活動報告

第21期役員研修大学 第1講座「同友会運動の歴史と理念」6月21日

全中協誕生から「労使見解」発表まで

加藤 明彦氏  エイベックス(株)

歴史に学ぶ大切さを伝える加藤氏

第21期役員研修大学・第1講座、加藤明彦氏の報告の概要を紹介します。

歴史を知ることは理念を深めること

同友会理念は戦後の中小企業運動を担ってきた先人の熱い思いの結晶で、長い年月をかけて創り上げられました。

戦後復興による大企業優先の政策支援や経済の二重構造を背景に中小企業問題が発生する中、同友会の前身である全日本中小工業協議会(全中協)が設立。特定の政党や団体に偏らず、経済的に依存しない、民主的運営に努めるなどの理念を受け継ぎ、1957年に日本中小企業家同友会(現・東京同友会)が誕生します。

「中小企業の自主的な努力と団結の力で、中小企業の自覚を高め、中小企業を守り、日本経済の自主的で平和的な発展をめざす」と、現在の同友会が大切にしている自主的な運動の原点が、ここに確立されました。

同友会の本質は「労使見解」にあり

1975年に「中小企業における労使関係の見解(労使見解)」が発表。人間尊重の経営の考え方の基本となる「自主・民主・連帯の精神」の実践が労使見解に結実します。これを自社で実践することが会員として最も重要です。

まず経営姿勢の確立です。どんな困難があっても社員や経営環境のせいにせず「責任をとる覚悟」が経営者の責任です。このことなくして社員との信頼関係は築けません。

2つ目に経営指針の実践です。社員は言うことを聞かない、言わないと行動してくれないという経営者の嘆きを聞きます。会社の進む方向性、それぞれの役割に応じた方針が示されることで、経営理念の共有が図られ、一人ひとりの主体的行動が生まれます。

3つ目に、社員を最も信頼できるパートナーと考え、共に育ち合う関係です。経営者は社員の人生を預かっています。一人ひとりの持ち味を生かし、働く価値を感じ、より良い人生を送ることのできる環境を創っていくことです。

最後に、外部経営環境の改善に労使が力を合わせることです。社員が誇りと喜びの持てる、将来に向かって勤め続ける会社となることで地域を元気にしていく存在となり、地域の期待に応えていきましょう。