活動報告

コロナ禍を仲間と共に乗り越える ~支部・地区での奮闘記(2)

【飲食業関連研究会】そうだ!同友会会員のお店に行こう!

加藤 三基男  サン食品(株)

会員の店舗をグーグルマップ上に表示

苦境の仲間を救いたい

飲食業関連研究会は今回のコロナ禍で、飲食関連の企業を仲間として少しでも支援できないかと、今年4月に立ち上げた研究会です。当初から「1社もつぶさない、仲間を1人も減らさない」という目的で、コロナ禍の飲食業に対する緊急性の高い課題を中心に、週に2回の緊急対策会議を行ってきました。

会議で当面の対応策を話し合う中、ある1社が自社の駐車場でお弁当を販売したところ、とてもよく売れたという報告を受けました。状況が日増しに悪化する中、売るものはあるのに売る場所がない、そういった悩みを抱える多くの会員に応える形で立ち上げたのが「TokoToko CARマルシェ」です。

ソーシャルディスタンスを保つため、当初はドライブスルー形式をとり、栄では傘で距離をとるようなマルシェも行いました。常滑市を皮切りに東海市、名古屋・栄、知多市などでも開催し、多くの会員方々に応援や励まし等をいただけたことで、大盛況となりました。出展企業、応援者、ボランティアの方々と「元気と勇気」をたくさん共有することができました。

会員の飲食店で食べよう

このステッカーが目印

振り返ればこの研究会も発足から5カ月を迎えています。このたび、政府の肝いりで進められている「Go To キャンペーン」の第2弾として「Go To Eatキャンペーン事業(以下、Go To Eat)」がスタートします。私たちとしてはこれを絶好のチャンスと捉え、仲間の会員を救う「そうだ、同友会のお店に行こうキャンペーン」を実施したいと考えています。

この事業の内容を学ぶなかで、私たちは「オンライン」に着目しました。これはオンライン予約サイトを通して予約して食事をすれば、金額にかかわらず1人最大1000ポイントが後日付与されるというものです。これを利用して、会員のお店を食べつくそうという取り組みです。

準備のなかで話し合いを進めていくと、「そもそも会員のお店がどこにあるのかよく知らない」という意見が出ました。そこで研究会ではグーグルマップ上に会員の店を表示するアプリを作りました。同アプリ上で店舗の場所をタップするとお店の詳細が表示され、オンライン予約サイトにも飛ぶことができます。

この機会に同アプリを使ってランチやディナーを美味しく楽しく食べ、仲間を救っていきたいと思います。また、同アプリは今回のキャンペーンだけでなく、今後も末永く会員の企業を会員間で使うために活用していきたいとも考えています。

情報をリアルタイムで

Go To Eatでは、オンライン予約の場合、同一サイトでないとポイントを利用できません。そこで各予約サイトを検討した結果、利便性の良さから「Retty」をなるべく利用したいと考えています。

このオンライン飲食予約への予算は767億円で、国民全員が使うとするとすぐになくなることが予想されます。これを私たちが積極的に活用することによって、仲間である会員の飲食店を救っていけたらと考えています。

今のコロナ禍、世の中の変化は速すぎて戸惑うばかりです。リアルタイムで皆さんと情報を共有できるよう、当研究会のホームページも立ち上げました。こちらも積極的にご活用ください。

まだまだコロナの終息には時間がかかりそうですが、みんなでこの難局を乗り切っていきましょう。「1社もつぶさない、仲間を1人も減らさない」。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

飲食業関連研究会HP
https://sanbo45.wixsite.com/doyoueat

会員企業こちらからグーグルマップを確認頂き、ご希望の店舗があればご予約ください。

【小牧地区】コロナ禍の採用活動と共同求人の魅力

水野 清香  水野工業(株)

水野氏(右)の持つパソコンの前で、新入社員が学生からの質問に答える

採用力が課題

父が経営する設備工事会社の後継として入社したのが8年前でした。長年地元を離れていましたので、まずは地域活動に参加したところ、出会ったのが共同求人委員長の磯村太郎さん(サン樹脂社長)や小牧地区会員の皆さんでした。会社経営で孤独に悩む日々の中、磯村さんに同友会を紹介いただき、入会しました。

まず、自社の大きな課題の1つが採用力でした。当時、求人を出しても10年以上もの間、技術社員が採用できませんでした。社員の高齢化が進み、このままではベテラン社員は定年退職し、蓄積された技術力や信頼が失われてしまいます。社員は採用に後ろ向きで、そのための努力に対して無関心でした。採用の必要性を社員に理解してもらえない中、とにかく少しでも採用力をつけたいと思い、共同求人への参加を決めました。

魅力的な企業になるには

入会後すぐに開催された秋の合同企業説明会を見に行きました。そこで感じたのは、自社だけでの採用活動には限界があるが、会員企業が集まると大きな力になるということでした。次年度から共同求人委員会へ参加し、採用活動を1から学びました。

