活動報告

コロナ禍を仲間と共に乗り越える ~支部・地区での奮闘記(5)【海部・津島地区】

「防災・減災モデル都市、つしま」推進へ協定締結

菅原 直樹氏  (株)菅原設備

調印式で日比津島市長(右)と菅原氏

地域と共に歩む

2020年11月、津島市に本社を置く菅原設備が同市と災害時の物資輸送などを連携して行う協定を締結しました。大規模災害発生時にLPガスとガソリンの2つの燃料タンクを持つ「LPガスバイフューエル自動車(以下、バイフューエル車)」を市に貸与し、災害応急対策に役立てるという内容の協定です。また、オートコンポ(自家用LPガス簡易スタンド)も導入し、エネルギー拠点としての役割を担うことができ、災害時には本社の敷地を活用して「炊き出し」も可能になります。

同社社長の菅原氏が津島市との協定を考え始めたのは、4年前だといいます。バイフューエル車はガソリン車よりも二酸化炭素の排出量が少なく、燃料費も抑えられることからコスト削減につながると思い、自社への導入に至りましたが、何か他に役立てることはないかと考えたのがきっかけでした。

お披露目されたバイフューエル車

A4一枚の指針書から

菅原氏は2009年に同友会に入会。すぐに経営指針の作成に取り掛かり、A4一枚の指針書を作成しました。しかし、当初の経営理念は綺麗な言葉で作ったもので腹には落ちず、5年前に「未来共創~ALL for dreams」という理念に辿り着きました。父が創業した時の水道工事業から、水回りを中心とした事業へと拡大するも、次第に限界を感じ始めた菅原氏は、事業領域を絞らない、社員の夢を実現するためにも共に未来を創ろうと、経営理念にその想いを込めています。

現在、同社が掲げているビジョンは、「年商100億円、社員数500名体制」です。これは、社員の働く環境を改善していく上で必要な数字を掲げています。人数を増やすことで余裕が生まれ、互いに助け合うことができ、拠点を増やすことで災害にあっても対応できる会社にするために、計算した数字です。

そして指針書に基づき、水道工事を中心に、ガス事業も手掛け、基礎外構工事に至るまで、建設業界で事業を拡大してきました。建設業にこだわらず、経営理念に基づく事業を考えていきたいと、今後の展望を語ります。

企業価値を高める

建設業界は今でも若者が近寄りたがらないといいます。それは、休日や給料などの待遇面や、肉体労働の仕事があるなど、他の業界と比べて、大変なイメージがあるからです。しかし、同友会の提唱する三位一体の経営を実践してきたことで、現在同社の社員数は50名、グループ全体では70名と年々増加し、若い女性社員も活躍しています。

今回、市と協定を締結したことで、同友会理念の「国民や地域と共に歩む中小企業」の一歩を踏み出せたと菅原氏は語ります。締結は目的ではなく、地域での企業価値を高める手段として活用し、企業の体質強化とともに、若者から「菅原設備に入りたい」と言ってもらえるような企業づくりを進めていきたいと、今後の抱負が語られました。

【文責:事務局 橘】