地域ビジョン作り、中小企業振興基本条例の推進活動の実例報告
室井 勝吉氏 (株)小牧旅行社
未来を起点に考える
8月の広報部会は、「地域における中小企業の存在意義を学ぶ」をテーマに、小牧地区前会長の室井勝吉氏から報告をいただきました。
室井氏は小牧市において、地域に根ざした活動を長年続けています。しかし、中には目的を達成しないまま単年で終わってしまうものもあり、そのような活動を継続的に行うにはどうしたらよいのかと考えるようになりました。
その中で、未来の姿から逆算して必要な施策を考える「バックキャスティング」が重要だと考えるようになったそうです。目的(ゴール)が明確になっていれば、そのために何をすべきかは、責任者などが交替しても変わることなく継続した活動ができるようになるからです。
そうした考えのもと、2016年に制定されて以降その意義を生かしきれずにいた小牧市振興基本条例について、同友会会員だけでなく他の団体も巻き込み、行政との連携も図り、条例を推進していくようになりました。
また同友会においても、地区会長が変わるたびに目指すべきことが変わってしまう面があり、ありたい未来の姿の達成に向けてビジョンを掲げることが必要ではないかと考え、地区会員とその意義を共有し、「小牧地区2030年ビジョン」を策定しました。
つながることの大切さ
条例制定後の推進活動をはじめ、地域と関わる活動をする中で、室井氏は中小企業の存在意義を再認識したそうです。その存在意義とは、地域をはじめとした各所との「つながり」です。
地域も、中小企業も、あらゆるものは互いにその関係性の中で生かされるものです。その面では、行政や大企業のような組織の大きさではなく、どれだけ多くのつながりを持っているかということが大きな意味を持ちます。助け合う関係性(つながり)が多ければ多いほど、多くの困難な課題を解決することができるからです。
私たち中小企業家はまさしくその「つながり」を体現するものであり、条例の制定や推進をする中で築くことができる多くの関係性は、とても重要な意味を持ちます。
連携して機敏な活動を
コロナ禍や、地球温暖化が原因の1つと考えられる洪水などの自然災害をはじめ、地球規模の危機が頻発しています。その中で、私たち1つひとつの中小企業ができることは微々たるものかもしれませんが、中小企業が集まり、さらに連携も深まれば、その特性を生かした機敏な活動をすることができます。
不確定要素が多い昨今、未来に向け、私たち個々の中小企業家や同友会という団体として、地域に根ざした外向きの積極的な活動を推進していくことが求められます。
今回の部会は、中小企業家の存在意義について再認識する良い機会となりました。
弁護士法人 春日井法律事務所 吉田 光利