そして実際に始めると、「自分自身が会社に魅力を感じていないと良さは伝わらない」と痛感しました。働きやすい労働環境なのか、経営指針を作成しているのか、社員教育の体制は整っているのかなど、様々な課題が浮かび上がり、それらの解決も並行して行う必要性を強く感じました。翌年から指針作成や共育、労務などの勉強会に参加し、働く環境の整備を続けています。

オンラインで社内の雰囲気を伝える

今年で共同求人に参加して4年目、社内でチームを組んで、より一層社員を巻き込んだ採用活動にしようとした矢先のコロナ禍。3月以降、社員の安全や雇用を守るために奔走し、採用活動を社員と一緒に進めることはできずにいました。

5月以降、共同求人の合同説明会がオンライン開催となったことで、自社でも個別説明会や選考をZoomで行うことにしました。やっと採用活動がスタートできて嬉しい反面、基本的に私が画面で話す形となってしまい、対面で行うよりも学生が会社を知るチャンスが少ないことが悩みでした。

アンケート機能の感想で「会社の雰囲気がもっと知りたい」という声があり、会社説明後にウェブ会社見学と称して、社内を見てもらえるようパソコンを持って移動しつつ、社員と学生が直接話す機会を設けることにしました。「もっと社員さんと話したい」という希望にも応えることができました。

未来を担う社員を育成

現在14名いる社員のうち中途も含めて7名は、私が採用活動を始めてから入社しました。客先からの信頼も厚いベテラン社員の数人は、定年退職が目前です。彼らの技術力や信頼を引き継げる社員を育てていくには、時間が必要です。今ある仕事量に対する社員数は過剰気味ではありますが、現場監督や経営幹部を育てようと思うと、これからも定期的に採用をし、育てていかなければなりません。

人手不足が叫ばれる建設業で、ベテラン社員が若い社員を連れて現場へ行くと、「なんで水野さんのところは若い子が入るの」と言われます。そうした一言によって、社員が自社状況へ目を向ける機会になり、採用や後輩育成の大切さに気付かせてくれています。私が入社した頃から社内の雰囲気も変わってきました。さらに社員と協力し、皆が成長できる環境をつくっていきたいです。

ビジョンを掲げ採用を

共同求人委員会をきっかけに、共育委員会など地区以外にも積極的に参加しています。三十代から経営を始める人も多い中、私は現在46歳。やるべき課題も多く、年齢的には次世代育成も考えていかねばなりません。同友会は、自分の気持ち1つで、いくらでも学べる場所だと感じています。

共同求人の活動を通じて、自社の課題の多くに気付くことができました。参加していなければ、たとえ経営指針を作っていても、学びの枠を超えることができなかったかもしれません。また、共同求人活動は自社だけのことを考えていては成り立たず、就職懇談会や学校訪問などを通して、会員企業が協力しながら大学との関係づくりを行っています。その中で、自社の長期的な方針の重要性や、継続的な社会との関係性の大切さを知ることができました。

各社の採用計画で今年の新卒採用は無かったとしても、10年ビジョンを掲げていれば中途など様々な形で採用を行って企業づくりを進めていくと思います。共同求人は単に人を採るためではなく、「採用」という切り口で自社の現状と将来を見つめ直し、社会との持続的な関係づくりに会員企業が一体となって取り組む活動といえます。同友会の活動において、この継続性が素晴らしいと感じています。今後も、自社だけでなく各社の成長に繋がるような取り組みをしていければと思います。

(文責:事務局 松井)

【豊橋北地区】経営は「微」の蓄積

黒田 功氏 (株)ケイワークス

社員に優しく顧客のニーズにも対応した新社屋と新ファクトリー

新ファクトリーが完成

キャンピングカーの製造・販売を手がけるケイワークスでは、9月1日の新ファクトリーと新社屋の竣工式に先立って、8月28日~30日に完成見学会と経営計画発表会が行われ、約100人の関係者が来場しました。

新ファクトリーでは一度に7台同時に作業ができる広い空間を確保し、1年を通して社員が働きやすいようにエアコンを整備しています。見学当日は猛暑日でしたが、工場内はゆったり快適に作業ができる環境でした。また、来訪者がキャンピングカーの製造工程を見られるように見学窓を設置してあり、社員に優しく顧客のニーズにも対応した造りになっていました。

新社屋はファクトリーと隣接した2階建てで、1階は主に部品保管庫として、2階は食堂兼戦略会議室として使用される予定だそうです。

経営計画で報告する黒田氏

的確な情報分析がカギ

見学後、黒田功社長による経営計画発表会が行われました。一般人向けのキャンピングカーだけでなく、企業向けのオフィスカーを主力商品として日本ナンバーワン企業を目指すことを黒田氏が社内外に発信したことは、社員や顧客に夢を与えると感じました。計画作成には社員も加わり、数字にこだわって徹底した分析を行ったといいます。

同社が今年4月、春日井市に「名古屋ショールーム」として新たな拠点を構えたことについて、新型コロナウイルスで景気が落ち込む中でなぜ決断できたのかを尋ねると、「悩まなかった。必要だったから決断した」と黒田氏。それが勘や思い付きではなく、徹底した分析に基づく判断だったことを聞き、強く印象に残りました。

