活動報告

障害者自立応援委員会「人間性を語る夕べ」(9月14日)

人間尊重経営の追求
~同友会精神と人間性を学んで32年

伊藤 信夫氏 (有)伊藤技研

赤裸々に半生を語る伊藤氏

新たな企画を開催

同友会では経営理念に「科学性」「社会性」「人間性」の3要素を掲げています。ある会員経営者は、「科学性が60%、社会性と人間性で20%、あとの20%は経営者の人生観」と、自身の考え方を話してくれました。割合はさておき、社会性と人間性が位置づくことが、同友会会員企業においては不可欠であるということです。

同友会の中でも、特に人間性を深く学んでいる場が障害者自立応援委員会です。そこで当委員会では、障害者の枠にとらわれず人間性を深めることにスポットを当て、新たな試みとして「人間性を語る夕べ」を企画しました。

同友会で人間性を取り戻す

報告者の伊藤信夫氏(伊藤技研・取締役会長)は、少年期から青年期の体験で、人間としての誇りを失いかけたといいます。19歳で父の自営に就きますが、孫の孫下請けで、懸命に努力しながらも惨めさが募り、父親を憎むことさえありました。

20歳からの4年間は、瓦金型修行を原点に、ますます人間的に腐っていき自分を持て余すようになります。その後に独立しますが、営業してもまともな仕事はもらえず、生活は苦しく、次第に世の中を恨むようになりました。

伊藤氏は、これらすべてが自分の人間性をつくる歴史の土台だったと振り返ります。35歳で同友会に入会し、卑屈さから腰が引けてしまう自分を叱咤し励ましてくれた先輩たち、人間として経営者として対等に切磋琢磨できる仲間たちと出逢う中で、沁み込むように「人間尊重」を吸収していきました。こうした経験から、「社員は絶対に幸せにする」と決意し、経営指針やビジョン等を愚直に実践、今年1月には事業承継を終えました。

自身の生きざまを語る伊藤氏の報告を受け、グループ討論は参加者が互いの価値観をじっくり語り合う場となりました。会合後、参加者からは「新鮮な討論だった。最近は人間尊重について深く考える機会が少ないので、ぜひ継続して開催してほしい」と感想が寄せられました。

ビジョンを基に建設した、働く環境に優しく快適な工場