

1社もつぶさない

新型コロナウイルス感染症拡大を受けて愛知同友会が活動自粛を決めたのが2月下旬。同友会がこれだけの決断をするということは、社会的にも大きな影響が出てくると危機感を持ちました。

当社は、制御盤の設計・製作・施工・メンテナンスを行っています。4月に前年同月比の売上が減少し、感染症の影響の長期化と厳しい経営環境を覚悟しました。社員の健康と安全のため、雇用調整助成金を活用した交代勤務制の導入、給与を100%保証できるよう借り入れを行い、当面の資金を確保しました。

大変な状況にあるのは同友会の仲間も同じだろうと思い、新年度地区方針に立ち返り、何を学んでいきたいのかを改めて考えました。佐藤代表理事の「1社もつぶさない」という呼びかけは、地区会長としての使命だと感じ、窮地に陥る仲間を見過ごさないよう決意しました。

タイムリーな情報交流

まず行ったのは、中心役員で意見交換を密にすることです。これにより、私自身も感染症の影響や不況を見越し、社会状況や経営課題、必要な学びについて、何度も顔を合わせて話をすることの大切さが実感できました。地区会員間で積極的な経営情報交換ができるよう、業況、資金繰り、雇用を守るための方法などを徹底的に話し合う機会を設けました。

室長にはWEBで短時間、月に2回以上の顔合わせをお願いしました。室長もそれぞれ考えてテレワークや医療等、得意分野を生かした勉強会を企画してくれました。地区全体では4月から7月まで情報交流会をWEBで開催。11月から2月には担当の室会(グループ会)が決めたテーマで議論をする討論会を予定しています。

社会や暮らしのあり方が非常に速いペースで変化しています。経営のヒントをつかむため、どの活動でも「今学びたいこと」「今やるべきこと」を考え、タイムリーなテーマの設定を意識しています。

仲間と共に学ぶ

活動の中で気をつけていることは、時間と学びのバランスです。景気が急激に悪化している中で、例会準備や議事録の作成などに時間をかけることの必要性に疑問を持ち、一旦止めました。それによって改善すべき課題も出ましたが、発足して3年目、経営で本当に役立つ学びを得るにはどうするかという視点から、1つひとつの活動の意味を振り返る良い機会となっています。

生まれも育ちも考え方も業種も違う経営者たちと本気で話し合って、自分自身が変われることが同友会の最大の魅力といえます。未曾有のコロナ禍、経営環境は非常に厳しいです。しかし、自主・民主・連帯の精神を大切に、これからも仲間と悩みを本音で話し合って互いに高め合い、学びを実践し、この危機を乗り越えて、私自身も社員と共に良い会社にしていきます。