同社は10年で売上を10倍に伸ばしました。業績が好調なのは、コロナ禍でステイホームと言われてからの単なるブームや偶然によるキャンピングカー需要の高まりではなく、常に社会情勢を意識し先を見越した行動を徹底してきた結果だと分かりました。

黒田氏は「経営は『微』の蓄積」と語ります。常に様々な分析や情報収集等、経営上必要なことを積み重ねて備えをしていれば、外的要因でどんなピンチがあってもチャンスに変えることが可能で、この厳しい時代でも会社を存続させることができるのだと感じさせられました。

(有)マルイ紙業  氏原 憲志

【豊川・新城・蒲郡地区】全国展開を目指す ~逆境のなかでもできること

鶴ヶ崎 兼也 (株)鶴ヶ崎鉄工

町工場の3Kを払拭、エコにこだわった日本初のオール木造工場

多品種を短納期で

自社は、自動車、航空機、工作機械、化粧品、医療、金型部品、建築、治工具、試作品など、10個以下の単品部品が9割以上を占め、昔ながらの汎用技術と最新機械の融合で、単品部品を月産で千種類以上作っています。そういった小ロット多品種の製品製造の旋盤加工、フライス加工、研磨加工を行っていますが、技術者不足から旋盤加工、研磨が行える金属加工業の会社が減少し、フライス加工を含めた3つの加工技術を1社で持つ企業は同業の中で1%程度です。そして、黒染めまでを一貫して行っている企業は自社のみです。

また、アルミやステンレス、樹脂のような非金属を加工する技術も持っています。これらの製造を全て自社で加工することにより、多品種でも短い納期に対応できます。

創業から35年が経ち、「家業」から日本の技術やものづくりを創造する「企業」になれるよう、誰にでも技術が教えられる環境や継承の仕組みを構築し、社員と共に日々取り組んでいます。

絆と笑顔をつくりたい

仕事の基礎は旋盤加工で、汎用旋盤はすべての加工機械の基本でもあり原点です。この機械を使いこなす技術の継承とその他の技術を追求することで、永続企業になれるよう目指しています。

1日の多くを過ごす会社に家庭的な温かさがなければ、働いていても楽しさや幸せを感じられないと思います。志を1つにして働く仲間とお互いの個性を尊重し、強い絆で結ばれる人間関係を大切にしています。

また、自社だけではできないこともたくさんあります。多くの方に支えられていることに感謝し、関わるすべての方や次世代の人々の幸福を追求し、笑顔で楽しく過ごせる未来を目指しています。次世代にはものづくりの楽しさを教え、夢のあるものづくりをしてほしいと思っています。

そういった気持ちを込めて「絆と笑顔をつくります」、具体的には「旋盤技術の可能性を追求し続けます」「私たちが関わるすべての人々・次世代の明るい未来を創造します」「日本のものづくりをサポートすることで、地域社会の発展に貢献します」という経営理念に繋がりました。

経営理念を具体化したビジョン画

新工場完成直後のコロナ禍

今年1月、社員の働く環境を良くするために新社屋を建設しました。町工場の「きつい、汚い、危険」という3Kのイメージを払拭し、誰もが働きやすい環境ができました。工場はエコにもこだわり、日本で初めてのオール木造工場です。3月までは見学に全国から多くの方が訪れ、町工場のビジネスモデルとして全国の展示会に参加し、販路拡大を予定していました。

しかし、3月から大手企業の自粛に伴い、緊急事態宣言が明けるまでは打ち合わせや納品ができなくなりました。例年は、3月から5月くらいは繁忙期なのですが、売上の昨年同時期比が5割減となりました。

また、参加予定だった9つの展示会がすべて中止に。新社屋の完成から全国展開に向けた準備をしていましたが、自社の情報をどう発信するのか模索が続きました。

オンライン展示会へ

そうした私の悩む姿を見て、事務局員の服部勇佑さんが東京同友会主催のZoom展示会の話をしてくれました。様々な場で「全国の展示会に出て販路拡大をしたい」と言い続けていたので、発信する大切さを改めて感じた出来事でした。不安はありましたが、1人でも来てくれたらチャンスが広がると思い、展示会への参加を決めました。

製品を見てもらうだけでは自社の良さはなかなか伝わらないと思い、多くの業界に関わるものづくりをしているので、「ものづくりでお困りの方、相談に乗ります」と謳って興味を示してくれる人を待ちました。すると、東京・群馬・大分の会員と出会うことができました。まだ大きな成果に繋がってはいませんが、情報交換や協力会社の紹介をするなどして、有意義な時間が過ごせました。

ものづくりの活性化を目指して

「絆と笑顔をつくります」という理念のもと、20年ビジョンで掲げている「安心、安全な豊かな町づくり」とブランド価値の向上を、これからも続けていきます。旋盤屋というものづくりを主体として、様々な笑顔をつくれる新規事業を考え、事業形態は変わろうとも会社と社員一人ひとりのビジョンは実行できるよう進めたいと思います。

また、東三河のものづくり、愛知のものづくりを活性化できるような運動もしていきたいと思います。

(文責:事務局 服部)