障害者の新卒採用に至るまで
倉地 一秋氏 (株)愛北リサイクル
障害者自立応援委員会で報告された倉地一秋氏の経営実践を、以下にご紹介します。
同業者からヒントを得る
2017年、同業者の中西を見学し、健常者も障害者も共に働ける環境づくりを目の当たりにしたことが、障害者雇用のきっかけです。パート社員の高齢化と人材不足が問題となる中、社内では「障害者雇用はSDGsにも該当する。自社で取り組もう」と話がまとまりました。
まずは、障害のある人たちと直接触れ合うことが大切だと思い、愛知同友会の「バリアフリー交流会」に参加し、発泡スチロールと発泡トレーを分別する仕事体験ができるブースを出展しました。缶などの不純物を混ぜておき、私が説明しながら知的障害の人たちに分別してもらいました。初めての経験で、最初は互いに緊張していましたが、徐々に力みも取れ、笑顔で触れ合えるようになりました。
採用活動を通じての変化
その後、インターンシップで2名を受け入れ、入社したばかりの社員が指導にあたり、現場と座学で仕事の目的を伝えました。プログラムは工場責任者が独自に作るなど、社員たちが積極的に関わり、私の想像を超えた良いものとなりました。
インターンシップを終え、O君が今春入社。プラスチック選別作業と学生時代に取得したパソコンのスキルを活かし、入力作業をしています。コミュニケーション能力と表情が乏しい彼との意思疎通を少しでも良くしようと、QCサークルで「職場環境改善・コミュニケーションづくり」に取り組んでいます。また、定期的にO君のご家族と会い、家庭と職場の情報共有を行っています。
わが社にとって、O君は頼りになる大切な社員として成長しています。健常者と障害者の違いを並べるより、「助け合い、思いやる」ことで生きがいのある人生を送ることができます。今回の採用活動を通じ、誰でも働ける環境づくりは、私たち経営者の務めだと改めて納得しました。