活動報告

第21期役員研修大学 第3講座(8月23日)

労使見解の精神と実践
~人を生かす経営をめざして

石塚 智子氏  (有)ソフィア企画

第21期役員研修大学・第3講座、石塚智子氏の報告の概要を紹介します。

女全交の学びを実践する行動指針

「労使見解」は同友会の本質

「中小企業における労使関係の見解」(以下、労使見解)は、経営者としての「あるべき姿」を問いかけています。どんな困難があっても責任を取る覚悟。この姿勢なしに社員との信頼関係は築けません。経営指針を成文化し、企業の進む方向性を示すこと。社員を最も信頼できるパートナーとして、共に育ち合う関係を築くこと。社員の生活を保障し、高い士気のもと自発性が発揮される状態を確立すること。そして、経営安定のために、外部経営環境の改善にも労使が力を合わせることです。

同友会理念の自主・民主・連帯の精神は、人間尊重経営の基本となる考え方で、その実践が労使見解に結実しました。民主は「生命の尊厳性(生きる)」、連帯は「あてにしあてにされる関係(くらしを守る)」、自主は「個人の尊厳性(人間らしく生きる)」の希求です。翻って「人を生かす経営」の実践は、同友会理念を実現することです。

人を生かす経営の実践

当社はガス会社の販売促進支援を行う広告制作業です。創業の経緯から女性が働きやすい職場をつくろうと起業しました。同友会の先輩からの助言で経営指針書を成文化。女性スタッフの感性を生かし生活者の視点に立った商品開発で、下請構造から自立型企業へとビジネスモデルを転換しました。創業当初から社員一人ひとりに寄り添い、柔軟な働き方ができる制度や風土をつくってきました。子育てや介護など社員を取り巻く環境も様々です。お互い様の精神で「チームソフィア」として協力し、支え合う風土が、他者への心遣いや共感、理解力を醸成し、心理的安全性を高めています。

先般の女性経営者全国交流会では、誰1人残さない幸せの見える社会づくりに向けて、多様性と包摂性を持った企業づくりがますます求められていることを学びました。当日、提起された学びの切り口は、労使見解を現代的に読み解き、人間尊重の経営により近づくための行動指針と言えます。早速、当社でも今期の経営指針書に盛り込みました。ぜひ各社で「人を生かす経営」をさらに実践していきましょう。